東電は22日、福島2号機のデブリ取り出し作業を開始しました。
先端にデブリの微小体を掻き取る仕掛けのついた伸縮型パイプを、直列の5本の直径60センチの鞘管内に通し、その鞘管を順次挿入用管路に押し込む作業をするのですが、先頭に用いるべき鞘管が4番目になっていたことが分かったため作業を中止しました。
5本の鞘管は装置と直接つながる1本目だけ構造が異なっていて、先端の掻き取り操作用のケーブルも伸縮型パイプと一緒に鞘管を通す構造になっているため、現場ですぐに順番を変えて作業を継続することはできませんでした。
いつ再開できるかは不明ということです。またしても下請任せの「手抜き」によるお粗末なミスと思われます。
なお伸縮型パイプとケーブルを予め鞘管に通す作業は、下請け企業の作業員が先月28日に行っていたということです。
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第1原発デブリ 取り出し延期 東電、変わらぬ「協力企業任せ」 来週にも国に原因、防止策報告 開始時期は見通せず
福島民報 2024/8/24
作業に着手する直前で延期した東京電力福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しについて、斎藤健経済産業相は23日、東電に早急な対応を指導し、小早川智明社長は来週にも原因と再発防止策を報告する考えを示した。しかし採取を始める時期は見通せていない。調査の内容や日程など具体的な説明はなく、危機管理体制にも批判の声が上がっている。
■猛省を
「地元や国内外に不安を抱かせるもので猛省を促したい」。斎藤経済産業相は小早川社長を経産省に呼び出し、厳しい口調で迫った。早急な対応を講じるよう指導した。
小早川社長は「大変重く受け止めている。私が先頭に立ち責任を持って取り組む。来週にも報告する」と応じた。事前準備や現場管理に東電が十分に関与できていなかった可能性を示唆し、原因の究明に全力を挙げるとした。
終了後、小早川社長は報道陣の取材に応じた。デブリ採取に使うパイプ型装置を原子炉格納容器内に押し込むためのパイプの並び順が間違っていたことで着手が延期となったことについて、取り違えを防ぐための対策に不備があったと釈明。「養生テープが巻いてあったりして見にくい状況だった。もっと色で分けるとか工夫の余地があった」と反省を口にした。
■不透明
東電は同日、デブリ取り出しの準備作業に関わった協力企業作業員らから事情を聞き取っていると明らかにした。「26日までの着手はない」としたが、その後の日程については「現時点では申し上げることができない」の一点張り。先行きは不透明なままだ。
福島第1原発では昨年10月以降、廃炉作業のトラブルが相次いでいた。東電は廃炉に関する作業の総点検を実施するなどしてデブリ取り出しに臨んだ。だが、不調に終わった。
福島第1原発を視察で訪れた原子力規制委員会の田中知委員は「現場で重要な部分を見ることができていなかったのではないか」と批判し、重要なポイントを確認する人員配置の必要性を指摘した。原子力安全工学が専門の元県原子力対策監の角山茂章氏(元会津大学長)も「東電の協力企業任せの体質が招いたミス。チェック項目を細かく定めて、東電が確認を徹底すべきだ」と戒めた。
■批判の嵐
県議会の自民党、県民連合、共産党の各会派は東電に緊急の申し入れをし、県議から厳しい言葉が飛び交った。
「これまで以上に緊張感に欠けた印象が拭えない」「県民にさらなる不安と不信を与えた」―。相次ぐトラブルを抑えられない東電の体質や県民の感覚との「温度差」を批判する声もあった。
自民党は原因の調査と再発防止策の確実な実施を要請した。県民連合は原因の早急な究明と作業改善に全力を挙げるよう要望。共産党は東電の体制を批判し廃炉に対する県民の信頼回復を申し入れた。
ある県議は「県民の思いを分かろうとする努力が足りない。会社の管理体制も不十分だったのではないか」と疑問を呈した。