2024年1月27日土曜日

地震で多くの家屋倒壊… 原発事故時の“屋内退避”見直しへ「再稼働の判断材料にも」【新潟】

 能登半島地震を受け、原発事故時5~30キロ圏内の住民は5キロ圏内住民の避難が終わるまで「自宅(屋内)退避するという方針の有効性が問題になっています。
 これは事故時に30キロ圏内の住民が一斉に避難を始めると道路が混雑し、却って避難に時間を要することになるのを避けるために苦肉の策として編み出されたものです。
 しかし能登半島地震では最大震度7の揺れにより30キロ圏内では多くの家屋が倒壊し、「自宅退避」は机上の空論となりました。避難道路も寸断されました。
 また今回は大津波は起きませんでしたが、大津波が発生すれば30キロ圏内でも海岸沿いの住民(60キロ×上陸危険幅 エリア居住)たちは地震の発生と同時に避難を開始しないと助かりません。
 規制委が今後どのような再検討をするのかは不明ですが、大筋としては30キロ圏内を当初「屋内退避」とするには「非現実的」と考えるべきで、避難計画を振出しに戻すべきです。
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地震で多くの家屋倒壊… 原発事故時の“屋内退避”見直しへ「再稼働の判断材料にも」【新潟】
                      NST新潟総合テレビ 2024/1/25
地震を受け、課題として浮かび上がっている一つが原発事故時の対応指針として原子力規制委員会が示す「屋内退避」のあり方です
多くの家屋が倒壊する中、屋内退避できるのか…見直しの議論の行方は柏崎刈羽原発の再稼働判断にも影響しそうです。
最大震度7の揺れにより、多くの家屋が倒壊した能登半島地震。
石川県の志賀原発周辺でも大きな被害が出る中、課題として浮かび上がっているのが原発事故時の避難についてです。
原子力規制委員会が示す原子力災害対策指針では、原発から半径5km圏内の住民は即時避難とする一方、5~30km圏内の住民は被ばくを避けるため、自宅などにとどまる屋内退避を原則としています。

しかし、地震などとの複合災害が起きた場合に屋内退避は現実的ではないとする疑問の声が上がり、原子力規制委員会が指針の見直しに取りかかっています。
山中伸介委員長は、1月24日の会見でも次のように話しました。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
自然災害と原子力災害は複合災害の場合、両方考えないといけない。まず、自然災害から避難する行動が優先される。屋内退避の問題、ここはきちんと見直していかないといけない
この屋内退避をめぐっては、花角知事も指針の見直しの必要性を指摘します。

【花角知事】
今回の地震を見ても、実際、家屋が壊れてしまえば屋内退避できないわけで、屋内退避についてはしっかり論点を整理しきちんと議論してほしい
国の指針が変われば、それを前提につくられている自治体の避難計画にも影響が出てきます。
花角知事は屋内退避のあり方は柏崎刈羽原発の再稼働議論の材料の一つになるとの見解も示しました。
【花角知事】
「国の避難の考え方が変われば当然それに沿った避難計画に変えていく必要がある。議論の行方、進みは判断に関わってくる」

一方、25日、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は「前提として事故を起こさないことに全力を尽くす」とした上で…
【柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「事業者として指針に関係して何かすべきことがあれば的確に対応していくことに尽きる」
原子力規制委員会による指針の見直しには数カ月程度かかる見込みで、その行方は県内の原発再稼働議論にも大きく関わることになります。