九州電力・池辺和弘社長は、燃料の価格が高騰し家庭向け電気料金の値上げ表明が相次いでいるのに対して、「液化天然ガスや石炭の価格高騰の動きは、一時期のピークを越えた。燃料の輸入価格に影響する為替レートも急激な円安状態から一定程度(円高に)反転している。この状況が続けば、家庭向け電気料金は値上げせずにやっていけると思う」と述べました。
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燃料急騰なければ値上げせず 九州電力・池辺和弘社長
毎日新聞 2023/1/1
2023年は新型コロナウイルス禍からの人出や消費の回復が期待される一方、物価高や海外経済の減速懸念など不透明感も強まっている。九州・山口の主要企業のトップに今年の展望や経営方針を聞いた。
◇九州電力・池辺和弘社長
――ウクライナ情勢の影響で資源価格が高騰し、家庭向け電気料金の値上げ表明が相次いでいます。値上げの可能性はありますか。
◆液化天然ガスや石炭の価格高騰の動きは、一時期のピークを越えた。燃料の輸入価格に影響する為替レートも急激な円安状態から一定程度(円高に)反転している。この状況が続けば、家庭向け電気料金は値上げせずにやっていけると思う。
――現時点で値上げは不要と考える理由を教えてください。
◆値上げを予定する電力大手との違いは、原発の稼働だ。テロ対策施設の完成遅れで停止中の玄海原発4号機(佐賀県)が2023年2月に運転再開すれば、原発4基が稼働できる態勢となり、燃料コストが抑えられる。原発を稼働させてもらっている立場としては、電気料金を値上げしないことが九州地域の皆さんの信頼に応える行動だと考えている。
――政府は22年12月、従来方針を転換し、廃炉原発のリプレース(建て替え)に取り組む意向を示しました。
◆50年の脱炭素社会実現には原発が必要で、いつかは新しいものを造らなければならない。原発が廃炉になった場所には、送電網や地元の協力態勢など稼働に必要な条件が既に整っている。その意味では合理的な選択だと評価している。だが、現時点で当社としてリプレースはまったく検討していない。今後の電力需要や、脱炭素社会実現に向けた国の動向が見通せなければ、決断できない。
――企業向け電力販売を巡り、自社エリアを越えた顧客獲得を相互に制限するカルテルを結んだとして、公正取引委員会が課徴金納付を含む処分案を22年12月に通知しました。
◆独占禁止法違反の疑いがあるというが、まだカルテル締結が確定したわけではなく、今後関係各社への意見聴取がある予定だ。ただ、疑われたこと自体、良いことだとは思っていない。社内の行動指針を改定したので、疑われる行動がないよう徹底したい。【高橋慶浩】