2024年9月18日水曜日

美浜仮処分、即時抗告審第1回審尋期日 「原決定は救命ボートのない船の出航認めたのと同じ」

 美浜原発3号機運転差止仮処分で3月29日の一審却下決定に対する即時抗告審1回審尋が8月2日、名古屋高裁金沢支部で開かれ、終了後に原告側が記者会見を兼ねた報告集会がありました。
 抗告人の宮下正一さんは、一審や広島高裁松江支部(島根原発2号機運転差止仮処分)の判断は、避難を考えなくてよいとしたが、過酷事故が起きる可能性があるから規制基準が見直されたはずなのに、それはどこにいってしまったのかと述べました。
 弁護団共同代表の井戸謙一弁護士は、「住民が避難ができない状態で、運転は許されてはならない。司法審査のあり方として、「裁判所の判断の対象、立証責任の所在、従来の裁判例を整理した上で原決定が間違っていることを30分かけて説明した」と述べました。
 そもそも「住民の避難」は「深層防護 第5層(最終段階)」に当たるもので、それを無視するのは、安全基準が「住民を被爆させないため」のものであることを認識しないものです。
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美浜仮処分、即時抗告審第1回審尋期日 「原決定は救命ボートのない船の出航認めたのと同じ」
                           週刊金曜日 2024/9/18
 美浜原発3号機運転差止仮処分の即時抗告審第1回審尋期日が8月2日、名古屋高裁金沢支部で開かれた。今年3月29日の却下決定に対して不服申立てをした即時抗告審。審尋期日は非公開だが、終了後に記者会見を兼ね報告集会があった。

 弁護団共同代表の井戸謙一弁護士は、「今日の審尋において、住民側は①福島第一原発事故がいかに深刻で危機的であったかを改めて認識してもらい、②能登半島地震の教訓から地震と原発事故の複合災害の場合は避難できず、被ばくを強いられるがままの状態に置かれてしまう。避難ができない状態で、運転は許されてはならない。③司法審査のあり方として、裁判所の判断の対象、立証責任の所在、従来の裁判例を整理した上で原決定が間違っていることを30分かけてプレゼン⇒説明)した」と述べた。

 大河陽子弁護士より、①②について、「原発の制御の難しさ、福島第一原発事故の被害が今も続いていること、地震大国の日本で、今年元日の能登半島地震で家屋がつぶれ孤立した場合に避難できないことについて、具体的に示した。審理に当たって、原発がどういう施設か押さえてもらいたかった。一審の決定は、国が崩壊しかねない危険である原発の特殊性を考慮せず、普通の工場程度の安全性として考えている」と説明した。

 抗告人の宮下正一さんは、一審や広島高裁松江支部(島根原発2号機運転差止仮処分)の判断は、避難を考えなくてよいとしたが、過酷事故が起きる可能性があるから規制基準が見直されたはずなのに、それはどこにいってしまったのか、と指摘した。
 これに対して大河弁護士は、「それらの決定は、住民側は第4層までで立証できていないから第5層(避難)は考えなくてよいという判断だが、間違っている。なぜなら、避難計画は原発事故から住民を守る最後の砦であり、これを欠けば、身体・生命は守れない。事故前に戻ってしまっている司法の判断に対して、そもそも原子力災害指針の定められた経緯も主張する等、住民の身体・生命を守るという点に欠けていないかという視点から主張を提出している」と説明した。

 この点について、井戸弁護士は、「船には救命ボートを積むことが法律上義務付けられていて、船本体の安全性がいくら高くても救命ボートを積んでいない船は出航できない。一審の判断をたとえて言うと、救命ボートを積まないで出航しようとしている船に対し、出航禁止の仮処分を申し立てたら、運航会社は、この船は海難事故を起こさないから、救命ボートを積む必要はない、却下せよと求めた。裁判所はこの船が今回の航行中に海難事故を起こすことを住民側に証明せよ、証明すれば申し立ては認めるけど、証明できていないじゃないか。つまり、救命ボートを積んでなくても、出航禁止の申し立ては認めないと言ってるのと同じ。いかに非常識な判断か、認識していただければと思う」と述べた。

 今後について井戸弁護士は、次回は11月1日13:30。弁護団としては、結論を急ぐという側面はあるが、裁判所に原発の問題を理解してもらうために期日を重ねたいと述べた。

除染土扱いで統一基準、環境省 最終処分と再生利用、有識者検討会了承

 環境省は17日、福島第1原発事故に伴う除染土壌(最大8千ベクレル/kg)などの取り扱いに関する有識者検討会の合同会議を開き、最終処分と再生利用の基準案を示しました
 同省は年度内に基準を策定し、全国的な理解醸成に加え、45年までの福島県外最終処分実現に向けた搬出先の選定などを本格化させる予定です。
 環境省が選定したメンバーによる検討会は基準案をおおむね了承しました。
 同省によると、除去土壌の保管量は県内1300万立方メートル、県外33万立方メートルで、県内分は中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)にほぼ搬入しましたが、県外では民家や公園など約2万9千カ所で一時保管されています。

 そもそもこの案は、放射性汚染物質を全国各地に分散させるものなので、「放射性汚染物質を移動したり、拡散させてはならない」という「放射線物質取扱」上の基本原則に反しています。
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除染土扱いで統一基準、環境省 最終処分と再生利用、有識者検討会了承
                           福島民友 2024/09/18
 環境省は17日、東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌などの取り扱いに関する有識者検討会の合同会議を東京都内で開き、最終処分と再生利用の基準案を示した。安全対策が柱で、検討会は基準案をおおむね了承した。同省は年度内に基準を策定し、全国的な理解醸成に加え、2045年までの福島県外最終処分実現に向けた搬出先の選定などを本格化させる。
 基準案のポイントは【表】(コピーできないため省略)の通り。最終処分は、管理期間中に周辺住民が受ける追加被ばく線量を年1ミリシーベルト以下と設定した上で、埋め立て終了時に厚さ30センチ以上の土砂で覆い、外部と接する開口部を閉鎖する。
 再生利用は、施工者や周辺住民の追加被ばく線量が年1ミリシーベルト以下になるよう1キロ当たり8千ベクレル以下の土壌を使う。現地に表示は設けるが、立ち入り制限は求めない。最終処分と共通して飛散・流出対策を講じるほか、管理終了まで量や濃度の記録を保管する。

 国際原子力機関(IAEA)は10日に公表した安全に関する報告書で、目指すべき放射線量の水準について「地域住民や自治体などの利害関係者と相談して決定」するよう求めている。同省は「1ミリシーベルト」の基準は設定した上で、実際は受け入れ地域と個別に協議し、理解を得る方針を示した。
 同省によると、除去土壌の保管量は県内1300万立方メートル、県外33万立方メートル。県内分は中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)にほぼ搬入したが、県外では民家や公園など約2万9千カ所で一時保管されている。これまで県内と県外でそれぞれ有識者検討会を設けてきたが、統一基準を策定するため、初めて合同で議論した。

 埋め立て実証も報告
 会合では、茨城県東海村、栃木県那須町、宮城県丸森町で18年度から実施した埋め立て処分実証事業の結果も報告された。各自治体内で発生した土壌を埋め立てたところ、3カ所全てで飛散・流出や地下への浸透による周辺環境への影響はないことを確認したという。

東海第2 事故時の避難所 9万4000人分が不足 

 東海第2原発(茨城県東海村)の重大事故に備えた県の広域避難計画で、県は17日、避難対象と想定する原発から30キロ圏内の約92万人のうち、現時点で約9万4000人分の避難所が確保できていないと明らかにしました。これは昨年1月の県地域防災計画の改定で、1人当たりの避難所の必要面積がそれまでの「2平方メートル以上」から「3平方メートル以上」になったことに起因しています。
 東海村の山崎部長は答弁で「さらなる避難所の確保に向け、他県にある国の機関や国立大学等にも協力の要請を行っている」と説明しました。
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東海第2事故時の避難所 9万4000人分が不足 茨城県計画改定 昨年末からは3万人減
                         東京新聞 2024年9月18日
 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の重大事故に備えた県の広域避難計画で、県は17日、避難対象と想定する原発から30キロ圏内の約92万人のうち、現時点で約9万4000人分の避難所が確保できていないと明らかにした。

 昨年12月時点では、県は約12万5000人分が未確保の状況としていた。17日の県議会本会議で、下路健次郎県議(東海村選出)の一般質問に県防災・危機管理部の山崎剛部長が答えた。
 昨年1月の県地域防災計画の改定で、1人当たりの避難所の必要面積がそれまでの「2平方メートル以上」から「3平方メートル以上」になったことから不足分が増加。県は避難先となる他県の自治体に追加を依頼する一方、県内の民間事業所などにも受け入れを求めた。
 山崎部長は答弁で「さらなる避難所の確保に向け、他県にある国の機関や国立大学等にも協力の要請を行っている」と説明した。(竹島勇)

18- 東電、デブリ採取の映像送れず カメラ不具合の原因特定急ぐ

 福島第1原発2号機で続いているデブリの試験的取り出しで、東電は17日、採取用のパイプ型装置の先端付近にあるカメラの映像が送信できない不具合により作業を中断しました。
 デブリをつかむ金属製の爪付近に取り付けた2台のみに不具合が生じたもので、原因として高濃度の放射線による故障が考えられます。東電は19年に実施した2号機格納容器の内部調査では、底部周辺で最大毎時7・6シーベルトの高線量が確認されたので、カメラはその状態で45日程度は使える仕様になっていると説明しました。放射線以外に原因が考えられない以上、本当にカメラがそれに堪え得るのか至急調査すべきです。
 課題がデブリの試験的取り出しに絞られてからの数年間、次々と事故が繰り返されるだけなのでこれでは進みようがありません。
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東電、デブリ採取の映像送れず カメラ不具合の原因特定急ぐ
                            福島民報 2024/9/18
 福島県の東京電力福島第1原発2号機で続いている溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しで、東電は17日、採取用のパイプ型装置の先端付近にあるカメラの映像が送信できない不具合により作業を中断したと発表した。同日はデブリを装置でつかむ作業を予定していたが、原因を特定できなかったため再開を断念した。カメラは採取するデブリの選定などに不可欠で、東電は原因を特定した上で週内に再び作業着手を目指すが、状況次第では再開時期が延びる可能性もある。廃炉の最難関とされる作業の難しさが改めて浮き彫りとなった。

 東電によると、17日午前6時ごろ、作業を開始したが、原子炉格納容器内に入ったパイプ型装置の電源を入れたところ、先端のカメラ映像が遠隔操作室内のモニターに表示されないトラブルが起きた。装置には計4台のカメラが設置されているが、デブリをつかむ金属製の爪付近に取り付けた2台のみに不具合が生じた。電気は通っていたため、ケーブルの接続部分をつなぎ直すなど復旧を試みたが、改善しなかった。15日に装置の動作確認のため電源を入れた際は、4台のカメラの映像が正常に確認できていたという。
 東電が2019年に実施した2号機格納容器の内部調査では、デブリがあるとされる底部周辺で最大毎時76シーベルトの高線量が確認されている。今回のカメラは、格納容器内で少なくとも45日程度は使える仕様になっており、放射線による故障の影響は考えにくいという。
 17日に記者会見した東電の担当者は「四つのカメラ映像が見えないとデブリの取り出しは難しいと考えている」とし、18日も調査を続け復旧を急ぐ考えを示した。その上で「(パイプ型装置を)引き抜いてカメラを直接確認する可能性もゼロではない」とした。
 県原子力安全対策課は「原因究明と今後の対応について、分かり次第報告するよう東電に求めたい」としている。

 東電は10日にデブリの取り出し作業に着手。国や東電が定める工程表「中長期ロードマップ」の最終盤に当たる第3期に入った。14日から格納容器内のパイプ型装置に付いた操作用カメラの動作や視認性などを確認していた。当初は着手から2週間程度でのデブリ取り出しを想定していたが、計画通りの完了は不透明な状況となっている。


デブリ取り出し カメラ映らず原因を調査(福島)
                         KFB福島放送 2024/9/18
燃料デブリの試験的取り出しは、装置の先端にあるカメラの映像が映らなくなり、18日も作業を止めて、東京電力が原因を調べています。
福島第一原発の燃料デブリの試験的取り出しは、9月13日に取り出し装置を格納容器に押し込む作業が終わり、14日から装置の先端を吊り下げる動作の確認作業が行われていました。
東京電力によりますと、17日、取り出し装置に付いているカメラ4台のうち、先端部分に付けられた2台の映像が、遠隔操作室のモニターに映らなくなりました。
カメラはケーブルの差し替えや、装置の再起動を行っても復旧には至らず、東京電力は、作業を中断して原因を調べています。

2024年9月16日月曜日

会報NO.31のテキスト版を掲示します

 「原発をなくす湯沢の会会報 NO.31」が11日付で発行されました。そのテキスト版を掲示します。
同会報のPDF版は下記のURLをクリックすると開きます。
https://drive.google.com/file/d/1imNyA0aCE6L9qEjnK6cDrMk8MFD6BJb4/view?usp=sharing 
・「なくそテ原発 2024 柏崎大集会 案内リーフレット」のPDF版は下記のURLをクリックすると開きます。原寸比70%の縮小版なので拡大してご覧になってください。
https://drive.google.com/file/d/1ij0MHplLm10As7ZwEtu5rXFlUmLNUrll/view?usp=sharing 
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 原発をなくす湯沢の会会報 NO31  2024.9.11


  厳しい残暑が続きますが、朝夕は涼しさも感じられようやく猛暑を乗り切ったようです。
  8月18日、町公民館で開催した「おしどりマ・ケン トークライブ」には、約60人の
 参加者があり、皆さん熱心に聞き入っていました。公民館の配慮で開催会揚が教室からホ
 ルに急に変更になりましたが、出演者にも参加者にもかえって良かったようです。
  原発問題に関するこのようなイベントを今回の経験も活かしこれからも取り祖んでい
 予定です。

「なくそテ原発2024柏崎大集会」に参加しましょう
  同封したチラシのとおり9月29日に今年の柏崎大集会が実施されます。岸田政権が、柏
 崎刈羽原発の再稼働に向けて異常ともとれる動きを強める中、それを押しとどめる特別に大
 事な集会になります。
  また、後段に記したとおり「県民投票条例の直接請求署名運動」が10月から始まります。
 この署名運動を成功させることを確認しあう場にもなると思います。

  9月29日(日)9:30 湯沢町公民館前出発
  参加費 1500円 (バスの借上げ代などに使います)


■「柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例の直接請求署名運動」の成功を!
  柏崎刈羽原発再稼働の是非について、県民の意思を示すための県民投票を行うことを求める
 運動になります。その為には、前段として県民投票条例の制定が必要であり、地方自治法に
 定められた「条例制定の直接請求署名」を実施し、その署名を知事に提出後県議会で審議さ
 れ投票条例が決定されるものです。(詳細は、同封のビラを参照してください。)
  署名は、県内の有権者の50分の1以上の筆数がないと有効になりません。また、県議会
 議員への影響という点からも、いかに多くの署名を集めるかが条例制定のカギとなります。
  湯沢町でも、50分の1に相当する数の数倍の署名を集めるよう計而していますが、この
 署名は「署名受任者」によって集められます。従って、受任者もできるだけ多い方がいいわ
 けです。署名は10月から開始される予定です。どうかあなたも受者になって署名運動を
 成功させてください
  なお、原発をなくす湯沢の会と協力団体により、署名運動の推進を図るため、署名スター
 トアップ集会を開催します。署名受任者になられた方、これからなろうとする方、関係者・
 団体の方ぜひご出席いただきますようお願いします。

 県民投票条例の直接請求署名運動スタートアップ集会

  ■日 時  9月22日(日) 午後130~同3OO
  ■会 場  湯沢町公民館 3階会議室
         署名推進体制、署名のやり方などを話し合います。


会報発行責任者 原発をなくす湯沢の会事務局 南雲敏夫 電話090-2674-9414

自民総裁選 復興軸に9候補訴え 演説会場超満席 福島市

 自民党総裁選の地方演説会は15日、福島市で開かれ、9人の候補者が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興をはじめ、山積する県内の課題の解決に向けた政策を訴えました650人収容の会場には市民1100人が集まり、廊下まで人々で溢れました。
 10分ずつの持ち時間で9人の候補たちは、原発事故からの復興策や廃炉策、福島の未来像などについてそれぞれ語りました。
 異色であったのは小泉進次郎氏で、持ち時間10分のうち5分を自分の家族の話に費やしたということです。

 スポニチが小泉氏に関して「また家族話…進次郎氏 ピンチ? 政策の話は薄く党員票3位に後退」と題した、かなり辛辣な記事を出しましたので福島民報、福島民友の記事と共に紹介します。
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自民総裁選 復興軸に9候補訴え 福島演説会 福島県内の課題解決に向け、輸入規制撤廃や財源確保など独自色
                           福島民報 2024/9/16
 岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選の地方演説会は15日、福島市のウェディングエルティで開かれ、過去最多となる9人の候補者が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興をはじめ、山積する県内の課題の解決に向けた政策を訴えた。原発事故に伴う輸入規制の撤廃、中長期的な復興財源の確保、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の支援などにそれぞれの独自色を打ち出した。
 福島第1原発の処理水の海洋放出による中国の輸入規制が続く中、小泉進次郎元環境相は「世界に福島の食の安全性をPRしたい。規制する中国の問題に果敢に取り組む」と訴えた。高市早苗経済安全保障担当相は「(中国が)『核汚染水』と(誤った表現を)平気で言っていた。(風評を防ぐために)国際機関に良い人材を送り込むことが大事」と強調した。

 第2期復興・創生期間が来年度で完了し、その後の復興事業の規模が不確定となっている。林芳正官房長官は「(期間完了後も)第2期を上回る財源を確保し、復興を成し遂げる。特定帰還居住区域の設定も重点的に進める」と明言茂木敏充幹事長も「予算をさらに確保し、廃炉を完了させる。最先端を感じられる福島をつくりたい」と意欲を表明した。上川陽子外相も「風評に苦しむ全ての産業が立ち上がれるよう2期後も国が先頭に立って復興に取り組む」との考えを示した。

 課題となっている産業の復興や集積に向け、加藤勝信元官房長官は「昨年創設されたエフレイを応援し、地域の研究開発や産業の拠点としていかなくてはいけない」と力説。小林鷹之前経済安保相は「福島から世界と勝負できる産業をつくりたい。国内外から企業や研究機関を呼び込む」と言葉に力を込めた。
 福島県は台風などで相次ぎ被害を受けている。防災省の創設に触れたのは石破茂元幹事長。「日本は世界一の災害大国。被災した自治体に事務をさせず、助けに行く体制を整えていく」と提唱した。農業振興に向け河野太郎デジタル相は農産物輸出の重要性を掲げ、「生産量を増やし、国内で消費できない分は海外へ持って行って稼ぐ」と述べた。


自民総裁選、福島で演説会 復興の在り方、政策や独自主張乏しく
                          福島民友 2024/09/16
 自民党総裁選の所見発表演説会が15日、福島市で開かれ、立候補した9人が本県復興の在り方などで論戦を繰り広げた。各候補は第2期復興・創生期間(2021~25年度)終了後の財源や東京電力福島第1原発事故による日本産食品の輸入規制撤廃などに関して主張を交わしたが、復興政策に対して踏み込んだ発言はなかった。
 未定となっている第2期後の復興予算について、林芳正官房長官は「第2期を上回る財源をしっかり確保し、復興を成し遂げることを約束したい」と強調。加藤勝信元官房長官は「財源を確保し、地域の復興と創生を遂げたい。福島国際研究教育機構(エフレイ)もまだこれからだ」と述べた。

 演説会は各候補者が10分間、自由に政見を述べる形式。復興予算には多くの候補者が触れた一方、焦点の財源規模や期間への言及はなかった。
 環境相時代などに本県との関わりが多い小泉進次郎氏は「私にとって福島は原点だ」と語り、中国などが続ける日本産食品の輸入規制に関し「首相在任中に決着できるよう、取り組みをさらに加速させる」と約束した。上川陽子外相は「粘り強く交渉し、規制を撤廃する。風評被害に苦しむ全ての産業が立ち上がれるよう、第2期後も国が復興の先頭に立つ」と訴えた。
 浜通りを中心に進む新産業創出に関しては、高市早苗経済安全保障担当相が「エフレイでスマート農業や医療、ドローンなどさまざまな研究が進む。福島で生まれた技術・人材力に多くの日本人が助けられる日が必ず来る」と力説。小林鷹之前経済安保相は「世界と勝負できる産業の塊を福島に設け、国内外から企業や研究機関、人を呼び込む。雇用を創出し、若者が安心して住める地方をつくりたい」とした。
 石破茂元幹事長は「懸命に復興庁の法案を書き、今につながった」と震災後を振り返り「いかにして国民を守るか、その体制をつくらねばならない」と防災庁創設の必要を訴えた。地方創生を巡り、茂木敏充幹事長は「先端企業を地方に立地するなどし、東京一極集中を是正したい」と語った。河野太郎デジタル相は地方分権改革に触れ「国がお金を集め、分配し、自治体に任せる仕事を増やしたい」と述べた。
 復興に関する主張は与党の政府提言に沿う内容が多く、候補者独自の主張は乏しかった。除染土壌の県外最終処分など全国で難航が予想される課題にも言及はなく、来場者の一人は「福島の課題に対する温度差を感じた」と漏らした。市民約1100人が来場した。

「濃淡はっきり」
 復興や経済の政策などを県民目線で考えてー。福島市で15日に行われた自民党総裁選の立候補者9人による所見発表演説会。来場した党員や市民らからは「日本を変えてくれる期待を感じさせてくれた」との声が上がった一方で、本県の復興に関して目新しい政策や踏み込んだ言及はなく「耳障りのいい言葉ばかりが並んだ印象もあった」との意見もあった。
 650席を用意した会場には約1100人が押し寄せ、演説会は廊下まで立ち見が出るほどの注目を集めた。各候補は東日本大震災後の本県との関わりや復興への思いなど、それぞれのエピソードを交えて演説。福島市の会社員広野満(みつる)さん(74)は「9人の福島への思いは感じることができた」と感想を語った。
 ただ県内の政界では、本県が抱える課題に対してより踏み込んだ論争もあると予想されていた。終了後、自民系地方議員の一人は「候補者によって濃淡がはっきり表れた」と述べた。また福島市の主婦(72)は「発言内容が薄く、単なる地元へのリップサービスに感じた候補者もいた」と率直な思いを語った。

 会場には若い世代の姿もあった。「復興に関する部分以外では、それぞれ力を入れている政策に特色が感じられた」と話すのは、友人3人と一緒に訪れた福島大2年の木下京美(ことみ)さん(20)。「物価高の今、1人暮らしの生活への影響は大きく、将来働いた時への不安もある。給与所得の増加や日本経済の成長に注目していきたい」と経済政策に期待した。

裏金言及せず
 同大2年の伊藤智充(ともみつ)さん(20)は、政権退陣のきっかけとなった派閥裏金事件に言及する候補がいなかったことを指摘。「会場で配られた各候補のチラシには裏金問題への対応が書かれていたが、誰も話さなかったことは気になった」と振り返った。


また家族話…進次郎氏 ピンチ? 政策の話は薄く党員票3位に後退
                            スポニチ 2024/9/16
 自民党総裁選の立候補者9人が15日、福島市内のホールで演説会を行った。10分間の演説時間で東京電力福島第1原発事故からの復興加速や、処理水放出に伴う風評被害対策などをそれぞれ訴えた。
【写真あり】衝撃!進次郎氏の妻・滝クリ、自転車転倒事故を報告「目元の眉の脇をぱっくり切り10数針縫って」写真を投稿

 注目の小泉進次郎元環境相は演説会冒頭、司会者から「小泉純一郎」と父親の名前で呼ばれるハプニングに見舞われた。その時は苦笑いしていたが、演台に立つと「先ほどは、ご紹介いただきました小泉純一郎です。ただいまは、ご紹介いただきました小泉進次郎です」とあいさつ。同義語を繰り返す“進次郎構文”を思わせる表現で演説を始めた。
 東日本大震災後、足しげく福島を訪れたといい「なぜこんなに福島のためにという思いが湧くんだろうと自問した。答えはシンプルでした」と力説。そして司会者を横目に「間違えるのは案外、間違っていないんです。納得感がある」とした上で「私と福島のつながりのきっかけを与えてくれたのが父だからです」と強調。司会者をフォローする意図があったのかもしれないが、あまりに独特な“構文”で聴衆を困惑させた
 さらに“家族エピソード”は続き、子供の頃、純一郎氏に連れられ毎年、福島県猪苗代町の箕輪スキー場に旅行したといい「初めて雪を見たのも、馬刺しを食べたのも福島でした」と話した。「福島への思いを、父親として子供に引き継ごうと思った」と、4歳の長男を温泉に連れて行き、安達太良山(あだたらやま)のロープウエーに乗せたと、県内の観光名所を挙げながら家族旅行の思い出を披露。愛犬も一緒だったと付け加え「ちなみにその犬は浪江町出身。私の妻が原発事故で取り残された犬を保護して、今16歳」とフリーアナウンサーの滝川クリステルにも言及した。

 12日の会見で実母のエピソードに触れたのに続いて、またも繰り出した家族の話は持ち時間10分のうち約5分。首相に就任したら風評被害に取り組むと訴えたが「世界に農産物、海産物を出していけるよう頑張っていきたい」と語るのみで具体策はなく、SNS上には「政策はどうなっているのか」などの書き込みが相次いだ
 国民的人気を背景に早くから本命視されている小泉氏だが、告示後のテレビ番組や演説会で他候補や司会との会話がかみ合わないことが多く、説明力の未熟さや論戦の弱さが露呈し始めている。実際、党関係者の間で出回っているデータでは、党員票で高市早苗経済安保担当相に逆転され3位に転落。党関係者は「現時点では議員票との合計で2位につけている。決選投票に進めば勝てると思うが、日を追うごとに党員の信頼を失っているのが心配だ」と頭を抱えている。

16- 16日に研修成果発表 Jヴィレッジ 最終処分学んだ高校生ら 福島県

 この夏、国内やスウェーデンの原発関連施設を巡り、原発高レベル放射性廃棄物の最終処分について学んだ「ふくしまハイスクールアカデミー2024」の高校生は16日、福島県のJヴィレッジ(楢葉・広野町)で報告会を開きます
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16日研修成果発表 Jヴィレッジ 最終処分学んだ高校生 福島県双葉町
                          福島民報 2024/09/15
 今夏、国内やスウェーデンの原発関連施設を巡り、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について学んだ「ふくしまハイスクールアカデミー2024」の高校生は16日、福島県のJヴィレッジ(楢葉・広野町)で報告会を開く。研修の概要や最終処分に関する教育、対話のあり方などを国内とスウェーデンの状況を比較して、意見発表する。
 広野町のハッピーロードネットの主催。浜通りや北海道、東京都、福井県の高校生13人は8月、青森県六ケ所村の日本原燃、東京電力福島第1原発、スウェーデンの岩盤研究所や最終処分場建設予定地などを視察した。同世代の学生らと意見交換を重ね、学びを深めた。
 生徒らは14日、Jヴィレッジに集い、発表テーマごとの班に分かれて報告会の準備を進めた。

2024年9月14日土曜日

敦賀原発2号機“不許可”でも「廃炉にしない」通用する?

 毎日新聞が掲題の記事を出しました。
 敦賀原発2号機は仮に正式に「再稼働 不許可」となったとしても、規制庁などが「廃炉」を強制することは出来ないということで、日本原電はこの先も数年を掛けて地盤の安全性を証明するとしています。
 問題はその間の日本原電の維持費(年間数百億円)をどうするのかですが、それは電力の購入契約を結んでいる関電、中部電力、北陸電力が毎年支払う基本料金で確保されるということです。具体的には関連3社の電気料金から支払われるので全て国民が負担しているわけです。
 要するに原電と上記の3社は自分たちのフトコロを傷めることなく、原電の存続を維持できるということで、決して健全とはいえません。
 それは東海第2原発(東電と東北電力が電力を購入する契約)でも全く同様です。
 このたび関電と中部電の個人株主のグループが、「規制委が『動かせない』と判断した敦賀原発2号機に今後も資金供与を続けることを認めるわけにいかない」とする要望書を両社に提出したのは当然です。
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敦賀原発2号機“不許可”でも「廃炉にしない」通用する?
                            毎日新聞 2024/9/13
 東京電力が毎年550億円の基本料金のほか、「将来の電力料金の前払い」で「資金的協力」を行っている日本原子力発電には、東電が支援する東海第2原発(茨城県)の他に敦賀原発2号機(福井県)がある。その敦賀原発2号機は関西電力など大手電力3社が基本料金を払っているが、廃炉の瀬戸際にある。【毎日新聞経済プレミア・川口雅浩】

 原子力規制委員会は2024年8月28日、敦賀原発2号機について、原子炉直下に活断層があることを否定できず、新規制基準に適合しないとする審査書案を了承した。一般から意見公募した後、規制委は秋以降、2号機の再稼働を「不許可」とする方針だ。
 「昨年まで十分な審査ができる状況になかった。異常な審査の状況だった。(原電が提出した資料に)非常に多くの間違いやデータの書き換えなどがあり、まともな審査ができた期間というのは非常に限られていた」
 規制委の山中伸介委員長は8月28日の委員会後の記者会見で、「今回の判断に迷いはなかった。技術的に疑問を持つものはない」と審査書案に自信を示しながらも、これまでの原電の対応に苦言を呈した。

◇原電の提出資料に書き換え
 山中委員長が苦言を呈したのは、原電が規制委に提出した断層データの無断書き換えが20年2月に発覚し、規制委が審査を中断。22年12月に審査を再開したが、原電の提出資料にさらに誤りが見つかり、23年4月に再び審査を中断したことなどを指している。
 8月28日の委員会では「19年10月から22年10月までに原電の審査資料に1140カ所の誤りがあった。データの書き換えもあった。22年12月にさらに157カ所の誤りがあり、23年3月にはさらに8カ所の誤りがあった」などと、原子力規制庁がこれまでの経緯を報告した。
 2回の審査中断を経て、規制委は「次に同様の不備があれば審査の打ち切りもあり得る」と通告。原電が断層に関する資料を再提出し、審査が再開したのは23年9月だった。
 なぜ、これほど多くの誤りやデータの書き換えが次々と見つかるのか。前回の本欄でリポートした通り、東海第2原発の防潮堤をめぐっては施工不良が見つかり、完成時期が3度も延期となっている。原電は新たな対応方針を8月29日に示したが、原子力規制庁から「実現性の見通しが全く立っていない」と、即座に再考を求められた。
 どうして原電はこれほどトラブル続きで、規制委や規制庁の指摘を何度も受けるのか。筆者が原電に尋ねたところ、原電は「審査資料にかかる品質管理が十分でなかった。当社としては、規制委や規制庁の指摘について真摯(しんし)に受け止めて検討し、対応していく」と回答した。

◇「廃炉の選択肢はない」
 今回、規制委が敦賀原発2号機の再稼働を不許可とする審査書案を了承したことについて、原電は不許可になっても2号機を廃炉にせず、追加調査をした上で審査を再申請する意向だ。原電は原子炉直下の活断層について、引き続き「活断層でない」と主張。村松衛社長は「廃炉の選択肢はない」と発言している。
 再稼働が不許可となっても、原電が廃炉の判断をせず、規制委に審査を再申請することは可能だ。原電は9月2日、敦賀原発2号機について「追加調査案を社外の専門家の意見も踏まえながら具現化し、稼働に向け取り組んでいく」とのコメントを発表した。
 しかし、敷地内には今回問題となった断層以外にも約200本の断層があるほか、マグニチュード7級の地震を起こす活断層も走る。山中委員長は記者会見で「非常にたくさんの断層があるので、活動性を否定するのは大変困難」と述べ、再審査でも許可するのは難しいとの見解を示した。
 原電が再稼働を目指す原発のうち、東海第2原発は東電と東北電力が電力を購入する契約を結び、基本料金を払っている。敦賀原発2号機は関電、中部電力、北陸電力が購入契約を結び、基本料金を支払っている。
 ところが両原発とも11年5月以降、運転を停止している。発電ゼロにもかかわらず、原電に基本料金を支払う構図は、東電だけでなく、関電なども同じだが、「将来の電力料金の前払い」で原電を支援するのは東電だけだ。

◇関電などの株主が要望書
 敦賀原発2号機の再稼働が不許可となり、原電が規制委に審査を再申請するにしても、再審査に向けた原電の追加調査は数年以上かかる見通しだ。規制委の再審査にも年単位の時間がかかるだろう。
 その場合、関電など大手3社は発電ゼロの原電に基本料金を払い続けるのか。関電に尋ねると、「当社として敦賀原発2号機は貴重な電源との認識で、引き続き必要な支援を行っていく。原発が稼働していない間も安全に維持管理することは必要で、基本料金の内容を精査したうえで、最低限の費用を支払うことにしている」との答えが返ってきた。
 関電と中部電の個人株主のグループは「規制委が『動かせない』と判断した敦賀原発2号機に今後も資金供与を続けることを認めるわけにいかない」として、「これ以上の資金供与を原電にせず、速やかに2号機を廃炉とするよう原電に求めてほしい」とする要望書を両社に提出した。
 再稼働が正式に不許可となった場合でも、このままでは敦賀原発2号機は廃炉とならず、関電など大手電力は基本料金を払い続けることになりそうだ。東電は敦賀原発2号機から電力を購入する契約はないが、基本料金や「電力料金の前払い」が東海第2原発で続くことになる。果たして、発電ゼロの原電への支援はいつまで続くのか。東電を含む大手電力の原電への対応が、株主などから厳しく問われるのは避けられそうにない。