政府は経産省がまとめた原発の積極活用を柱とする基本方針を昨年末閣議決定しました。
それに関して一般市民を対象にした意見交換会が20日、関東経済産業局で開かれましたが、拙速な議論で原発推進の方針を決めたことへの批判が相次ぎ、紛糾しました。
冒頭での「既に決まった方針に意見を言って意味があるのか」に始まって、「原発は事故が起きれば人が管理できなくなる。地震が多い国で稼働させることは不安。再生可能エネルギーに力を入れてほしい」「国民的な議論をしないまま決めた方針は白紙撤回するべきだ。再度、時間をかけて公聴会などを重ねて議論をやり直してほしい」「意見がどう反映されるのか、まったく見えない」などの発言が続きました。
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「議論をやり直して」…原発政策の見直し巡る意見交換会が紛糾 政府の拙速な決定に批判集中 埼玉
東京新聞 2023年1月20日
経済産業省は20日、政府が昨年末にまとめた原発の積極活用を柱とした脱炭素社会実現の基本方針について、一般市民を対象にした意見交換会を関東経済産業局(さいたま市)で開いた。拙速な議論で原発推進の方針を決めたことへの批判が相次ぎ、紛糾した。
◆募集は1週間前…「アリバイづくりしたいだけ」
意見交換会は19日の中部経済産業局(名古屋市)に続いて2回目。経済産業局がある全国10都市で、3月1日まで1回ずつ開く。
さいたま市での意見交換会は、開催1週間前にホームページ上で募集告知をしただけ。会場とオンライン中継ともに事前申込制で、会場は24人、オンラインには114人が参加した。冒頭、経産省が説明しようとする前に、出席者から「既に決まった方針に意見を言って意味があるのか」と声が上がった。
経産省の担当者は、ウクライナ危機によるエネルギー情勢の変化を受け、原発を安定的な脱炭素電源として活用していくと説明。出席者は「原発は事故が起きれば人が管理できなくなる。地震が多い国で稼働させることは不安。再生可能エネルギーに力を入れてほしい」などと、原発推進に否定的な声が大半だった。
政府の検討の進め方にも批判が集中。「国民的な議論をしないまま決めた方針は白紙撤回するべきだ。再度、時間をかけて公聴会などを重ねて議論をやり直してほしい」「意見がどう反映されるのか、まったく見えない」などの発言が続いた。経産省の担当者は「意見は今後のエネルギー政策の検討の参考にする。意見交換会は継続的な開催も考える」と答えた。
会合は1時間半を予定したが、出席者からの発言が相次いで約3時間に及んだ。終了後、栃木県小山市の自営業小栗秀夫さん(63)は「経産省は『検討する』と答えるだけで、意見を聞いたアリバイづくりがしたいだけなのが明らか。事前周知もほとんどせず、とても姑息こそくなやり方だ」と憤った。 (小野沢健太)
◆パブリックコメント22日まで
原発の建て替えや60年超運転を盛り込んだ基本方針などについて、政府は22日まで国民からの意見公募(パブリックコメント)を実施している。
意見を受け付けているのは基本方針と、それを踏まえた原子力政策の行動指針。東京電力福島第一原発事故後に政府が「想定していない」としてきた原発の新増設を、廃炉原発の建て替えで実行する。福島事故後に導入された「原則40年、最長60年」とする運転期間も、再稼働に向けた審査などでの停止期間を運転年数から除外し、60年超の運転を可能にする。
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