9日の成人の日を前に8日、帰還困難区域が設定されている富岡、双葉、浪江の各町で20歳を祝う式典が行われ、震災で離れ離れになった級友との再会に声を弾ませ、古里で晴れの日を迎える喜びをかみしめました。
福島民報が3人の決意などを紹介しました。
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古里で夢、大志 「支える側に」20歳の誓い 避難区域3町 福島県富岡町、双葉町、浪江町
福島民報 2023/1/8
9日の成人の日を前に、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域が設定されている富岡、双葉、浪江の各町で20歳を祝う式典が行われた。震災で離れ離れになった級友との再会に声を弾ませ、古里で晴れの日を迎える喜びをかみしめた。「復興に向けてできることをする」。強い決意を胸に、夢に向かって新たな一歩を踏み出した。
■災害現場活動励む 浪江町 清水郁弥さん(陸上自衛隊)
浪江町内で開かれた二十歳を祝う会に出席した清水郁弥(ふみや)さん(20)は、震災時の避難生活での経験をきっかけに陸上自衛隊に入った。「古里で受けた恩を胸に、今度は自分が被災者を助ける」と決意する。
震災直後、浪江町の避難所に避難していた時、自衛隊員が用意してくれた温かい食事が不安な心を解きほぐしてくれた。その後も古里を離れて生活する町民を黙々と支え続ける自衛隊員の姿が頼もしく目に映った。相馬農高卒業後に陸上自衛隊に入隊した。
山形県の陸上自衛隊神町駐屯地第6施設大隊に所属している。昨年末に同県鶴岡市で発生した土砂崩れの現場で、土砂の撤去や行方不明者の捜索にあたった。泥だらけになり任務を遂行し、「足の踏み場もなく戸惑ったが、住民の生活を取り戻すために必死だった」と振り返った。
祝う会の席上、吉田栄光町長から「町の誇り」と紹介された。「地域に密着し、任務に励んでいきたい」と表情を引き締めた。
■「大好きな町」発信 双葉町 田中奏子さん(大学生)
「双葉町の現状を積極的に発信して復興に貢献していく」。田中奏子(かなこ)さん(20)は、昨年完成した町役場新庁舎で初めて開かれた、はたちを祝う会で、古里の魅力を伝えていく決意をにじませた。
双葉北小2年生の時に震災と原発事故を経験。現在は横浜市の関東学院大に通うが、頻繁に町内を訪れ、町に戻るたびに町並みを撮影し、交流サイト(SNS)に投稿している。「大好きな町」が再生に向けて着実に歩み続けているのを知ってほしい思いから始めた。
保育士を志すが、町内には保育園や学校がまだない。「町に戻るかは正直分からない。ただ、これからも町に定期的に帰って復興のためにできることを続けたい」。離れていても、古里の発展に尽くす考えだ。
■復興貢献思い強く 富岡遠藤雅也さん(専門学校生)
「町に少しでも活気を呼び戻せるよう力になる」。富岡町内で開かれた20歳を祝う会で実行委員長を務めた遠藤雅也さん(19)は、復興への貢献を誓った。
富岡二小2年生の時に震災と原発事故に遭遇。震災後は郡山市に避難し、三春町の富岡小中三春校に通った。現在は自動車整備士を目指し、郡山市のWiZ国際情報工科自動車大学校に通う。将来的には町内に自動車整備の店舗を構えたいと考えている。
会場では富岡二小の恩師から震災前の写真を見せてもらった。かつての町は通りに商店が立ち並び、にぎやかな町だった。「町民のため自分の店舗を人々が気軽に集まれる場所にしたい」と思いを込めた。