原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」を再検討していた原子力規制委の検討チームは、当初 新規制基準で原発の安全対策が強化された結果、放射性物質の飛散が少なくなり影響が30キロ圏よりも狭くなる可能性について検討しました。しかしそれは不確定要素が多くて確定できなかったため、「屋内退避範囲は縮小しない」とした一方で、今後は屋内退避を一斉解除できる条件を検討することにしました。
ところがこれは大いに的を外しているもので、能登半島では多数の民家が全壊乃至半壊したために、「屋内退避を標準化」すること自体がそもそも可能なのかという根本問題が提起されたのでした。
この件について、半年以上が経過したのに規制委は「ゼロ回答」であり、検討を進めようとする姿勢が見られません。大いに不誠実であってこれでは住民の納得は得られません。
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原発事故時、屋内退避は縮小せず 規制委「不確定要素多く」
毎日新聞 2024/8/26
原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」を再検討していた原子力規制委員会の検討チームは26日、従来の方針を変えず、屋内退避の範囲を縮小しないことを決めた。事故直後の放射性物質の影響を予測するのは不確定要素が多いと判断した。
【図解】志賀原発と震源断層との位置関係は?
原子力災害対策指針(原災指針)は事故時、まず建物内にとどまって被ばくを防ぐ屋内退避を5~30キロ圏内全域の住民に求めている。一方、1月の能登半島地震では、北陸電力志賀原発から30キロ圏で道路の寸断や建物の倒壊があり、仮に原発事故が起きた場合には屋内退避が難しい事態になっていた。
検討チームは、東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準で原発の安全対策が強化されたため、放射性物質の飛散が少なくなり影響が30キロ圏よりも狭くなる可能性があるとして、屋内退避の対象範囲を狭めることを検討してきた。
だがこの日の会合で、事務局の原子力規制庁は、事故直後は安全対策が喪失し、回復にも時間を要するとして、「対策が奏功していると判断することは現実的に困難」と説明。原災指針どおり、屋内退避を縮小しない方針を示した。
一方、事故から時間がたって対策が機能した場合は、屋内退避を一斉解除できる可能性があるとした。今後、その条件を議論する。【木許はるみ】