福島第1原発2号機のタービン建屋海側にある観測用井戸で20日に採取した地下水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり310万ベクレル検出されました。これまでの最高値16日採取分の270万ベクレルを更に上回る値です。
東電は「地下水くみ上げによる影響とみられるが、詳しい原因は不明」と、相変わらず要領を得ない説明をしています。吸い上げているところになぜ放射性物質が集中するというのでしょうか。そしてなぜその濃度が日を追って上昇しているのでしょうか。
下流側の地下水全体の汚染濃度が高まっているという以外には考えられないことです。
一方ボルトの継ぎ目からの漏水を繰り返してる排水タンクは、溶接型タンクに置き換えることが決まっていますが、そのタンクの製造が間に合わずに置き換えは来春以降にずれ込むということです。これは恐らく溶接型タンクへの置き換えが決まったときから予想されたことの筈で、土壇場にならないとそれを公表しないという辺りも相変わらずのことです。
国が前面に立っても事態は一向に改まっていません。
それで当面ボルト締めの接合部を補強する必要がありますが、水を抜かないで補強する方法としていま現場が考えているものを、東京新聞が紹介しています。
添付の図に示したように、鋼板製の底板とコンクリート基礎面との間に止水材を圧入(封入)する方法と、タンクの蓋板に穴を開けて、そこから止水材を封入したコの字型の鋼材(溝形鋼)を下ろしてボルト接合部に被せる方法とを併用するというものです。
これまでに実施例などない筈でいかにも苦し紛れの珍妙な方法です。水を張ったままで上手く止水が出来るものなのか大いに懸念されますが、こんな方法しか思いつかないということなのでしょう。
現在のボルト接合式の仮設タンクは、組み立て時に現地の業者がこれではとても長時間は持たないと言っていた、というほど信頼性のないものでした。
基本の方式がしっかりしていないと、結局次から次へと無理に無理を重ねるしかなく、いつまでたっても不完全なままであるという良い見本です。
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海側井戸で310万ベクレル=最高値更新-福島第1
時事通信 2014年1月22日
東京電力は22日、福島第1原発2号機のタービン建屋海側にある観測用井戸で20日に採取した地下水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり310万ベクレル検出されたと発表した。
これまでの最高値は16日に採取した地下水の同270万ベクレルだった。井戸は護岸から約40メートルの場所にあり、昨年から最高値の更新が続いている。東電は「地下水くみ上げによる影響とみられるが、詳しい原因は不明」と説明している。
欠陥タンク 延命図る 福島第一 漏水不安のボルト締め型
東京新聞 2014年1月22日
東京電力は、水漏れの不安を抱える福島第一原発のボルト締め型タンクに、漏水防止の延命策を施し、数年の間は使い続ける方針を決めた。漏水しにくく耐久性が高い溶接型タンクに早急に置き換えるとしていたが、増設が急速には進まず当初の方針から後退した。置き換えは来春以降にずれ込む見通しで、当面は弱点の底板の接ぎ目を止水材で補強し、だましだまし使い続ける。 (清水祐樹)
タンク内の水は、溶け落ちた原子炉内の核燃料を冷やした後の水。放射性セシウムはおおむね除去されているが、高濃度の放射性ストロンチウムなどが残る。昨年八月には、一基から三百トンの水漏れが発覚し、周辺の土壌や地下水、さらには排水溝を伝って外洋も汚染した。
東電が調べたところ、五枚の鋼板をボルトでつなぎ合わせた底板の止水材がはがれたことが水漏れの原因と判明。東電は、国からの指示もあり、全てのボルト締め型を溶接型に置き換えることを決めた。
ただ、溶接型の増設には一基当たり二カ月前後かかる上、増設用地も不足しているため、東電は場所をとる割に容量の少ない小型タンクを撤去し、そこに溶接型を増設していく方針。ボルト締め型タンクを置き換えるだけの容量の余力ができるのは、早くても来年四月半ばになる見込みだ。
このため東電は、ボルト締め型タンクの弱点である底板を二つの手法を併用して補修し、延命させてしのぐことにした。一つはタンク天板に穴を開け、そこから止水材を塗った鋼材を入れ、底板の接ぎ目にかぶせる方法。もう一つは、底板の接ぎ目とコンクリート基礎のすき間に止水材を注入する方法だ。いずれもタンクに汚染水が入ったままでも作業できるというが、ボルト締め型の根本的な弱点がなくなったわけではない。鋼材をかぶせる手法では、事前に作業員が水中ポンプを使って接ぎ目周辺の沈殿物を掃除する必要がある。高濃度汚染水のすぐ近くでの作業だけに、細心の注意が必要になる。