2024年9月9日月曜日

「柏崎刈羽」で閣僚会議 再稼働狙い避難対策強化を確認

 退任前に再稼働の道筋を付けたい岸田首相は6日、柏崎刈羽原発の再稼働を目指して関係閣僚会議を開き、地元の理解を得るため災害時の避難体制を強化する方針を確認し「再稼働への理解が進むよう関係閣僚で緊密に連携し、政府を挙げてさらなる具体的な対応を行ってほしい」と述べ、国の関与を強める姿勢を強調しました。
 経産省幹部らは、同日、新潟県を訪れ、避難道路の整備や除雪車両の増強、屋内退避施設の設置拡大等は国の費用で行うことを説明しました。これは新潟県には原発稼働によるメリットは何もないので当然のことです。
 問題はそうした方向性乃至具体的な計画が定まればいいのではなくて、立石雅昭新潟大学名誉教授が指摘するように、再稼働時にはそうしたすべての対応が、ハード的ソフト的に完成している必要があるということです。
 その観点からも、東電が来年やそこらの再稼働を目指しているのは、余りにも不心得であり、無定見です。
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「柏崎刈羽」で閣僚会議 再稼働狙い避難強化確認
                        しんぶん赤旗 2024年9月7日
 政府は6日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指し、首相官邸で関係閣僚会議を開きました。地元の理解を得るため、災害時の避難体制を強化する方針を確認しました。岸田文雄首相の退任前に再稼働の道筋を付ける狙いです。
 首相は会議で「柏崎刈羽原発の再稼働の重要性は高まっている」と説明。「再稼働への理解が進むよう関係閣僚で緊密に連携し、政府を挙げてさらなる具体的な対応を行ってほしい」と述べ、国の関与を強める姿勢を強調しました。
 経済産業省幹部らは、同日、新潟県を訪れ、政府の対応方針を説しました
 会議では、避難道路の整備に関し、国が新潟県の費用負担なしで進めるため新たな奮議の枠組みの立ち上げを決定。除雪車両の増強や屋内退避施設の設置拡大に加え、集中的な情報発信などの方針も確認しました。新潟県は1月の能登半島地震を受けて柏崎刈羽原発の防災体制を不安視し、対策強化を国に求めていました
 原発は、2011年の東電福島第1原発事故後に運転を停止。再稼働を目指していますが、テロ対策の不備が相次ぎ、21年に原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けました。昨年12月に命令は解除され、今年6月に検査を終えましたが、地元の同意は得られていません。

県民の命守る姿勢欠落
新潟大学名誉教授 立石雅昭氏
 岸田政権が昨年打ち出した「原発回帰」路線の具体的な目的は、当初から新潟の柏崎刈羽原発の再稼働にありました。
 しかし、元日に起きた能登半島地震は、新潟県民の原発再稼働への不安・危惧を層高
め、とりわけ、現状の防災・避難計画では命を守れないという思いから、早期の再稼働に反対する声が多くなりました。
 この間、再稼働に向け、「政府が前面に立つ」とうたって、7回にわたって経済産業省や原子力規制委員会が、県民への説明会を開催してきましたが、県民から出され疑問や質問に向き合うことなく、当初の説明を繰り返すのみでした。
 そこには、原発の安全性を高め、県民の命・暮らしを守る姿勢の欠落が見て取れます。国民からの強い批判にさらされ、退陣する岸田首相が閣僚会議で対策を求め、県に説明に訪れても、どれほどほど、実効性のある安全対策が練り上げられているでしょうか。
 大きな地震や豪雪が襲うことは無いという夢想のもとでの小手先の対策、道路の整備や放射線防護施設の拡充で、県に説明材料を与えるためだけの会議となっています。県民がそれで納得するわけはありません。
 まして、そうした対策でさえ、完成してからこれでいかがかというのでは無く、計画段階で再稼働を求めるなど、言語道断です。不祥事の続く東京電力を救済するための対策でしか無いと言えます。


岸田首相 柏崎刈羽原発の再稼働へ 避難路整備を関係閣僚に指示
                    NHK NEWS WEB 2024年9月6日
岸田総理大臣は、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向け、新潟県が要望している原発で重大な事故が起きた際の避難路の整備などを政府として進めるよう、関係閣僚に指示しました。
柏崎刈羽原発をめぐっては、去年12月、原子力規制委員会から出されていた事実上、運転を禁止する命令が解除されたことから、再稼働に向け、地元の同意を得られるかが焦点となっています。
こうした中、岸田総理大臣は6日に開いた関係閣僚会議で「原子力発電所の再稼働は安全性の確保を大前提としつつ地元の理解を得たうえで再稼働していくのが政府の一貫した方針で柏崎刈羽原発についても、この方針に基づき、対応する」と述べました。
そのうえで「関係閣僚は事業者に対する指導・監督、地元の地理や気候を踏まえた避難路の整備など、対応を着実に進めてほしい」と述べ、政府として原発で重大な事故が起きた際の避難路の整備などを進めるよう指示しました。
新潟県は、ことし6月、国に対し、原発で重大事故が起きた際、半径30キロ圏外に住民が避難するための道路や、被ばくを防ぐために屋内に退避できる施設の整備を強化するよう要望していました。
政府としては、新潟県の要望に応じ、安全対策を強化することで、柏崎刈羽原発の再稼働への道筋をつけるねらいがあるとみられます。

林官房長官 “再稼働の理解促進へ 具体的な対応を進める”
林官房長官は、閣議のあとの記者会見で「柏崎刈羽発電所は、東日本の電力供給構造のぜい弱性や電気料金の東西の格差、それに今後の産業競争力や経済成長を左右する脱炭素電源確保などの観点から再稼働の重要性が高まっている。再稼働への理解が進むよう、関係閣僚で緊密に連携し、政府をあげて具体的な対応を進めていく」と述べました。