2024年9月16日月曜日

自民総裁選 復興軸に9候補訴え 演説会場超満席 福島市

 自民党総裁選の地方演説会は15日、福島市で開かれ、9人の候補者が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興をはじめ、山積する県内の課題の解決に向けた政策を訴えました650人収容の会場には市民1100人が集まり、廊下まで人々で溢れました。
 10分ずつの持ち時間で9人の候補たちは、原発事故からの復興策や廃炉策、福島の未来像などについてそれぞれ語りました。
 異色であったのは小泉進次郎氏で、持ち時間10分のうち5分を自分の家族の話に費やしたということです。

 スポニチが小泉氏に関して「また家族話…進次郎氏 ピンチ? 政策の話は薄く党員票3位に後退」と題した、かなり辛辣な記事を出しましたので福島民報、福島民友の記事と共に紹介します。
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自民総裁選 復興軸に9候補訴え 福島演説会 福島県内の課題解決に向け、輸入規制撤廃や財源確保など独自色
                           福島民報 2024/9/16
 岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選の地方演説会は15日、福島市のウェディングエルティで開かれ、過去最多となる9人の候補者が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興をはじめ、山積する県内の課題の解決に向けた政策を訴えた。原発事故に伴う輸入規制の撤廃、中長期的な復興財源の確保、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の支援などにそれぞれの独自色を打ち出した。
 福島第1原発の処理水の海洋放出による中国の輸入規制が続く中、小泉進次郎元環境相は「世界に福島の食の安全性をPRしたい。規制する中国の問題に果敢に取り組む」と訴えた。高市早苗経済安全保障担当相は「(中国が)『核汚染水』と(誤った表現を)平気で言っていた。(風評を防ぐために)国際機関に良い人材を送り込むことが大事」と強調した。

 第2期復興・創生期間が来年度で完了し、その後の復興事業の規模が不確定となっている。林芳正官房長官は「(期間完了後も)第2期を上回る財源を確保し、復興を成し遂げる。特定帰還居住区域の設定も重点的に進める」と明言茂木敏充幹事長も「予算をさらに確保し、廃炉を完了させる。最先端を感じられる福島をつくりたい」と意欲を表明した。上川陽子外相も「風評に苦しむ全ての産業が立ち上がれるよう2期後も国が先頭に立って復興に取り組む」との考えを示した。

 課題となっている産業の復興や集積に向け、加藤勝信元官房長官は「昨年創設されたエフレイを応援し、地域の研究開発や産業の拠点としていかなくてはいけない」と力説。小林鷹之前経済安保相は「福島から世界と勝負できる産業をつくりたい。国内外から企業や研究機関を呼び込む」と言葉に力を込めた。
 福島県は台風などで相次ぎ被害を受けている。防災省の創設に触れたのは石破茂元幹事長。「日本は世界一の災害大国。被災した自治体に事務をさせず、助けに行く体制を整えていく」と提唱した。農業振興に向け河野太郎デジタル相は農産物輸出の重要性を掲げ、「生産量を増やし、国内で消費できない分は海外へ持って行って稼ぐ」と述べた。


自民総裁選、福島で演説会 復興の在り方、政策や独自主張乏しく
                          福島民友 2024/09/16
 自民党総裁選の所見発表演説会が15日、福島市で開かれ、立候補した9人が本県復興の在り方などで論戦を繰り広げた。各候補は第2期復興・創生期間(2021~25年度)終了後の財源や東京電力福島第1原発事故による日本産食品の輸入規制撤廃などに関して主張を交わしたが、復興政策に対して踏み込んだ発言はなかった。
 未定となっている第2期後の復興予算について、林芳正官房長官は「第2期を上回る財源をしっかり確保し、復興を成し遂げることを約束したい」と強調。加藤勝信元官房長官は「財源を確保し、地域の復興と創生を遂げたい。福島国際研究教育機構(エフレイ)もまだこれからだ」と述べた。

 演説会は各候補者が10分間、自由に政見を述べる形式。復興予算には多くの候補者が触れた一方、焦点の財源規模や期間への言及はなかった。
 環境相時代などに本県との関わりが多い小泉進次郎氏は「私にとって福島は原点だ」と語り、中国などが続ける日本産食品の輸入規制に関し「首相在任中に決着できるよう、取り組みをさらに加速させる」と約束した。上川陽子外相は「粘り強く交渉し、規制を撤廃する。風評被害に苦しむ全ての産業が立ち上がれるよう、第2期後も国が復興の先頭に立つ」と訴えた。
 浜通りを中心に進む新産業創出に関しては、高市早苗経済安全保障担当相が「エフレイでスマート農業や医療、ドローンなどさまざまな研究が進む。福島で生まれた技術・人材力に多くの日本人が助けられる日が必ず来る」と力説。小林鷹之前経済安保相は「世界と勝負できる産業の塊を福島に設け、国内外から企業や研究機関、人を呼び込む。雇用を創出し、若者が安心して住める地方をつくりたい」とした。
 石破茂元幹事長は「懸命に復興庁の法案を書き、今につながった」と震災後を振り返り「いかにして国民を守るか、その体制をつくらねばならない」と防災庁創設の必要を訴えた。地方創生を巡り、茂木敏充幹事長は「先端企業を地方に立地するなどし、東京一極集中を是正したい」と語った。河野太郎デジタル相は地方分権改革に触れ「国がお金を集め、分配し、自治体に任せる仕事を増やしたい」と述べた。
 復興に関する主張は与党の政府提言に沿う内容が多く、候補者独自の主張は乏しかった。除染土壌の県外最終処分など全国で難航が予想される課題にも言及はなく、来場者の一人は「福島の課題に対する温度差を感じた」と漏らした。市民約1100人が来場した。

「濃淡はっきり」
 復興や経済の政策などを県民目線で考えてー。福島市で15日に行われた自民党総裁選の立候補者9人による所見発表演説会。来場した党員や市民らからは「日本を変えてくれる期待を感じさせてくれた」との声が上がった一方で、本県の復興に関して目新しい政策や踏み込んだ言及はなく「耳障りのいい言葉ばかりが並んだ印象もあった」との意見もあった。
 650席を用意した会場には約1100人が押し寄せ、演説会は廊下まで立ち見が出るほどの注目を集めた。各候補は東日本大震災後の本県との関わりや復興への思いなど、それぞれのエピソードを交えて演説。福島市の会社員広野満(みつる)さん(74)は「9人の福島への思いは感じることができた」と感想を語った。
 ただ県内の政界では、本県が抱える課題に対してより踏み込んだ論争もあると予想されていた。終了後、自民系地方議員の一人は「候補者によって濃淡がはっきり表れた」と述べた。また福島市の主婦(72)は「発言内容が薄く、単なる地元へのリップサービスに感じた候補者もいた」と率直な思いを語った。

 会場には若い世代の姿もあった。「復興に関する部分以外では、それぞれ力を入れている政策に特色が感じられた」と話すのは、友人3人と一緒に訪れた福島大2年の木下京美(ことみ)さん(20)。「物価高の今、1人暮らしの生活への影響は大きく、将来働いた時への不安もある。給与所得の増加や日本経済の成長に注目していきたい」と経済政策に期待した。

裏金言及せず
 同大2年の伊藤智充(ともみつ)さん(20)は、政権退陣のきっかけとなった派閥裏金事件に言及する候補がいなかったことを指摘。「会場で配られた各候補のチラシには裏金問題への対応が書かれていたが、誰も話さなかったことは気になった」と振り返った。


また家族話…進次郎氏 ピンチ? 政策の話は薄く党員票3位に後退
                            スポニチ 2024/9/16
 自民党総裁選の立候補者9人が15日、福島市内のホールで演説会を行った。10分間の演説時間で東京電力福島第1原発事故からの復興加速や、処理水放出に伴う風評被害対策などをそれぞれ訴えた。
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 注目の小泉進次郎元環境相は演説会冒頭、司会者から「小泉純一郎」と父親の名前で呼ばれるハプニングに見舞われた。その時は苦笑いしていたが、演台に立つと「先ほどは、ご紹介いただきました小泉純一郎です。ただいまは、ご紹介いただきました小泉進次郎です」とあいさつ。同義語を繰り返す“進次郎構文”を思わせる表現で演説を始めた。
 東日本大震災後、足しげく福島を訪れたといい「なぜこんなに福島のためにという思いが湧くんだろうと自問した。答えはシンプルでした」と力説。そして司会者を横目に「間違えるのは案外、間違っていないんです。納得感がある」とした上で「私と福島のつながりのきっかけを与えてくれたのが父だからです」と強調。司会者をフォローする意図があったのかもしれないが、あまりに独特な“構文”で聴衆を困惑させた
 さらに“家族エピソード”は続き、子供の頃、純一郎氏に連れられ毎年、福島県猪苗代町の箕輪スキー場に旅行したといい「初めて雪を見たのも、馬刺しを食べたのも福島でした」と話した。「福島への思いを、父親として子供に引き継ごうと思った」と、4歳の長男を温泉に連れて行き、安達太良山(あだたらやま)のロープウエーに乗せたと、県内の観光名所を挙げながら家族旅行の思い出を披露。愛犬も一緒だったと付け加え「ちなみにその犬は浪江町出身。私の妻が原発事故で取り残された犬を保護して、今16歳」とフリーアナウンサーの滝川クリステルにも言及した。

 12日の会見で実母のエピソードに触れたのに続いて、またも繰り出した家族の話は持ち時間10分のうち約5分。首相に就任したら風評被害に取り組むと訴えたが「世界に農産物、海産物を出していけるよう頑張っていきたい」と語るのみで具体策はなく、SNS上には「政策はどうなっているのか」などの書き込みが相次いだ
 国民的人気を背景に早くから本命視されている小泉氏だが、告示後のテレビ番組や演説会で他候補や司会との会話がかみ合わないことが多く、説明力の未熟さや論戦の弱さが露呈し始めている。実際、党関係者の間で出回っているデータでは、党員票で高市早苗経済安保担当相に逆転され3位に転落。党関係者は「現時点では議員票との合計で2位につけている。決選投票に進めば勝てると思うが、日を追うごとに党員の信頼を失っているのが心配だ」と頭を抱えている。