福島原発事故で「特定避難勧奨地点」に指定されなかった福島県伊達市の住民330世帯約1000人が、被ばくの不安に対する慰謝料を東電に求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、紛争解決センターが住民1人当たり月7万円(勧奨地点の住民には1人月10万円で実施済み)一律で支払う和解案を提示していました。
慰謝料の対象期間は11年6月~13年3月で、住民たちは来年1月末までに和解に応じるか回答することになります。
そもそも特定避難勧奨地点に指定される条件は、年間線量20ミリシーベルトという極めて高いもので、それを下回る地域については何の補償もしないという冷酷なものでした。
しかも当初の空間線量をベースにして行政が機械的に決めたために、同じ町内で一方は補償され他方は補償されないということが生じ問題となっていました。
特定避難勧奨地点住民の7割という算定ですが、何も支払われないのに比べれば前進です。不誠実で知られる東電は「コメントを差し控える」としているので、1月末の期限までにどう回答するのか注目されます。
(関連記事)
2012年12月24日「特定避難勧奨地点の判定基準 日本の恐ろしい現実 」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
避難指定外に月7万円=福島・伊達市1000人、原発ADR和解案
時事通信 2013年12月28日
東京電力福島第1原発事故で局地的に放射線量が高い「特定避難勧奨地点」に指定されなかった福島県伊達市の住民330世帯約1000人が、被ばくの不安に対する慰謝料を東電に求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、仲介機関の原子力損害賠償紛争解決センターが、住民1人当たり月7万円を一律で支払う和解案を提示したことが28日分かった。弁護団が明らかにした。
仲介を申し立てたのは勧奨地点の指定を受けた世帯と同じ地区の住民。和解案は20日付で、来年1月末までに和解に応じるか回答する。弁護団は今後、住民の意向を確認。東電は「コメントを差し控える」としている。
和解案は指定外の住宅周辺にも、勧奨地点と同程度の放射線量の地点が存在したと推定。「被ばくへの恐怖や不安は格段に大きい」として、勧奨地点に準じた支払いを認めた。
対象期間は11年6月~13年3月で、総額約15億円。東電は勧奨地点の住民に1人月10万円の慰謝料を支払っていた。