2024年8月3日土曜日

敦賀2号機、初の不許可へ 新規制基準「不適合」と規制委

  原子力規制委は2日、日本原電の敦賀原発2号機の新規制基準への適合性審査で「不適合」とする方針を決定しました。同日、原電の村松衛社長らの意見を聴取しましたが、「補正申請したい」との原電側の主張を認めませんでした。

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敦賀2号機、初の不許可へ 新規制基準「不適合」と規制委
                        しんぶん赤旗 2024年8月3日



日本原子力発電敦賀原発2号機(右側)=2012年、福井県敦賀市





 原子力規制委員会は2日、臨時会合を開き、日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の新規制基準への適合性審査で「不適合」とする方針を決定しました。

 同日、原電の村松衛社長らの意見を聴取しましたが、「補正申請したい」との原電側の主張を認めませんでした
 規制委の山中伸介委員長は、2号機原子炉建屋の下に活断層がある可能性が否定できず新規制基準に不適合とする審査チームの審査結論に基づいて審査書案をまとめるよう事務方の原子力規制庁に指示しました。
 規制委は、審査書案を受けて、敦賀原発2号機の申請に対して「不許可」の判断を示すとみられます。
 福島第1原発事故後に施行された新規制基準では、活断層の上に安全上重要な施設を建てることを禁じています。2号機が不許可となれば、原発の再稼働を認めない規制委初の判断となります。
 面談で村松社長は、1年以上かかる追加調査を検討しているとして、新たなデータを含めて再度審査を受けたいと求めました。しかし、面談後の委員会の議論では、委員から「まだトライさせてくださいという話でしかない」「結論が変更になる可能性は乏しい」などの意見が相次ぎました。山中委員長は「審査チームの結論は極めて妥当」としました。

異例の経緯
 今回、問題となった断層は、2号機原子炉建屋から約300メートル北のトレンチ(試掘溝)で見つかったK断層。規制委発足前から原子炉建屋直下の断層が活断層である可能性が指摘されていました。規制委発足後に設置された専門家チームが2度にわたって、活動性が否定できないと評価しています。
 原電は、専門家チームの見解を否定して2015年に再稼働に必要な規制委の審査を申請。審査は敷地内断層の評価を中心に続けられてきました。
 9年近くかかった審査は異例の経緯をたどりました。19年には審査資料に1100カ所以上の間違いが見つかり、20年には、規制委の指摘で審査資料の地質データで無断書き換えが発覚。規制委は、原電の管理体制について本店への立ち入りなど異例の検査を実施し、審査を一時中断しました。22年に規制委は審査を再開しましたが、その後も審査資料の誤りが見つかり再び審査を中断しました。
 昨年、規制委が原電に補正申請をするよう要求。その際、山中委員長は「これが最後のつもりで臨んでいただきたい」と発言していました。

           敦賀原発2号機を巡る経緯
1987年2月 運転開始
2011年3月 東日本大震災
 12年4月 経済産業省原子力安全・保安院が専門家と調査し、活断層の可能性を指摘
 12年9月 原子力規制委員会が発足
 13年5月 規制委が原子炉建屋直下に活断層が存在すると認定した専門家チームの
       報告を了承
    7月 日本原子力発電(原電)が「活断層ではない」とする報告書提出
 15年3月 専門家チームが直下の断層について「将来動く可能性がある」とする評
       価書を報告
   11月 原電が再稼働に向け審査を申請
 20年2月 地質データの無断書き換えが発覚
 21年8月 審査中断を決定
 23年4月 審査を再び中断、補正書求める
 24年7月 審査会合で「新規制基準に適合していない」と結論
    8月 規制委、「不適合」とする審査書案作成を決定


敦賀原発の再稼働「不許可」 福井・敦賀市長「影響は少ない」
                         毎日新聞 2024/8/2
 日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会が再稼働を認めず審査を打ち切る「不許可」とする方針を決めたことを受け、米澤光治・敦賀市長は2日、報道陣の取材に応じた。米澤氏は「止まった状態が長く続いていたので、地域経済への影響は少ない。今後の事業者の判断を注視したい」と述べ、当面静観する考えを示した。
  写真まとめ】日本原子力発電の敦賀原発。手前から1号機、2号機
 2号機の審査を巡っては、資料の無断書き換えなど原電に不手際があった。米澤氏は審査を振り返り「科学的・技術的議論のスタートラインにつくまでに、原電として反省すべき点が多かったことは残念」と話した。

 市内に4基あった原発が全て廃炉になる可能性が出てきたことについて「新しい炉の計画はあるし、廃炉産業では先進地。これからも原子力政策の中で敦賀が果たしていく役割はあまり変わらない」と強調。引き続き「原子力のまち」として存在感を示していく考えを明らかにした。【高橋隆輔】