青森県むつ市の市議会が4日に開いた特別委員会では、使用済み核燃料中間貯蔵施設の安全協定案について質問が相次ぎ、委員の多くが、最長50年間の保管期限を順守して「確実に搬出」することを要請しました。それに対して国側は搬出先について日本原燃の六ケ所再処理工場が「搬出先となる可能性がある」としましたが、当初見込んだ第2再処理工場の建設は事実上白紙状態なので議論は深まりませんでした。
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むつ中間貯蔵 搬出先は六ケ所再処理工場か
Web東奥日報 2024/6/4
青森県むつ市の市議会は4日、全議員出席の特別委員会を開き、使用済み核燃料中間貯蔵施設(同市)の安全協定案について質疑した。委員の多くは、最長50年間の保管期限を順守した「確実な搬出」を要請。搬出先は明示されていないが、国側は日本原燃の六ケ所再処理工場を挙げ、「搬出先となる可能性がある」との見解を示した。国や事業者は、搬出先として当初見込んだ第2再処理工場の建設に関し「(状況が)変化している」と言及を避けつつ、「必要な再処理工場の稼働は確保される」と強調した。
原発の敷地外で使用済み核燃料を一時保管する国内初の施設で、リサイクル燃料貯蔵(RFS)は9月までの事業開始を予定。県と市、RFSが結ぶ安全協定は操業の前提となる。市議会質疑を皮切りに協定案の本格的な議論が始まった。
保管する核燃料は全て再処理工場へ運ぶ約束で、協定案は貯蔵期間を50年間と明記。質疑では「50年後に必ず搬出されることが重要」「永久貯蔵にならないか」との意見が相次いだ。搬出先などが協定案に示されていないことから、中村正志委員(自民クラブ)は「必ず搬出される確約が必要で、協定案の内容では弱いと感じる」と指摘した。
誘致や立地協定を結んだ2000年代、国や事業者は搬出先に、六ケ所工場の後継として建設予定とした第2工場を例示。しかし東日本大震災で起きた東電福島第1原発事故を境に、第2工場は事実上白紙の状態に。佐藤武委員(無会派)は「搬出先は二転三転しており、担保をどういう形で取るのか」とただした。
国や事業者は近年、「搬出時に稼働している再処理工場」との表現にとどまり、具体な施設を明示せずにいた。質疑で経済産業省は「六ケ所工場が稼働していれば搬出先となる可能性がある」(資源エネルギー庁担当者)と答弁。六ケ所工場は操業の目安が40年とされるが、日本原燃の増田尚宏社長が5月に「操業期間に決まりはなく(50年後でも)技術的には受け入れることができる」と述べた経緯がある。
東電幹部は「国の方針に沿い、搬出時には必要な再処理工場の稼働が確保されると承知している」と説明。第2工場については同省担当者が「当時は『第2』という表現があったが、その点は震災前からは変化している」とした。
ただ、六ケ所工場は規制当局の審査で足踏みが続き、完成・操業のめどが立っていない。散会後、山本知也市長は報道陣に「50年後の搬出についてしっかりと方向性が示され、一定の成果があった」と話した。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設の安全協定案に質疑 むつ市議会
RAB青森放送 2024/6/4
むつ市の使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、事業開始の前提となる安全協定の案に対しむつ市議会から質問が相次ぎました。
むつ市議会の特別委員会には22人の議員全員とリサイクル燃料貯蔵の高橋社長や資源エネルギー庁の担当者が参加しました。
★むつ市議会 佐藤広政議員
「使用済み核燃料税の税収を加えた場合の当面の税収の試算についておうかがいします」
★むつ市財務部 松谷勇部長
「貯蔵開始を2024年7月で試算した場合、2026年までで7,254万円と見込んでいます」
★むつ市議会 井田茂樹議員
「むつ市民の最大の懸念はこの事業の本質が文字どおり本当に一時的な中間貯蔵なのかということです」
★資源エネルギー庁の担当者
「現時点では国内の再処理工場の竣工・実現に向けてしっかりと取り組みを進めていくということに尽きるのかと考えています」
安全協定はことし7月から9月を見込む事業開始の前提として、県とむつ市とリサイクル燃料貯蔵の3者で結ぶものです。むつ市では県と共催で来月3日に住民説明会が開かれる予定です。また今月12日には県議会の特別委員会でも質疑が行われます。