2023年8月21日月曜日

アルプス処理水、中ロは大気放出検討要求 海洋計画阻止へ共同歩調

 中国ロシア両政府がアルプス処理水を巡り、大気への水蒸気放出を検討するよう7月に日本政府に直接求めたことが20日分かりました。水蒸気放出は当初の処分方法の選択肢の一つでその費用は227~349億円でした(下表参照)。
 トリチウム含有水 処分方法

処分方法

前処理

処分期間(月)

監視期間(月)

処分費用(億円)

地層注入

なし

69~102

456~912

177~180

希釈

85~156

処分期間中

501~3976

海洋放出

希釈

52~88

処分期間中

17~34

水蒸気放出

なし

75~115

処分期間中

227~349

水素放出

なし

68~101

処分期間中

600~1000

地下埋設

なし

62~98

456~912

1219~2533

 水蒸気放出は日本政府内で一時検討されましたが、大気中の放射性物質のモニタリングが海洋よりも難しいなどとして見送られということです。それに対して中国・ロシアは大気中の放射性物質のモニタリング手法は技術的に確立されていると指摘して日本政府の見方を否定しました。
 大気中への放出であれば少なくとも魚介類での体内濃縮乃至DNA内で結合素子としての固定が起きないので再考すべきです(現行の海洋放出1800億円〝以上″よりもはるかに安い)。
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処理水、中ロは大気放出検討要求 海洋計画阻止へ共同歩調
                            共同通信 2023/8/20
【北京共同】中国、ロシア両政府が東京電力福島第1原発の処理水を巡り、大気への水蒸気放出を検討するよう7月に日本政府に直接求めたことが20日分かった。複数の外交筋が明らかにした。日本に海洋放出計画を先送りさせ断念に追い込むことを目指し、共同歩調を取ったとみられる。日本政府は中ロに反論していく方針だ。
 中ロが7月下旬、日本政府に20項目の質問リストを共同で提出し、水蒸気放出は海洋放出より「周辺諸国への影響が少ない」と主張した。国際原子力機関(IAEA)にも同様の文書を送った。日本政府関係者は要求の「受け入れは不可能」と話した。近く海洋放出に踏み切る見通しだ。
 水蒸気放出は放射性物質トリチウムを含む処理水を蒸発させ大気中に排出する方法。日本政府内で一時検討されたが、大気中の放射性物質のモニタリングが海洋よりも難しいなどとして見送られた。
 中ロは質問リストで、大気中の放射性物質のモニタリング手法は技術的に確立されていると指摘して日本政府の見方を否定した