全国知事会は2日、廃炉作業の着実な進展と東電への指導・監督体制強化などを国に求める復興提言をまとめました。
提言では、福島第1原発2号機のデブリ取り出し作業を「前例のない困難な課題」と位置付け、作業が安全、着実に進むよう国による東電への指導・監督の徹底と、工程についても廃炉完了まで国が前面に立って管理することを強く求めました。
トリチウム水の海洋放出でも、処理作業の透明性を確保しトラブルの未然防止の徹底を要求しました。
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廃炉進展、東電指導を デブリ取り出し見据え 知事会復興提言
福島民報 2024/8/3
東京電力福島第1原発の廃炉作業が今月開始を予定している溶融核燃料(デブリ)取り出しで新たな段階を迎える中、全国知事会は2日、廃炉作業の着実な進展と東電への指導・監督体制強化などを国に求める復興提言をまとめた。デブリ取り出し開始以降に始まる廃炉作業の第3期は当初予定より3年近く遅れており、トラブルも相次ぐ中、原発事故を風化させずに日本全体の重要な問題とする方針で一致した。開始から間もなく1年となる処理水の海洋放出を引き続き安全に実施することや中国などの輸入規制撤廃への取り組みなども要請することを決めた。
提言では、福島第1原発2号機のデブリ取り出し作業を「前例のない困難な課題」と位置付け、従来より廃炉関連の要望を手厚くした。作業が安全、着実に進むよう国による東電への指導・監督の徹底を求めている。廃炉工程表ではデブリ取り出し開始以降を第3期と位置付け、より高度な作業に移行する計画だ。廃炉完了まで30~40年とする目標の達成に向け、国が前面に立って工程表に基づく取り組みを堅持するよう強く働きかける。
処理水の海洋放出に関する内容にも重点を置いた。これまで放出した量は全体のごく一部で、長年にわたって作業が続くことから処理作業の透明性の確保、信頼性の高い安全対策を講じるよう改めて国、東電に促す。放出作業のトラブルの未然防止徹底も必要としている。中国などの日本産海産物の輸入規制も課題として、正確な情報発信による早期撤廃も求めている。
福井市で開かれた会議で内堀雅雄知事は「廃炉を安全、着実に進めるのは福島復興の大前提であり、日本全体に関わる極めて重要な問題」と強調。前例のない困難な作業が長期間続くことから「国が前面に立ち、総力を挙げて取り組む必要がある」と訴え、各知事の賛同を得た。提言は今後、全国知事会を通して国に伝えられる見通し。