2024年8月31日土曜日

岸田首相が残す「原発再稼働」という負のレガシーの延命を画策

 岸田首相の総裁任期は30日で残り1カ月になりました。首相は27日の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、運転停止中の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を念頭に「東日本における原子力発電の再稼働の準備」を強調し、地元の理解を得るため、来週に原子力関係閣僚会議を開催すると決めました。
 しかし政府の地震調査委員会が今月2日に発表した海域活断層の評価を受け、規制委が電力会社に地震や津波の原発への影響を確認するよう指示したばかりで、まだその件については解明されていません。
 それだけでなく規制委はいまだに5~30キロ圏内は「当初は自宅退避」との方針に拘っていて、「自宅退避が可能なのか」の検討自体を行っていません。避難計画の前提条件が定まらなければ、避難計画自体も、避難のために必要となる新たな避難道路の整備や、積雪時の除雪体制の確保策も決めようがありません。
 これは対策が決まれば良いというものではなく、現実に安全かつ確実に避難できるためのハード上及びソフト上の条件が「現実に整備されている」ことが「必要条件」になります。
 岸田首相は、いつ原発事故を起こしても「安全に避難が確実に出来る」ことが「再稼働できる」ための条件となるという当たり前のことを再認識すべきです。
 日刊ゲンダイは「GXにせよ原発再稼働にせよ、岸田首相がレガシーづくりで自己満足を得るための道具ではない」と述べています。
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岸田首相が残す「原発再稼働」という負のレガシー…任期終了まで“延命”を政策で後押し
                          日刊ゲンダイ 2024/8/31
 岸田首相の総裁任期満了まで、30日で残り1カ月。「任期終了まで国内外の課題への対応に全力を尽くす」と鼻息荒いが、「負のレガシー」を残してもらっては困る。原発の再稼働をめぐる問題だ。
 原子力規制委員会は28日、日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、新規制基準に不適合とする審査書案を了承。29日から約1カ月間、パブリックコメントを実施した上で正式に決定する。
 原電は再申請を目指す考えだが、先は見通せない。
「敦賀2号機の審査は2015年から9年に及び、原電側のデータ書き換えや資料の不備などで2度中断しました。そもそも、不正に手を染めた会社に原発の運転を任せられるでしょうか。原電は東海第2原発でも安全対策工事の不備が判明しています。保有する原発を稼働できていない原電は現状、電力大手5社が基本料金などを払って支援しています。再申請をしても再稼働は絶望的で、再審査の判断までどれだけの期間を要するか分からない中、いつまで延命させるつもりなのでしょう」(「原子力規制を監視する市民の会」代表・阪上武氏)

■原発再稼働に前のめり
 それでも岸田首相は原発再稼働に前のめりだ。27日の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、運転停止中の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を念頭に「残された任期の間に、GXを一歩でも前進するため尽力する」「そのひとつが、東日本における原子力発電の再稼働の準備」などと強調。地元の理解を得るため、来週に原子力関係閣僚会議を開催すると決めた。
 政府の地震調査委員会が今月2日に発表した海域活断層の評価を受け、規制委が電力会社に地震や津波の原発への影響を確認するよう指示したばかりだ。
「原発は『安価』『脱炭素』と言われますが、本当でしょうか。事故が起きれば環境負荷は極めて重く、地震などの災害や運営する会社の能力の劣化によって事故リスクは高まっています。消費者の払った料金が、いつ動くか分からない原発の延命に使われているのに、それを政策として後押しすることに疑問を抱かざるを得ません」(阪上武氏)
 GXにせよ原発再稼働にせよ、岸田首相がレガシーづくりで自己満足を得るための道具ではない。

河野デジタル相の「データセンターのために原発必要」は世界の非常識 古賀茂明氏

 在野時代「脱原発」を標榜していた河野デジタル相が総裁候補に名乗りを挙げ、原発の新増設の必要性に言及しました。その理由として、「データセンターとA Iで電力需要が跳ね上がる。原子炉を再稼働しても足らない」と強調しました。それは子力ムラのリーダである経産省もキャンペーンしているところです
 しかしエネルギー政策に詳しい元経産官僚の古賀茂明氏は、「それは世界の常識から完全に外れています。電力自由化が進んでいる各国では、原発は発電コストが高く、もはやお荷物という認識。ましてや新増設は非現実的です。再生可能エネルギーは、発電コストは安くても発電量が変動するのがネックだったが、蓄電池の価格が急激に下がり、いまや『再エネ+蓄電池』の組み合わせの方がはるかに優れている。これが世界の常識です」と否定しました。
 河野氏は、マイナンバーカードでもあらゆる個人データを紐づけしようとしていますが、それは世界の常識に反するものでした。勉強が足りないというしかありません。
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河野太郎デジタル相は強調も「データセンターのために原発必要」は世界の非常識…古賀茂明氏が喝破
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 自民党総裁選に出馬表明した河野太郎デジタル相が「脱原発」を封印して変節。原発の新増設の必要性にまで踏み込んだ。その理由として、「データセンターとA Iで電力需要が跳ね上がる。再生可能エネルギーを2倍のペースで入れても、原子炉を再稼働しても足らない」と強調していた。
自民・河野太郎氏総裁選出馬に意欲…でもネット世論の評判は《この人だけはダメ。まだ岸田さんの方がマシ》
 同じことを、原発活用へ旗振りする経産省もキャンペーンしている。データセンターやA Iを“人質”に出されると仕方ないか、となりがちだが、これは本当なのか。
 エネルギー政策に詳しい元経産官僚の古賀茂明氏に聞いてみると、「いえいえ。世界の常識から完全に外れています」とこう続ける。

■原発はもはやお荷物
電力自由化が進んでいる各国では、原発は発電コストが高く、もはやお荷物という認識。ましてや新増設という話はあっても実は非現実的です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電コストは安くても発電量が変動するため安定しないと言われてきましたが、蓄電池の価格が急激に下がり、いまや『再エネ+蓄電池』の組み合わせの方がはるかに優れている。これが世界の常識です」
 こんなデータがある。ドイツのフラウンホーファー研究機構による、エネルギー源別発電コストだ(今年7月現在)。原発は16電源のうち最もコストが高く、48ユーロセント/kWh(約77円)。一方、太陽光+蓄電池は12ユーロセント/kWh(約19円)。4分の1なのだ
 A Iやデータセンターのため、原発の再稼働や新増設を急ぐ必要──という理屈にも“盲点”がある。
「データセンターを建設しようとしているGAFAM(米主要I T企業)は『脱炭素』を進めており、すべてクリーン電力で稼働させることを条件としています。マイクロソフトは原発容認ですが、その他は脱炭素イコール再エネ。データセンターをつくる際、『再エネ電源があるか』が重要になってくる。GAFAMは取引先にも脱炭素を求めており、日本企業が焦り始めています」(古賀茂明氏)

 共同通信の主要企業111社アンケートでは、「政府のエネルギー基本計画の見直しで盛り込んで欲しい事項」のトップが「電源構成の再生可能エネルギーの比率拡大」の59%で、「原発の新増設」は17%だった。企業マインドは変化している。
「自民党も日本も内向きになっていますが、原発の再稼働はそう簡単ではないし、新増設は20年くらいかかる。数年先の電力不足への対応なんて絵に描いた餅です。再エネ+蓄電池を拡大させる方が早い」(古賀茂明氏)
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 総裁選で国会議員票を得るためとはいえ、世界の非常識を喧伝する河野氏は罪つくりだ。

福島原発デブリ取り出し方法 ?? 880トンをどこに保管するのか

 東電は8月22日、福島原発2号機の燃料デブリの取り出し(目標量3g)に挑戦しましたが肝心な鞘管の順序を間違えたために、採取装置を格納容器に挿入することが出来ませんでした。事故後13年も経っているのに、総量880トンもあるうちの僅か3gの取り出しも出来ていないというのが東電(あるいは原子力ムラ)の実力です。
 日刊ゲンダイが22日以前の段階で、この問題を取り上げました。
 関連記事
8月24日)福島デブリ取り出し 押し込み用鞘菅の順序間違え作業中止 再開時期は見通せず
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東電福島原発がようやくデブリ取り出し作業開始も…ささやかれる《今世紀中に廃炉は無理》の必然
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 東京電力が21日にも、福島第一原子力発電所2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業を始めると報じられ、SNS上で《やっと?》《ようやく?》などと話題となっている。
 2011年3月に発生した福島原発事故では、東電は当初、炉心溶融(メルトダウン)の可能性を否定していたものの、後に確認され、炉内や施設の金属などが混ざった放射線量の高いデブリが1~3号機に計約880トンあると推計されている。

 デブリの取り出しは事故後で初めてで、計画によると、原子炉脇から釣りざお式装置の爪を挿入し、採取するという。成分などを分析した後、本格的な取り出し作業の参考にするというのだが、ネット上で意見が飛び交っていたのが、採取する量だ。
 約2週間を予定している作業で、採取する量は「3グラム以下」と報じられていたため、《3グラムずつなら、すべてのデブリを取り出すのに40億年ぐらいかかるぞ》《事故から11年も経つのに、耳垢程度の3グラムしか採取できないのか》などと悲観的な見方が広がったのだ。
 もっとも、今回予定されるデブリ取り出しは、あくまで試験的なものだ。本格的な取り出し作業が始まれば、さすがに1回の採取量が数グラムではないだろう。とはいえ、改めてハッキリしたのは政府・東電の廃炉中長期ロードマップがすでに破綻した可能性が高いことだ。

■廃炉中長期ロードマップでは2041~51年に完了だったが……
 ロードマップでは、廃炉作業の起点を2011年12月として、それから30年~40年後の2041~51年に完了するとされているのだが、2022年3月16日の参院経済産業委員会で、日本共産党の岩渕友議員(47)はこう指摘していた。
880トンのデブリ取り出すというふうに考えた時に1日仮に10キロ取り出しても約240年掛かるんですよ(略)仮に今日からあのデブリの取り出しを始めたとして、40年後といってももう既に10年以上過ぎているので、これ今日から取り出したとしても1日約80キロ取り出さなくちゃいけない(略)ただの土を取り出したりするのとは訳が違うので、そういう点から考えても、これとても現実的だということは言えない」
 岩渕氏が「ただの土を取り出したりするのとは訳が違う」と指摘したのは、採取した放射線量の高いデブリをどう処理し、どこに保管するのかが決まっていないという問題だ。
 この課題について、東電ホールディングスの社長は国会で、「燃料デブリの一時保管施設を2020年代後半頃に検討」と説明。だが、通常の使用済み核燃料の廃棄さえも受け入れ場所を巡って反対運動が起きているわけで、デブリの保管場所について確保するのも簡単ではないだろう。
 《今世紀中に廃炉は無理だな》《福島原発処理は次世代、次々世代へのツケ回しは決定》
 SNS上でこんな声が出るのも当然だろう。

規制委「補強工事に実現性ない」と 東海第2原発の防潮堤

 日本原電は29日、建設中に施工不備が見つかった東海第2原発(茨城県)の防潮堤について、不備があった基礎を残したまま補強工事で対応する方針を原子力規制委員会示しましたが、規制委側は「実現性の見通しが全く立っていない」として、具体的な設計や工事方法検討した再説明をするように求めました。

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規制委「補強工事に実現性ない」 東海第2原発の防潮堤
                            共同通信 2024/8/29
 日本原子力発電は29日、建設中に施工不備が見つかった東海第2原発(茨城県)の防潮堤について、不備があった基礎を残したまま補強工事で対応する方針を原子力規制委員会の会合で示した。具体的な設計や工事方法は今後検討するとしたため、規制委側は「実現性の見通しが全く立っていない」として、検討後の再説明を求めた
 不備があったのは柱状の基礎。外枠部分に流し込んだコンクリートが複数箇所で十分に詰まっていなかったほか、鉄筋が変形していた。
 会合で原電は、外枠を撤去すれば工事が長期化し、近くの重要設備に影響する恐れがあると説明。


「適時適切な情報提供を」 茨城・東海村長 東海第2安全工事延期巡り
                            茨城新聞 2024/8/31
日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)の安全対策工事で、原電が終了時期を9月から2026年12月に延期したことを受け、山田修村長は30日の定例記者会見で「(発表まで)時間がかかったなというのが率直なところ。事業者の信用に関わる話なので、進捗(しんちょく)状況は適時、適切に情報提供してほしい」と、公表を巡る姿勢に注文を付けた
延期の要因となった防潮堤の施工不備について、「安全対策工事は設備だけでなく、土木や地盤工事も含めたトータルなもの。体制を整備し、それぞれの課題にきちんと対応してもらいたい」と述べた。
原子力規制委員会で防潮堤の具体的な工事手法の審査が続く中で、新たな完了時期を26年12月としたことについて、「現時点で事業者が考える工期だと受け止めている。今後、規制委の審査状況を見ていく」と注視する姿勢を示した。
東海第2原発は18年9月に規制委の新規制基準適合審査に合格。再稼働に必要な安全対策工事を今年9月に終える予定だったが、昨年6月に建設中の防潮堤に不備が見つかった。原電は今月23日、3回目となる工事完了の延期を発表した。

31- 日本原燃「再処理工場の完成目標2026年度中」と宮下知事、戸田村長に報告

 使用済み核燃料の再処理工場について、日本原燃は29日、新たな完成目標を2026年度中として、青森県や六ケ所村に報告しました。
 それに対して宮下知事は「現時点で皆さんの楽観的な御社独自の見解としか私は受け止められない」と、また六ケ所村の戸田衛村長は「安全性向上対策の一環であると認識はしているものの、繰り返されるしゅん工延期は安易に納得できるものではありません」と、それぞれ辛口の対応をしました。27回目の延長ですから当然と思われます。
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日本原燃「再処理工場の完成目標2026年度中」 宮下知事「直ちに信頼できない」 延期は今回で27回目
                        ABA青森朝日放送 2024/8/29
使用済み核燃料の再処理工場について、日本原燃は新たな完成目標を2026年度中とし、青森県や六ケ所村に報告しました
六ケ所再処理工場を巡っては、原子力規制委員会による審査が長期化していて、日本原燃が9月までとしていた完成時期の延期を決めていました。
29日には、日本原燃の増田尚宏社長たちが青森県庁を訪れ、宮下知事に新たな完成目標時期を報告しました。

【日本原燃 増田尚宏社長】
新たなしゅん工目標を再処理工場は2026年度中、MOX燃料工場は2027年度中としました。度重なるしゅん工目標の見直しにより、県民の皆様にご心配・ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」
再処理工場については、審査に要する期間を2026年3月までと見込んでいます。その後に必要な工事や検査などを踏まえて日本原燃は、完成目標を2026年度中としました。
報告を受けた宮下知事は、新たな目標を示しても直ちに信頼することはできないと述べました。
【宮下知事】
「現時点で(目標の)期限というものは、皆さんの楽観的な御社独自の見解としか私は受け止められないということは、あえて指摘させていただきます」
また、度重なる延期について会社としての責任を厳しく問いただしました。
【宮下知事】
「誰も責任を取らない中で、延期が繰り返される環境を、今またつくってしまえば、同じようなことが次に起こるかもしれない。それはしっかり私としては会社に考えてほしいということをお伝えしたということです」

また、日本原燃は六ケ所村の戸田衛村長にも、新たなしゅん工目標を報告しました。この報告に戸田村長も不快感を示しました。
【六ケ所村 戸田衛村長】
「安全性向上対策の一環であると認識はしているものの、繰り返されるしゅん工延期は安易に納得できるものではありません」
再処理工場は、これまでにも完成目標の延期が再三にわたり繰り返され、延期は今回で27回目です。

2024年8月28日水曜日

原発事故時、屋内退避は縮小せず 規制委「不確定要素多く」

 原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」を再検討していた原子力規制委の検討チームは、当初 新規制基準で原発の安全対策が強化された結果、放射性物質の飛散が少なくなり影響が30キロ圏よりも狭くなる可能性について検討しました。しかしそれは不確定要素が多くて確定できなかったため、「屋内退避範囲は縮小しない」とした一方で、今後は屋内退避を一斉解除できる条件を検討することにしました。
 ところがこれは大いに的を外しているもので、能登半島では多数の民家が全壊乃至半壊したために、「屋内退避を標準化」すること自体がそもそも可能なのかという根本問題が提起されたのでした。
 この件について、半年以上が経過したのに規制委は「ゼロ回答」であり、検討を進めようとする姿勢が見られません。大いに不誠実であってこれでは住民の納得は得られません。
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原発事故時、屋内退避は縮小せず 規制委「不確定要素多く」
                            毎日新聞 2024/8/26
 原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」を再検討していた原子力規制委員会の検討チームは26日、従来の方針を変えず、屋内退避の範囲を縮小しないことを決めた。事故直後の放射性物質の影響を予測するのは不確定要素が多いと判断した。
 図解】志賀原発と震源断層との位置関係は?

 原子力災害対策指針(原災指針)は事故時、まず建物内にとどまって被ばくを防ぐ屋内退避を5~30キロ圏内全域の住民に求めている。一方、1月の能登半島地震では、北陸電力志賀原発から30キロ圏で道路の寸断や建物の倒壊があり、仮に原発事故が起きた場合には屋内退避が難しい事態になっていた。
 検討チームは、東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準で原発の安全対策が強化されたため、放射性物質の飛散が少なくなり影響が30キロ圏よりも狭くなる可能性があるとして、屋内退避の対象範囲を狭めることを検討してきた
 だがこの日の会合で、事務局の原子力規制庁は、事故直後は安全対策が喪失し、回復にも時間を要するとして、「対策が奏功していると判断することは現実的に困難」と説明。原災指針どおり、屋内退避を縮小しない方針を示した。
 一方、事故から時間がたって対策が機能した場合は、屋内退避を一斉解除できる可能性があるとした。今後、その条件を議論する。【木許はるみ】

ミスで延期の燃料デブリ取り出し 再開見通し立たず 作業員の聞き取り続く

 作業のミスにより中断している福島原発の2号機の燃料デブリの試験的な取り出しについて、東電は作業員からの聞き取りを進めていて、再開の見通しは立っていません。
 これについて更田豊志・前原子力規制委員長は26日、いわき市で開かれたフォーラム「単純ミスはこれからも起きる。起きたミスが重大か、取るに足りないのか見極めることが重要だ。小さなミスや全てのミスを防ぐための努力と、安全確保のための努力は必ずしも一致しない」と述べました
 下線部の意味が不明ですが、周囲が東電に抱いている心配は、「こんな単純で基本的ななミスを繰り返すようでは、いずれ重大事故につながるミスも起こすのでは」というものであって、決して「起こした小さなミスを責めている」というようなものではありません。
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ミスで延期の燃料デブリ取り出し 再開見通し立たず 作業員の聞き取り続く 東京電力福島第一原発
                       TUFテレビユー福島 2024/8/27
作業のミスにより中断している福島第一原発の燃料デブリの試験的な取り出しについて、東京電力は作業員からの聞き取りを進めていて、再開の見通しは立っていません
福島第一原発2号機では、8月22日から燃料デブリの試験的な取り出しに着手する予定でした。ところが、装置に取り付けるパイプの順番に間違いがあり、作業を中断しています。
東電は、27日も装置の組み立てに関わった元請け企業の作業員など十数人から聞き取り調査を進めていて、再開の見通しは立っていないということです。

■県漁連会長「慎重に慎重のうえで」
一方、県漁連は27日、組合長会議を開き、東電の担当者が、作業の現状について、説明しました。
県漁連・野崎哲会長「私の生きている間に廃炉すべてが完了するのではないので、本当にひとつひとつ慎重にやっていっていただきたいと思います」
その上で、野崎会長はデブリの取り出しについて、「慎重に慎重のうえでやってもらいたい」と話しました。また、24日で処理水の海洋放出から1年が経ったことについては…。
野崎哲会長「約束は守られてはいるとは思えないが、破られているとも思わない。最後の一滴まで安全に海洋放出が進んで、なおかつ福島の漁業が存続していることが確認できるということが重要であると思っている」
このように話し、改めて放出に反対する立場を訴えました。


作業ミス「過剰反応良くない」 デブリ採取で前規制委員長
                            共同通信 2024/8/26
 東京電力福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)の取り出し中断について、更田豊志・前原子力規制委員会委員長26日、「単純ミスで残念だが、過剰に反応してしまうのは安全にとって良くない」と冷静な対応を呼びかけた。福島県いわき市で開かれたフォーラムでの発言。
 更田氏は、第1原発は現場の放射線量が高く「数日や数週間の計画遅れも許されないという緊張感を現場に与えるのは正しいことではない」と指摘。「単純ミスはこれからも起きる。起きたミスが重大か、取るに足りないのか見極めることが重要だ。小さなミスや全てのミスを防ぐための努力と、安全確保のための努力は必ずしも一致しない」と述べた。

トリチウム汚染水の放射能だけではない? 中国が日本産水産物の輸入を停止する背景

まいどなニュース」に治安太郎氏による掲題の記事が載りました。
 米中での覇権争いに巻き込まれ、日本も米国からの要請で「経済安保政策」と称して中国に対して輸出規制品目を定めました。リストには当然中国が欲しい半導体製品などが含まれているので、中国としては日本の対応に大いなる不満がありました。
 同紙は、中国がトリチウム汚染水の海洋放出を理由に日本の水産物の輸入を全面禁止にした背景には、そのことがあると指摘しました。いわば、日本側の「トリチウム汚染の心配は不要」という主張は的を外しているということです。
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処理水の「衛生上の理由」だけではない? 中国が日本産水産物の輸入停止を続ける背景
                        まいどなニュース 2024/8/27
2023年8月24日、日本が福島第一原発の処理水放出を開始し、中国がそれを理由に日本産水産物の全面輸入停止に踏み切ってから1年が経った。処理水放出について国際原子力機関は安全基準を満たしているとの報告書を公表しており、多くの国々も問題にしておらず、日本は科学的根拠がないと中国側に輸入停止の即時撤廃を求めている。しかし、中国は衛生上の安全を理由に解除する姿勢は一切示していない。では、解除に応じない中国の思惑はどこにあるのだろうか。

まず、我々はこの問題を米中間での半導体覇権競争の延長上で捉える必要がある。米中間で先端技術をめぐる対立が激化する中、バイデン政権は2022年10月、中国が先端半導体を駆使して軍のハイテク化を狙っていることを警戒し、先端半導体分野で大規模な輸出規制を開始した。しかし、グローバルサプライチェーンが複雑化する中、米国のみでは中国による先端半導体の軍事転用を防止できないと危機感を抱くバイデン政権は昨年1月、先端半導体の製造装置で高い技術力を誇る日本とオランダに対して同規制に加わるよう要請し、日本は同装置など23品目を輸出規制の対象に加え、中国への輸出規制を事実上開始した。しかし、米国による先端技術分野での対中規制に不満を強める習政権は、日本が米国と共同歩調を取ることにも不満を強めている。

日本が対中輸出規制を開始した直後、中国は日本その多くを中国に依存し、半導体の材料となる希少金属ガリウム、ゲルマニウム関連製品の輸出規制を強化し、輸出する業者は事前に許可申請をすることが義務付けられた。そして、中国は福島第一原発の処理水放出という理由を利用する形で全面輸入停止に踏み切ったと考えられ、中国側の対日不満が根底にある。
また、中国にとって、日本産水産物は経済的威圧の対象になるという背景もあろう。たとえば、軍の近代化を目指す習政権にとって先端半導体やAI技術はなくてはならない必需品になり、貿易規制の対象にすれば自滅行為になる可能性が高い。しかし、日本産水産物は自国で漁獲量を増やす、他国からの輸入で賄うなどすればそれほど大きなダメージはなく、中国としては代替手段の確保が可能であり、むしろ日本にとって厳しいものになるとの判断で輸入停止となったことが考えられよう。

さらに、国民向けのアピールとも捉えられよう。近年、中国の経済成長率は勢いを失い、不動産バブルの崩壊や若年層の高い失業率など、習政権は多くの経済的難題に直面している。国民の共産党政権への不満も強まっていると考えられ、習政権としては国民の不満をなるべく緩和させる必要がある。そのような状況で、海洋放出された処理水から国民の安全と衛生を守るとして、日本産水産物を全面的に停止するとの決断は、国民向けにアピールするための材料になろう。

◆治安太郎(ちあん・たろう) 国際情勢専門家。各国の政治や経済、社会事情に詳しい。各国の防衛、治安当局者と強いパイプを持ち、日々情報交換や情報共有を行い、対外発信として執筆活動を行う。 

28- 六ヶ所再処理工場 耐震設計の説明など来年11月までかかる

 日本原燃は六ヶ所再処理工場について耐震設計の説明などが来年11月までかかり、完成目標は2年半程度延期され「2026年度内」となるとの計画を原子力規制委に示しました。

 この結果をもって、日本原燃は29日に青森県と六ヶ所村に完成目標の延期幅を正式に報告します。
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六ヶ所再処理工場 耐震設計の説明など来年11月までかかる計画を原子力規制委員会に説明
                         RAB青森放送 2024/8/26
日本原燃は六ヶ所再処理工場について耐震設計の説明などが来年11月までかかるとする計画を原子力規制委員会に示しました。関係者によりますと完成目標は2年半程度延期される方向で調整されています。六ヶ所再処理工場の説明スケジュールは原子力規制委員会の審査で報告されました。
それによりますと日本原燃は六ヶ所再処理工場について月に1回審査会合が開かれた場合、耐震設計の説明などに来年11月までかかり、スケジュールは適宜見直していくとした計画を示しました。
日本原燃は県と六ヶ所村にすでに完成目標の2024年度上半期を断念したことを報告しています。延期は27回目で、関係者によりますと完成目標は「2026年度内」とし、2年半程度延期する方向で調整しているということです。日本原燃はきょうの審査を踏まえ今月29日県と六ヶ所村に完成目標の延期幅を正式に報告します。

2024年8月26日月曜日

原発コストは太陽光発電の何倍? 米最新試算でわかった驚きの数字~

 日本ではまだ原発の新設は行われていませんが、海外では福島原発事故後、新設の原発は旧来型に比べて建設コストが2~4倍にアップしています(100万kw1基 5000億円レベルが1~2兆円レベルに)。
 当然原発の発電コストが上昇し、米国の最新の試算では既に陸上風力や太陽光より高くなり、海外では採算を理由にした廃炉も出ているということです。日本の政府は原発の発電コストを低く見せるために、使用済み核燃料の維持管理コスト除外するなどしていますが、それでもコストは上昇傾向です。東京新聞が報じました。
関連記事
原発推進派を集めて「エネルギー基本計画」議論 「関係者だけで決めるのか」…批判に政府の反論は

追記 日本では新設の原発については建設費を電気代に振り分けることで、電力会社の建設費負担を大幅に軽減する措置などを検討中です。
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原発コストは太陽光発電の何倍? アメリカの最新試算でわかった驚きの数字 次期基本計画でどうする日本政府
                         東京新聞 2024年8月21日
 原子力発電のコストが上昇している。米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く、海外では採算を理由にした廃炉も出ている。日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれれば、国民負担が増えると指摘する専門家もいる。(鈴木太郎)

◆岸田政権は「原発を最大限活用」
 政府は福島第1原発事故後、エネ基で原発の依存度を「可能な限り低減」する方針を掲げてきた。しかし岸田文雄政権発足以降、2023年のGX基本方針などで「原発を最大限活用」と転換。エネルギー安全保障や二酸化炭素の排出抑制を回帰の理由に掲げるが、事故の危険性に加え、コスト高騰のリスクもはらむ。
 米国では23年、民間投資会社ラザードが発電所新設時の電源別コスト「均等化発電原価(LCOE)」を発表。原発のコストの平均値は、陸上風力や太陽光発電の平均の3倍以上だった。経年比較でも原発のコストは上がり続け、14年以降、太陽光や陸上風力より高くなった。

 均等化発電原価 発電所を新設した場合のコストを電源種類別に比較する指標。建設、設備の維持管理、燃料購入にかかる費用を発電量で割って算出する。日本では、1キロワット時の電力量を作るのに必要な金額で比較することが多い。経済協力開発機構(OECD)や国際エネルギー機関(IEA)の国際的指標として使われる。単純なコストだけでなく、補助金など政策に関連する費用を含めて算出する場合もある。













 国内では、経済産業省の作業部会がLCOEを計算。21年の調査では30年新設の想定で、原発のコストは1キロワット時あたり最低で11.7円。前回15年、前々回11年を上回った。一方、陸上風力や太陽光のコストは21年でみると、原発とほぼ変わらなかった。

◆専門家「再稼働でも再エネ新設と同程度」
 東北大の明日香寿川(あすか・じゅせん)教授(環境政策論)は、「原発の建設費用は1基あたり1兆~2兆円」と説明。コスト上昇の要因として、事故対策費用がかかる上、量産が難しいことを挙げる。「最近の原発は事故対策を強化した新型炉が中心で、技術が継承されておらず、高くつく。太陽光と風力は大量生産で安くなったが、この効果が原発では働きにくい」と指摘する。












 経産省はエネ基の改定に合わせ、年内にも最新のLCOEを発表する見通し。明日香氏は「今年は21年と比べ、原発新設のコストが上がるのが自然。再稼働でも再エネ新設と同程度という調査もある。政府は原発の活用を進める上で、はっきり『安いから』とは言わないだろう」とみる。

◆原発活用でも「電気代下がるとは考えにくい」
 海外でも日本と同様に、原発推進にかじを切る国は増えている。しかし、原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「近年はコスト高で原発の廃炉や計画断念、建設遅延が相次いでいる」と指摘。実際に国内の原子力研究者らでつくる研究会のまとめでは、米国で11年以降、13基が経済的な理由で閉鎖された。松久保氏は「国内も、原発の活用で電気代が下がり、国民の負担軽減になるとは考えにくい」と話している。

処理水放出1年、続く禁輸 山積みだった北海道産ホタテはいま

 福島第1原発の処理水海洋放出に伴う中国による日本産水産物の禁輸措置が始まり、24日で1年になります。

 中国が主な輸出先だった北海道内産ホタテは、今年1~7月の輸出額は前年同期比46%減でしたが、国内販売ルートを新に開くなどしたため売上高はほぼ同じだったようです国内の消費拡大という形で応援してもらったことが大きかった」ということです。毎日新聞が報じました。
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処理水放出1年、続く禁輸 山積みだった北海道産ホタテはいま
                            毎日新聞 2024/8/26
 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴う中国による日本産水産物の禁輸措置が始まり、24日で1年が過ぎた中国が主な輸出先だった北海道内産ホタテは行き場を失い、冷凍庫に山積みになった。水産加工業者はこの一年で、国内の一般販売に向けて設備投資を進めたほか、中国に頼らない新たな販路拡大を模索している。【三沢邦彦、本多竹志】

 函館市の水産加工会社「きゅういち」(藪ノ賢次社長)は、中国の禁輸措置によるホタテの在庫増を受け、23年9月4日に中国向けホタテを国内の消費者向けに販売するインターネットサイトをいち早く開設した。
 きゅういちの主力事業はホタテ加工。中国向け製品の売り上げは取扱量全体の4分の1を占めていた。1年前は冷凍庫に出荷のめどが立たないホタテが数十トンもストックされていた。だが、その後、販売サイトを始め、国内の飲食店やホテル、チェーン店に販路を拡大。冷凍ホタテの国内販売は順調に進み、在庫は減少した。担当者は「冷凍庫は通常の状態に戻っている」と話す。
 国内の販路拡大に向け、経済産業省による中国禁輸措置の補助金も活用。今年2月に魚介類を冷凍するトンネルフリーザーを更新したほか、7月にホタテの貝柱をサイズごとに分ける選別機を導入した。中国向けなどは無選別での販売だったが、飲食店から「選別をしてもらえたらもっと仕入れられる」との声に応え、近く本格稼働する。
 函館税関が21日に発表した7月の道内貿易概況によると、ホタテが大半を占める「甲殻類・軟体動物」の輸出は中国向けが昨年9月から11カ月連続で「ゼロ」となっている。今年1~7月の道内からのホタテの輸出額は、前年同期比46%減の163億5600万円と禁輸措置の影響が続いている。
 一方、7月に道内から輸出したホタテの数量は前年同月比306トン増の6186トン(約29億9500万円)と回復傾向にある。輸出先をみると、ホタテの加工場が増えているベトナムが約10億9300万円(3512トン)▽米国が約5億7100万円(189トン)▽タイが約3億6000万円(1262トン)--など。中国以外への販路拡大がみられる。
 きゅういちは、米国で食品・飲料・化粧品などを輸出販売する際に必要な米国食品医薬品局(FDA)認証の更新や東南アジアへの輸出も検討を進めている。担当者は「販売サイトの強化や飲食店向けのマーケティングを強化し、自分たちで新たな販路拡大をしていきたい」と話す。

◇輸出安定不可欠 早期解除を
 オホーツク海のホタテ主力産地の湧別漁協は今年、3万6000トンの水揚げを目標に12月まで出荷を続ける中国による禁輸措置が始まった昨年も平年比で水揚げ量に大きな変化はなかったという。当初は処理水海洋放出後の価格の下落を不安視する漁業者が多かったものの、「道漁連が踏ん張り、影響は最小限にとどまったのでないか」とみる。
 担当者は「国内の消費拡大という形で応援してもらったことが大きかった」と言う。東南アジアや米国、カナダへと販路が広がったことで、輸出も回復傾向に推移している。湧別漁協は人手不足対策も含め、自動殻むき機を導入した加工場を新設。主力商品であるホタテの安定生産に努めている。ただし、「やはり輸出の安定化が不可欠。引き続き中国による禁輸措置の早期解除を求めていく必要がある」と話した。

廃炉人材、技能向上へ 東電、訓練施設の検討必要 福島・川内で国際フォーラム

 福島第1原発の廃炉について議論する「第8回福島第1廃炉国際フォーラム」が25日~26日に開かれ、初日は「1F(福島第1原発)廃炉と地域の未来を考える」と題し、有識者と地域住民がパネル討論で意見を交わしました。

 廃炉に向けた人材育成について問われた東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「職業訓練施設の再構築を検討する必要がある」との認識を示しました。
 26日には「燃料デブリ取り出しの現在と今後」をテーマに行われますが、取り出しがいつまでかかるかについては、まだ皆目 目処が立たない状態です。
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廃炉人材、技能向上へ 東電、訓練施設の検討必要 福島・川内で国際フォーラム
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 東京電力福島第1原発の廃炉について議論する「第8回福島第1廃炉国際フォーラム」が25日、川内村で始まった。初日は「1F(福島第1原発)廃炉と地域の未来を考える」と題し、有識者と地域住民がパネル討論で意見を交わした。26日まで
 出席者から廃炉に向けた人材育成について問われた東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「(都内にかつてあった)東電学園の出身者が(原発事故の収束で)中核となった」と指摘し、職業訓練施設の再構築を検討する必要があるとの認識を示した。
 その上で「東日本大震災前は第1原発に技能向上センターがあった。復活してカリキュラムを組み、作業員の技量を上げる取り組みをしたい」と説明した。

 出席者からは「福島が原発事故、放射能と結び付けられるのが現実。風評がないように廃炉作業を進めてほしい」との意見が出た。経済産業省の担当者は「昨年から処理水の放出が始まったが、国内で魚に関する風評影響はなかった。正しく情報を伝えることが私たちの責務だ」と答えた。
 フォーラムは原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の主催。
 最終日はいわき市に会場を移し、「燃料デブリ取り出しの現在と今後」をテーマに、海外の専門家を交えて考える

作業の安全網構築重要
 福島第1廃炉国際フォーラムでは、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者が第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを含む今後の廃炉作業について「作業員の身体汚染や、外部への放射性物質の放出などが絶対に起こらないようセーフティーネット(安全網)をきちんとつくることが大切だ」と強調した。
 具体的な取り組みとして「ヒューマンエラー(人為ミス)を減らしたり、設備が壊れないように手を入れたりしていく」などと述べた。
 2号機でのデブリの試験的取り出しが作業ミスで中断するなど、トラブルが相次いでいる現状について、NDFの山名元(はじむ)理事長は「作業員の安全を守り、住民への心理的負担や風評被害を避けるため、東電が安全確保の基本性を立て直すことが必須で、不断の努力を求める」と指摘した