福島県大熊町は福島原発の事故ですべての住民が避難していますが、国の基準はなぜか家財道具に対する賠償額を空間放射線量によって差をつけています。
それに対して町はこのたび独自に基金を設けて、その差額を補填することを決めました。同じ町で生活再建の額に差が生じては地域が分断され、復興の足かせになりかねないからです。
町はこれまで一貫して基準を決める国に対し一律の賠償を求めてきましたが、国は、空間線量によって避難先に家財道具を持ち出す難しさが異なるとして、同じ町なのに賠償額に差を設けています。まさに頭をひねくり回して机上で作った実情無視の基準といえます。
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大熊町 原発事故賠償の差額補填へ
NHK NEWS WEB 2013年12月3日
東京電力福島第一原発の事故ですべての住民が避難している福島県大熊町は、家財道具に対する東京電力の賠償額が放射線量によって地域間で差があることについて、生活再建に差が生じて地域が分断され、復興の足かせになりかねないとして、独自に基金を設けて差額を補填(ほてん)することを決めました。
原発事故の賠償で地域の差額を埋める措置を取るのは、大熊町が初めてです。
福島第一原発が立地する大熊町は、去年12月に放射線量の高さによって、住民の大部分が暮らす地域が「帰還困難区域」に、それ以外の地域が「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」の、3つの区域に分けられました。
これらの区域では、東京電力が自宅に残された家電製品や仏壇などの家財道具の賠償を進めていて、町は基準を決める国に対し一律の賠償を求めてきました。
しかし国は、避難先に家財道具を持ち出す難しさが異なるとして、例えば両親と子ども2人の4人家族の場合、帰還困難区域では675万円、それ以外の区域では505万円と、区域によって賠償額に差を設けています。
これについて大熊町は、生活再建に差が生じることで地域が分断され、復興の足かせになりかねないとして、町が独自に基金を設けて差額を補填することを決めました。
原発事故の賠償で地域の差額を埋める措置を取るのは、大熊町が初めてです。
町は今月18日から始まる町議会での議決を経て、今年度中にも実施する方針です。