在野時代「脱原発」を標榜していた河野デジタル相が総裁候補に名乗りを挙げ、原発の新増設の必要性に言及しました。その理由として、「データセンターとA Iで電力需要が跳ね上がる。原子炉を再稼働しても足らない」と強調しました。それは原子力ムラのリーダである経産省もキャンペーンしているところです。
しかしエネルギー政策に詳しい元経産官僚の古賀茂明氏は、「それは世界の常識から完全に外れています。電力自由化が進んでいる各国では、原発は発電コストが高く、もはやお荷物という認識。ましてや新増設は非現実的です。再生可能エネルギーは、発電コストは安くても発電量が変動するのがネックだったが、蓄電池の価格が急激に下がり、いまや『再エネ+蓄電池』の組み合わせの方がはるかに優れている。これが世界の常識です」と否定しました。
河野氏は、マイナンバーカードでもあらゆる個人データを紐づけしようとしていますが、それは世界の常識に反するものでした。勉強が足りないというしかありません。
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河野太郎デジタル相は強調も「データセンターのために原発必要」は世界の非常識…古賀茂明氏が喝破
日刊ゲンダイ 2024/8/31
自民党総裁選に出馬表明した河野太郎デジタル相が「脱原発」を封印して変節。原発の新増設の必要性にまで踏み込んだ。その理由として、「データセンターとA Iで電力需要が跳ね上がる。再生可能エネルギーを2倍のペースで入れても、原子炉を再稼働しても足らない」と強調していた。
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同じことを、原発活用へ旗振りする経産省もキャンペーンしている。データセンターやA Iを“人質”に出されると仕方ないか、となりがちだが、これは本当なのか。
エネルギー政策に詳しい元経産官僚の古賀茂明氏に聞いてみると、「いえいえ。世界の常識から完全に外れています」とこう続ける。
■原発はもはやお荷物
「電力自由化が進んでいる各国では、原発は発電コストが高く、もはやお荷物という認識。ましてや新増設という話はあっても実は非現実的です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電コストは安くても発電量が変動するため安定しないと言われてきましたが、蓄電池の価格が急激に下がり、いまや『再エネ+蓄電池』の組み合わせの方がはるかに優れている。これが世界の常識です」
こんなデータがある。ドイツのフラウンホーファー研究機構による、エネルギー源別発電コストだ(今年7月現在)。原発は16電源のうち最もコストが高く、48ユーロセント/kWh(約77円)。一方、太陽光+蓄電池は12ユーロセント/kWh(約19円)。4分の1なのだ。
A Iやデータセンターのため、原発の再稼働や新増設を急ぐ必要──という理屈にも“盲点”がある。
「データセンターを建設しようとしているGAFAM(米主要I T企業)は『脱炭素』を進めており、すべてクリーン電力で稼働させることを条件としています。マイクロソフトは原発容認ですが、その他は脱炭素イコール再エネ。データセンターをつくる際、『再エネ電源があるか』が重要になってくる。GAFAMは取引先にも脱炭素を求めており、日本企業が焦り始めています」(古賀茂明氏)
共同通信の主要企業111社アンケートでは、「政府のエネルギー基本計画の見直しで盛り込んで欲しい事項」のトップが「電源構成の再生可能エネルギーの比率拡大」の59%で、「原発の新増設」は17%だった。企業マインドは変化している。
「自民党も日本も内向きになっていますが、原発の再稼働はそう簡単ではないし、新増設は20年くらいかかる。数年先の電力不足への対応なんて絵に描いた餅です。再エネ+蓄電池を拡大させる方が早い」(古賀茂明氏)
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総裁選で国会議員票を得るためとはいえ、世界の非常識を喧伝する河野氏は罪つくりだ。