2024年1月8日月曜日

能登半島地震 震源の活断層を誰も知らなかった衝撃 「未知の活断層は列島に3万本」

 日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
 既知の活断層の直上であるかどうかだけで危険性を判断している現在の規制委のやり方に大いに疑問を感じます。
 今回の能登半島地震は震源の深さは16キロと浅く、震源は能登半島北側の海底から佐渡北側に延びる約150キロの活断層と言われています。東大名誉教授の平田直委員長はそれを「知られている活断層ではない」と断じました。
 立命館大高橋学特任教授は、「震源の活断層が未知だったと聞いても驚きはありませんでした」「実際には、無名の断層も含めれば、少なく見積もっても3万以上の活断層が日本列島に存在すると推測しています」「政府が知らなかった活断層が引き起こした能登半島地震は、リスクの過小評価を改める好機と捉えるべきです」と述べています。
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能登半島地震 震源の活断層を誰も知らなかった衝撃 「未知の活断層は列島に3万本」と専門家
                          日刊ゲンダイ 2024/01/06
 元日に発生した能登半島地震(M7.6、最大震度7)。4日、生存率が著しく低下する、発生後72時間が経過した。犠牲者の拡大が懸念される中、懸命の救助活動が続いている。
 石川県輪島市や珠洲市は壊滅的な状態でいまだ被害の全容は分かっていない。地震波の周期が長いなど被害拡大を招いたメカニズムが明らかになりつつあるが、衝撃的なのが震源の活断層が事前に把握されていなかったことだ。
 今回の震源の深さは16キロと浅い。政府の地震調査委員会は2日の臨時会で、北東から南西に延びる約150キロの活断層がズレ動いたとの見解を示した。この活断層について、東大名誉教授の平田直委員長は「知られている活断層ではない」と断じた。浅い地下の150キロの活断層は未知の存在だった。

 立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が言う。
「震源の活断層が未知だったと聞いても驚きはありませんでした。政府は活断層の数を2000以上と公表していますが、それらは地表から容易に見つけられる調査で誰が見ても活断層と言えるものです。実際には、無名の断層も含めれば、少なく見積もっても3万以上の活断層が日本列島に存在すると推測しています

活断層の推測数は「わからない」と国土地理院
 国土地理院の公表資料でも、現在、2000以上の活断層が見つかっているとしながら、「地下に隠れていて地表に現れていない活断層もたくさんあります」と明記している。国土地理院に見つかっていない活断層の推測数を聞いたが、「わかりません」(地理情報処理課)と答えた。
「政府が“活断層2000以上”と発表することで、リスクが小さく見えてしまっています。政府が示す活断層上から外れた住居を『安全だ』と勘違いする人までいる。最悪の事態を想定する必要がある災害リスクマネジメントの観点からはマズい状況です。今回の政府が知らなかった活断層が引き起こした能登半島地震は、リスクの過小評価を改める好機と捉えるべきです」(高橋学氏)

 活断層の研究者は多くなく、発見される活断層の多寡は、その地域の研究者数による面もあるというから、お粗末な研究体制だ。
「地面を掘って足で稼ぐ地道な調査に加えて、人工衛星を使った最先端の調査法も活用すべきです。すでに実用化されており、木や建物など障害物があっても、地下の断層の様子が分かります。まだ、精度が低く、大きな活断層しか見つけられませんが、政府としても、力を入れるべき分野だと思います」(高橋学氏)
 活断層がズレ動いて地震は生じるが、地震により、新たな活断層ができる。人工衛星による調査なら、タイムリーに地下の活断層が分かる可能性がある。
 3万以上の未知の活断層は手ごわいが、地道な調査と最新のテクノロジーで乗り越えるしかない。能登半島地震の教訓は生かされるのか。

 国土地理院が発表した【令和6年能登半島地震の震源断層モデル(暫定)】