福島第1原発事故による神奈川県内の避難者が損害賠償を求めた控訴審は26日、東京高裁で判決が出されました。
19年の一審横浜地裁判決は平安時代の貞観地震の知見に基づき国の責任を認めましたが、高裁判決は「知見が未成熟」と一蹴し、国の責任を否定した22年の最高裁判決に沿ったものとなりました。
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「最高裁に沿う判断 憤り」 原発、神奈川県内避難者訴訟で弁護団 二審は国の賠償責任認めず
東京新聞 2024年1月27日
東京電力福島第1原発事故による神奈川県内の避難者が損害賠償を求めた訴訟は26日、東京高裁で一転して国の賠償責任が否定された。原告らは憤り、上告審に向けて決意を新たにした。
大法廷で判決要旨が読み上げられると、原告で埋まった傍聴席から「恥ずかしくないのか」と声が上がった。高裁前で弁護団が「国の責任を否定」と書いた紙を掲げた際には、支援者からため息が漏れた。
同種訴訟は全国であるが、弁護団によると、2019年の一審横浜地裁判決は唯一、平安時代の貞観地震の知見に基づき国の責任を認めた。だが、この日の高裁判決は「知見が未成熟」と一蹴。国の責任を否定した22年の最高裁判決に沿った形で、弁護団の栗山博史弁護士は「その時点で最新の知見を取り入れなければいけないというのが規制の根本的な考え方。最高裁に合わせるような判断には憤りを覚える」と語った。
福島県富岡町を離れて神奈川県葉山町に暮らす小畑まゆみさん(64)は「原発は国策なのに、事故が起きたら一企業に責任をなすりつけるのか」と怒り心頭。原告団長の村田弘さん(81)=横浜市旭区=は「主張を決して曲げず、最高裁でひっくり返す意思で出発する」と力を込めた。(米田怜央)