2023年8月21日月曜日

首相、21日に全漁連会長と面会調整 月内に処理水放出開始方針

 岸田首相は20日、福島第1原発を視察し東電の経営陣に対し同原発の処理水の海洋放出を巡る安全性確保や風評被害対策について、会社を挙げて緊張感を持って万全を尽くすよう求めました。また、全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長と21日に面会する調整をしていると明らかにしました。

 政府は月内にも海洋放出を始める方針で、22日に西村康稔経済産業相らと関係閣僚会議を開き、放出時期を判断するとしていますが、漁協の人たちとの「合意」については一言の言及もありません。
 岸田首相は訪米後、俄かに海洋放出に向けての行動を開始しました。バイデン氏との会談で海洋放出の合意を得て「推進力」にしたかったのかも知れませんが、それは話題に上りませんでした。
 関係閣僚での海洋放出決定が放出開始の理由にはならないのは言うまでもありません。
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首相、21日に全漁連会長と面会調整 月内に処理水放出開始方針
                            毎日新聞 2023/8/20
 岸田文雄首相は20日、東京電力福島第1原発を視察した。首相は東電の経営陣に対し、同原発の処理水の海洋放出を巡る安全性確保や風評被害対策について、会社を挙げて緊張感を持って万全を尽くすよう求めた。また、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と21日に面会する調整をしていると明らかにした。政府は月内にも海洋放出を始める方針で、22日に西村康稔経済産業相らと関係閣僚会議を開き、放出時期を判断する
 首相は、同原発で生じた汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」についての説明を東電の担当者から受けた後、小早川智明社長らと面会。海洋放出に向けて「最大限の緊張感を持って、長期間を見通し、内外の信頼を裏切らないとの決意と覚悟を政府、東電がしっかり持って全力を尽くしていかなければならない」と述べた。小早川氏は海洋放出に関し「経営陣が速やかに情報を把握し指示を出せるよう発電所、風評対応、賠償などの関係部署を横断的に統括する社長直轄のプロジェクトチームを設置する」と説明。風評対策と賠償対応について、新たに本社で専任の態勢をとり、担当役員を配置することも明らかにした。

 首相は視察後、記者団に、海洋放出について「これまでの説明を通じ、国際的にも科学的な知見に基づく冷静な対応が広がっている」との認識を示し、「廃炉と福島の復興を進めていくために決して先送りができない課題だ」と強調。放出に反対している坂本全漁連会長と21日にも面会する意向を明らかにした上で「漁業者の皆様からは風評やなりわいに関する懸念や要望の声をいただいている。直接、政府としての考えをお伝えしたい」と語った。放出開始の時期に関しては「安全性確保や風評対策の状況を政府全体で確認し、判断をしていく」として明言しなかった。【岡村崇、肥沼直寛】


岸田総理、ALPS処理水の設備など視察 あすにも全漁連会長と面会
                      テレビ朝日系(ANN) 2023/8/20
岸田総理大臣は、処理水の海洋放出を前に福島第一原発を視察しました。21日にも全漁連会長らと面会し、理解を求めます。
 岸田総理大臣:「安全性の確保や風評対策に関する取り組みについて、東京電力においても会長・社長の真摯なリーダーシップのもと、会社を挙げて緊張感を持って万全を尽くすよう求めた」
 岸田総理は福島第一原発を訪れ、ALPS処理水の設備などを視察しました。
 全国漁業協同組合連合会の坂本会長とは「早ければあすにもお目にかかりたい」と述べ、「懸念に継続的に寄り添う」考えを示しました。
 政府は、22日にも関係閣僚会議を開いて具体的な放出時期を決定しますが、岸田総理は「今の時点で申し上げることは控える」と述べるにとどめました。