原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設に柏崎刈羽原発(新潟県)から出た燃料が初めて搬入されました。背景には原発敷地内での保管が限界に近づき(柏崎刈羽も保管容量の約8割)、原発稼働の活路を開きたいという思惑があります。
今年度は柏崎刈羽原発からキャスク1基(ウラン量12トン)、25年度は2基(同24トン)、26年度は5基(同60トン)を受け入れる計画です。
「核燃料サイクル」で燃料再利用の道筋が見えない中での見切り発車に、住民らは貯蔵の恒久化を懸念しています。
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中間貯蔵、恒久化に懸念 電力業界は原発稼働へ活路
時事通信 2024/9/27
原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設に東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発(新潟県)から出た燃料が初めて搬入された。
国が掲げる「核燃料サイクル」で燃料再利用の道筋が見えない中での見切り発車に、住民らは貯蔵の恒久化を懸念している。背景には原発敷地内での保管が限界に近づき、原発稼働の活路を開きたい電力業界の思惑も透ける。
電気事業連合会によると、全国の原発にたまる使用済み燃料は6月末時点で1・6万トンを超えている。満杯になれば原発は稼働停止に追い込まれる。東電が再稼働を目指す柏崎刈羽も容量の8割に達しており、中間貯蔵施設に運び出すことで原発を安定稼働できる環境を整備したい考えだ。
一方で受け入れ地域は、行き場を失う使用済み燃料に不安を募らせる。核燃料サイクルは、中核施設と位置付けた再処理工場の度重なる完成延期で事実上、行き詰まっている。再処理工場が完成しなければ、中間貯蔵施設からの燃料搬出の見通しが立たない。
青森県の宮下宗一郎知事は今月9日、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官と面会し、県と関係閣僚が意見交換する「核燃料サイクル協議会」の開催を求めた。面会後に記者団の取材に応じた宮下氏は「搬出先については常に確認する必要がある」と警戒感を示した。
使用済み核燃料の中間貯蔵開始 柏崎刈羽原発から初搬入―最長50年保管・青森県むつ市
時事通信 2024年09月26日
東京電力ホールディングスは26日、柏崎刈羽原発(新潟県)から出た使用済み核燃料の一部を、リサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営する中間貯蔵施設(青森県むつ市)に初めて搬入した。再処理されるまで最長50年間にわたる中間貯蔵が事実上スタートした。
使用済み核燃料、初搬入へ 中間貯蔵施設、新潟から運搬―青森
原発敷地外で使用済み燃料を保管するのは国内初。原発内の保管プール容量が限界に近づく中、柏崎刈羽の再稼働を含めた政府の原発推進戦略の追い風となる。ただ、中間貯蔵後の搬出先は不透明で、「永久貯蔵」への懸念も根強い。
東電とRFSによると、搬入されたのは柏崎刈羽4号機の使用済み燃料69体。金属製のキャスク1基に収納し、24日から運搬船で輸送。26日朝にむつ市の港に接岸した。トレーラーに積み替えた上、同日午後4時25分に施設への輸送を完了した。
これを受け、山本知也むつ市長は記者団に「周辺環境への影響がないことが確認されている」と語った。また、宮下宗一郎知事は県庁内で、「これまでの経験や実績におごることなく、これからもより高いレベルで安全性を追求してほしい」と述べた。
使用済み燃料は、核分裂反応が連鎖的に起こる臨界を防止したり、放射線を遮蔽(しゃへい)したりする機能を持つキャスクに入れたまま、自然の空気で冷やす。RFSは今後、最終的な使用前事業者検査を実施。原子力規制委員会が問題ないと判断すれば、10月にも正式に事業を開始する。
中間貯蔵施設では、RFSに出資する東電と日本原子力発電の使用済み燃料を保管する。今年度はキャスク1基(ウラン量12トン)、25年度は2基(同24トン)、26年度は5基(同60トン)を、いずれも柏崎刈羽から受け入れる計画。