2024年9月11日水曜日

除染土再利用「基準に合致」 IAEA、最終報告書で評価

 国際原子力機関(IAEA)は10日、福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の再生利用や最終処分する国の計画について「IAEAの安全基準に合致している」と評価する最終報告書を公表しました。
 福島原発事故前には1㎏あたり100ベクレルを超えれば放射性汚染物質として扱い、ドラム缶などに入れて特定の場所に厳重に保管するのが基準でした。それを今度は1㎏あたり8千ベクレルまでの土砂は道路の材料などに使ってよいということなの、一体以前の基準は何だったのか、8千ベクレルの土砂が全国にバラまかれても本当に大丈夫なのか大いに疑問です
 そういえば事故後もう13年が経過しましたが日本ではいまも「年間20ミリシーベルト以下の被曝であれば健康上問題ない(そこから避難した人たちは自主避難者として法律上の庇護を受けない)」という世界の非常識がまかり通っているのですが、IAEAはそれも認めているのでしょうか。
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除染土再利用「基準に合致」 IAEA、最終報告書で評価 東京電力福島第1原発事故
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 国際原子力機関(IAEA)は10日、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の再生利用や最終処分する国の計画について「IAEAの安全基準に合致している」と評価する最終報告書を公表した。「再生利用と最終処分のための日本の取り組みを継続して支援していく」とも表明した。環境省は今年度中に再生利用や最終処分の基準などを策定する予定で、IAEAのお墨付きを得て作業を加速させる方針だ。

 中間貯蔵施設に保管されている除染土壌は8月末時点で約1393万立方メートル。法律で定められている2045年3月までに県外最終処分を実現するためには、処分する量をいかに減らせるかが鍵となる。環境省は放射性物質濃度が比較的低いものを全国の公共工事などに使い、処分量を減らしたい考え。
 環境省は再生利用の工事に当たる作業者や周辺住民の追加被ばく実効線量を年間1ミリシーベルト以下に抑えるのを前提に、再生利用する除染土壌の放射性セシウム濃度を1キロ当たり8千ベクレル以下に設定して実証事業を進めてきた。IAEAは報告書で、この基準を適切だとし「線量基準を十分に達成できる」と評価した。
 農地や道路の盛り土に使用する実証事業の安全性は確認されているとし、必要な科学的知見は得られているとした。実証事業のデータから、土の中の放射性セシウムは水にほとんど溶け出さないことも確認した。減容化技術は放射性セシウムが吸着しやすい粘土などと砂や小石などに分ける分級処理、熱処理、飛灰洗浄技術の有効性を認めた。
 一方、環境省が規制と事業実施の双方を担う状況について「規制機能を独立させるべきだ」と指摘した。最終処分の実現には課題が多いとして、場所の選定方法や工程を明確にすることを提案した。
 IAEA原子力安全・セキュリティー局のアナ・クラーク廃棄物・環境安全課長は10日、環境省を訪れ、伊藤信太郎環境相に最終報告書を提出した。伊藤環境相は「最終報告書を踏まえて取り組みを進めていきたい」と述べた。
 IAEAは環境省の要請を受けて昨年5月以降、県内での実証事業を視察するなど会合を重ね、評価や助言をまとめた。

IAEAの最終報告書のポイント
・除染土壌の再生利用と最終処分について、これまで環境省が実施してきた取り組みはIAEAの安全基準に合致している
・専門家チームの助言を十分に満たす対応策を環境省が継続的に模索することで、環境省の展開する取り組みがIAEAの安全基準に合致したものになると確信する
・2045年3月までの福島県外での最終処分を確実にするために取り組むべき課題を多く取り上げた。この困難な目標を実現するために最善の努力をするよう環境省に促した
IAEAは除染土壌および廃棄物の再生利用と最終処分のための日本の取り組みを今も、また今後も、継続して支援していく