27日に鹿児島県薩摩川内市であった川内原発の運転延長に関する説明会では、「道路が寸断したら」「想定を超える地震は起こらないのか」など、能登半島地震の状況を踏まえた質問が次々に出され、複合災害への懸念が浮き彫りとなりました。
それに対して内閣府担当者は「複数の避難経路を設定している。陸路が難しければ海・空路の代替手段を検討する」、5~30キロ圏の住民が屋内退避後に避難する「2段階避難」については、「家屋が倒壊し、屋内退避が難しいときは避難所に行ってもらう」と説明したということですが、何ともその場しのぎのものでそれで解決するものとは思えません。
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「原発事故時の避難計画は机上の空論では」 記憶に焼き付く能登半島地震の道路寸断、集落孤立 川内原発説明会で国や九電に疑問噴出
南日本新聞 2024/01/28
「道路が寸断したら」「想定を超える地震は起こらないのか」。27日、鹿児島県薩摩川内市であった九州電力川内原発の運転延長に関する説明会。市民からは能登半島地震の状況を踏まえた質問が次々に出され、複合災害への懸念が浮き彫りとなった。「机上の空論」。避難計画の実効性を疑問視する声も聞かれた。
質疑は市職員が質問表を集めて読み上げ、各機関が回答する形で進行した。
能登半島地震の被災地では、道路の寸断で多くの集落が孤立。同様の事態が生じた場合の避難への影響を尋ねる声が相次いだ。
内閣府担当者は「複数の避難経路を設定している。陸路が難しければ海・空路の代替手段を検討する」と回答。5キロ圏内の避難を優先し、5~30キロ圏の住民が屋内退避後に避難する「2段階避難」については、「家屋が倒壊し、屋内退避が難しいときは避難所に行ってもらう」と説明した。
「想定以上の地震が発生する可能性はないのか」という問いに、九電は「策定された基準地震動(想定する最大の揺れ)に対し、施設が十分余裕のある耐震性を有していると確認している」とした。
終了後、60代男性は「道路がふさがれれば屋内退避するための避難所にも行けないケースもあるのではないか」と避難計画に疑問を口にした。平佐町の会社経営男性(75)は「災害時でも計画通りに避難者が動くという前提での回答。実際はパニックになる可能性が高く、現実に即していない」と不満をあらわにした。
運転延長に対する不安払拭などを目的とした今回の説明会。「安全対策を知る機会になった」と開催を評価する声が多く聞かれた。
一方、6機関による説明が続き、「資料が多く、理解が追いつかない」との戸惑いも。田海町の女性(76)は「聞き慣れない専門用語が多く、駆け足の説明で難しかった。継続的に説明会を開いてほしい」と要望した。
川内原発40年超運転で国、県、九電が地元説明会 能登半島地震受け安全性への質問相次ぐ 鹿児島
南日本新聞 2024/1/28
鹿児島県薩摩川内市は27日、九州電力川内原発1、2号機(同市)の40年超運転を巡り、市民向けの説明会を国際交流センターで開いた。延長を認可した原子力規制委員会の事務局・原子力規制庁や、資源エネルギー庁など6機関が出席。1日に発生した能登半島地震を受け、原発の安全性に関する質問が相次いだ。
市が主催し、内閣府や九電、県も参加。規制庁などが延長に関して市民向けに説明するのは初めて。会場で271人が傍聴したほか、生配信もあった。規制庁は原子炉格納容器の劣化状況を調べた九電による特別点検の結果を報告。エネ庁は脱炭素に向けた原子力政策について説明した。
質疑応答では、北陸電力志賀原発(石川県)周辺の一部の放射線監視装置が能登半島地震後、測定できなくなったことを問題視する声が上がった。規制庁は「絶対壊れないというのは難しく、代替措置をどうするかが重要」と回答。持ち運べる装置や航空機で監視する策を示した。川内原発の耐震性や周辺の活断層、核燃料サイクルの見通しについての質問もあった。
田中良二市長は「非常に貴重な場だった。志賀原発への地震による影響の検証結果などを、川内原発の安全対策や訓練に反映させたい」と述べた。
原発の現行制度の運転期間は原則40年。川内1、2号機は7月と2025年11月に期限を迎える。九電は22年10月に、20年の運転延長を申請し、23年11月に認可された。