運転中の関西電力高浜原発4号機で、原子炉内の核分裂の状態を示す中性子の量が急激に減少したという異常を知らせる信号が出て原子炉が自動停止しました。停止は正常に行われ核燃料の冷却に問題はないということです。
中性子の量が急減した理由としては、原子炉内で何らかの原因で制御棒が核燃料集合体の間に挿入されたことが先ず考えられますが、自動で緊急停止する場合にも制御棒が強制的に挿入されるので、停止後には見分けがつかないことになります。
関西電力と原子力規制庁が原因を調べています。
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関西電力 高浜原発4号機が自動停止 原因を調査
NHK NEWS WEB 2023年1月30日
30日午後、福井県にある関西電力の高浜原子力発電所4号機で原子炉内の核分裂の状態を示す中性子の量が急激に減少したという異常を知らせる信号が出て原子炉が自動停止しました。原子炉は正常に停止し、今のところ核燃料の冷却に問題はないということで、関西電力と原子力規制庁が原因を調べています。
原子力規制庁によりますと、30日午後3時20分ごろ、福井県高浜町にある運転中の関西電力高浜原発4号機で、原子炉内の核分裂の状態を示す中性子の量が急激に減少したという異常を知らせる信号が出て原子炉が自動停止したということです。
原子炉は正常に停止し、今のところ核燃料の冷却に問題はないということです。周辺の放射線量を計る、モニタリングポストの値にも異常は見られないということです。
関西電力と原子力規制庁が原因を調べています。
関西電力から報告を受けた福井県の発表によりますと、原子炉の周囲には運転中の中性子の量を測定する検出器が4つ設置されていて、このうち2つ以上で異常を検知すると原子炉が自動停止するということです。また、これらの検出器については、今月26日に正しい値を示しているか確認する校正を行っていたということです。
しかし、いまの時点では原因の絞り込みは難しいとしています。高浜原発4号機は去年11月に起動し、12月から営業運転に入っていました。原子力規制庁によりますと、同じ信号で原子炉が自動停止したのは、1988年の関西電力高浜原発3号機以来だということです。
関西電力「放射能の影響なし」
関西電力は高浜原発4号機の原子炉が自動停止したことについて、原因については現在、調査中だとしたうえで、放射線を監視するモニタリングポストの数値に現時点で異常はなく「環境への放射能の影響はありません」とコメントしています。
また、電力の供給については、最低限必要とされる予備率3%を十分に上回ることから、関西電力送配電は「現時点で電力の需給に問題はないと考える」としています。
モニタリングポストに異常なし
原子力発電所の周辺には放射性物質が漏れていないかを確認するためモニタリングポストと呼ばれる計測装置が複数設置されていて空間の放射線量を24時間、監視しています。
午後6時40分現在、福井県原子力環境監視センターのホームページでは、高浜原発から半径5キロ圏内にある20あまりのモニタリングポストに異常な値は表示されていません。
また関西電力もモニタリングポストの数値にこれまで異常はないとして「環境への放射能の影響はありません」とコメントしています。
福井県も午後6時からの記者会見で環境への影響はないことを確認しているとしています。
【福井県が会見】
自動停止した高浜原子力発電所4号機について、関西電力から報告を受けた福井県が30日午後6時から記者会見を開き「原子炉の温度や圧力に異常はみられない」とした上で、原因については「現段階でこれが原因というものはなく、今後、調査する」と説明しました。
記者会見の中で、福井県は高浜原発4号機が自動停止した原因について「現時点ではわからない」とした上で、可能性としては
▽原子炉の出力を制御する制御棒と呼ばれる装置が何らかの原因で落下したか
▽中性子を検出する計測器そのものに何らかの異常が発生したことなどが考えられるとしています。今後、詳しい調査を行うとしています。
高浜原発4号機とは
福井県高浜町にある高浜原子力発電所4号機は、出力87万キロワットの加圧水型の原発で、1985年に運転を開始しました。
加圧水型は、原子炉内部の水に高い圧力を加えて高温にし、別の配管を流れる水に熱を伝えて蒸気を作り、タービンを回して発電する型式で、2011年に事故を起こした福島第一原子力発電所の沸騰水型とはタイプが異なります。
高浜原発4号機は、原発事故のあと策定された新しい規制基準に基づく原子力規制委員会による審査に合格し、2017年に再稼働しました。
最近では、去年12月に法律で義務づけられている13か月に1度の定期検査を終えて、営業運転を再開していました。
自動停止とは
原子力発電所は異常を感知すると原子炉が自動で止まる構造になっています。
これを「自動停止」と呼んでいます。
加圧水型と呼ばれるタイプの高浜原発4号機の場合は、制御棒とよばれる原子炉のブレーキ役を果たす装置が原子炉の上から原子炉の中に挿入されて、核燃料の反応を止めます。
福井県によりますと高浜4号機は原子炉の中の中性子の量が減ったとの信号を計測装置が感知したことから自動停止をしたということです。
運転中の自動停止 2011年10月の玄海原発以来
原子力規制庁によりますと、運転中の原発で原子炉が自動停止したのは、2011年10月に佐賀県にある玄海原子力発電所4号機でタービンを回した蒸気を水に戻す復水器と呼ばれる設備に異常があったことを知らせる信号が出てタービンが止まり、原子炉が自動停止して以来だということです。
【速報】高浜原発4号機が自動停止 “中性子の数”急激に減少
テレビ朝日系(ANN) 2023/1/30
関西電力の高浜原発4号機が自動停止しました。放射能漏れは確認されていません。
原子力規制委員会によりますと、30日午後3時21分、関西電力から福井県の高浜原発4号機で異常を示す警報が発信され、原子炉が自動停止したと連絡がありました。
原子炉の中で核分裂の状態を示す中性子の数が急激に減少したためだということです。
原子炉は正常に停止し、冷却も正常に行われていて、原発周辺の放射線の量を測定する「モニタリングポスト」の値にも異常はありません。
関西電力は原因調査を行うとしています。