日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
北陸電力は1999年6月18日、志賀原発1号機の定期検査を行った際、制御棒の試験で操作手順を間違えて3本の制御棒を引き抜いたため「臨界状態」が15分間も続きました。しかし北陸電力は組織ぐるみでデータを改ざんし外部には虚偽の報告を行い隠蔽しましたが、8年後に発覚しました。
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信用できない北陸電力の「問題ない」…よぎる25年前、志賀原発の重大事故隠蔽工作
日刊ゲンダイ 2024/01/09
能登半島地震が直撃した北陸電力志賀原発(石川県志賀町=停止中)は連日、不具合が発表されている。▽使用済み燃料プールの水が大量にこぼれる▽冷却ポンプが一時停止▽変圧器破損による大量の油漏れ……と枚挙にいとまがない。
北陸電力は1、2号機とも定期検査により停止中であることを強調。原発の全域を見回って点検した結果、「安全上問題はない」と5日公表している。7日には、原発に接する海面で大きな油膜が発見されたが、「環境や人体に影響はない」とすかさず説明した。
NPO法人「原子力資料情報室」事務局長の松久保肇氏が言う。
「原発は部品件数がものすごく多く、ざっと見回った目視の点検で見つけられていない不具合が潜んでいてもおかしくありません。今後も地震は続くとみられています。原発内の施設が大きく揺れることも想定され、予断を許さない状況です」
油漏れを大幅修正
北陸電力の説明には首をかしげたくなるものもある。変圧器から漏洩した絶縁油について、当初は3500リットルとしていたが、後に1万9800リットルと訂正。当初の5倍超とは、大幅過ぎる訂正だ。
放射線量を測定する原発内のモニタリングポストの数値に変化がないとして、「外部への放射能の影響はない」とするが、原発周辺のモニタリングポストは、15カ所で測定できなくなっている。原発内のモニタリングポストは正常なのかと勘ぐってしまう。
データを改ざん、外部には虚偽の報告
北陸電力はかつて志賀原発の重大事故を隠蔽していたことがある。
1999年6月18日、1号機を停止し、定期検査を行った際、制御棒の試験で操作手順を間違え、3本の制御棒が引き抜かれてしまった。これにより、何もしなくても核分裂反応が起こる「臨界状態」が15分間も起こったのだ。
ところが、北陸電力は組織ぐるみでデータを改ざん。外部には虚偽の報告を行った。この隠蔽が発覚したのは8年後の2007年3月だった。
「周辺の住民を不安にさせたくないからなのか、今回の北陸電力の説明は、“大丈夫”から入っています。しかし、その説明で安心できるでしょうか。過去の隠蔽の件もあり、いまだに北陸電力に不信を抱いている人も少なくないはずです。重大な不具合が起きていたり、起きそうな場合はタイムリーに情報を公開し、アラームを上げるべきです」(松久保肇氏)
原発のリスクに楽観は禁物だ。