6日、経産省は政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示しましたが、それには、原発を「重要なベース電源」と評価したうえで、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発について再稼働を進める」ことが明記されました。
東日本大震災後に民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換するわけです。
素案では、「原発は運転コストが低廉で変動も少なく、運転時に温室効果ガスの排出もない」とする従来通りの評価を行っています。しかしこれは既に破綻している論理※で、発電コストは最も高く、発電の瞬間にはなるほど炭酸ガスを出しませんが、天然ウランを掘り出して核燃料に仕上げるまでと、使用済み核燃料を少なくとも数千年に渡って管理する過程で、莫大な炭酸ガスを生じます。
政策を180度転換する以上そう言ういうしかないのでしょうが、いわゆる黒を白と言い包めるものです。
※ 2013年12月6日「原発の発電コストは政府試算の2倍 」
またそれとは別に、小泉元首相の「核のゴミの最終処分場が確保できないから、原発はゼロにしなければならない」という批判に呼応したかのように、先月、経産省の作業部会が打ち出した「最終処分場の確保で国が前面に立つ方針」も、エネルギー基本計画の原案に盛り込まれました。
最終処分場候補地の選定作業は、「原子力発電環境整備機構(NUMO)」が10年以上行ってきたのに、まだまったくめどがつかない(学術会議も国内にはそういう安定した地層は存在しないと宣言しています)状況ですが、これも今後は政治的(=純地質学的にではなく)にどう展開する分かりません。
小泉氏の「原発ゼロ」発言の真意は不明ですが、彼の理屈では「最終処分場が確保されれば原発を進めても良い」ということにもなることに注意を要します。
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エネルギー基本計画案に当局が「原発再稼働進める」と明記
民主政権のゼロ政策転換
産経新聞 2013.12.6 20:10
経済産業省は6日、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会を開き、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示した。原発を「重要なベース電源」と評価したうえで、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発について再稼働を進める」と明記した。
東日本大震災後に民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換する。
素案では、原発について「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時に温室効果ガスの排出もない」と評価。その上で「エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源である」とし、安全性の確保を前提に引き続き活用するとの方針を明記した。
原発の新増設については具体的な記述を見送った。民主党政権が昨年9月にまとめた革新的エネルギー・環境戦略では「新増設は行わない」としていたが、将来的な新増設の可能性については含みを持たせた。
将来の原発を含む電源の構成比率(総発電量に占める比率)についても明示せず、原発の再稼働状況などを見極めて「速やかに示す」ことを盛り込んだ。
再生可能エネルギーの拡大などで、エネルギーの原発依存度は「可能な限り低減させる」とした。
茂木敏充経産相は6日の記者会見で「実現可能でバランスの取れた責任ある計画としてまとめることが必要だ」と強調。12月中旬に計画を策定し、来年1月に閣議決定する方針を示した。