2013年12月12日木曜日

福島原発 ALPS本格運転、来年4月以降に

 3月に完成した筈の多核種除去設備ALPS)は、結局満足に動くことはなく、本格稼動は来年4月以降になるということです。
 ALPS汚染水対策の柱と位置付けられていたもので、3系列稼動すれば貯蔵されている数十万トンの原発汚染水はスピーディーに処理できるということでした。それが今年3月にようやく完成したのですが、試運転時にタンクの溶接箇所にピンホール(微小な穴)が見つかったために稼動できませんでした。
 不可解なのはその修理に驚くべき長期間を要したことで、通常ピンホールの補修などは1,2日で済むものなので、他にも多数の不具合があったものと思われます。
 しかしそれらの修理が終わったあとも結局満足に動きませんでした。
 
 フランスのアレバ社の装置に始まって、どうして福島原発の汚染水処理装置は満足に動かないのでしょうか。国内には水処理の専門メーカーは沢山あります。凝集・沈殿・ろ過はいうまでもなく、酸化処理・還元処理、イオン交換、限外ろ過、逆浸透など、排水処理は勿論、半導体工業の超純水製造などあらゆる処理のための技術には事欠きません。
 製薬工業や半導体工業などの分野で万一装置が動かなかったりしたら、それこそ莫大な補償金を要求されますが、装置が動かなかったというような話は全く聞きません。
 
 今回のALPSは東芝製ですが、あまりにもお粗末です。原子力村のメンバーだけで一体満足な水処理装置が出来上がるものなのでしょうか。
 TVや新聞で伝えられる内容は、配管からの水漏れというようなあきれるばかりの低レベルの事故ばかりです。何か汚水処理計画の根本的な考え方が間違っているのではないでしょうか。そもそも東電に基本計画を立案する能力はあるのでしょうか?
 
 話は変わりますが、福島原発の海側観測用井戸の水から、ベータ線を出す放射性物質の量が1リットル当たり150万ベクレルとまたまた最高値を更新しました。
 そのこと自体深刻なことですが、東電原因について「吸い上げの影響で汚染水が井戸付近に吸い上げられている可能性がある」としていることには驚かされます
 別にポンプで池の底に沈殿している汚泥を吸い上げているわけではありません。一体、水中に浮遊している超微粒子が井戸ポンプの吸い口に集まるなどという話を、東電は正気でしているのでしょうか。醤油をポンプで吸い出すと、成分がポンプの吸い口に集まり濃度が上がるというような話しを、です。 
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ALPS本格運転、来年4月以降 第1原発の汚染水処理設備
東京新聞 2013年12月11日
 東京電力は11日、福島第1原発の汚染水対策の柱と位置付ける汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」について、3系統での本格運転開始が来年4月以降になるとの見通しを明らかにした。また、この日までに点検や改良工事のため3系統全ての試運転を停止したと発表した。
 ALPSは今年3月、3系統のうち1系統で試運転を開始したが、作業員の誤操作による停止や汚染水漏えいなどのトラブルが相次いでいる。来春まで試運転を続けながら、設備の信頼性向上を図る。 (共同)
 
福島第1原発・海側の井戸で150万ベクレル検出
 福島民友ニュース 2013年12月11日
 東京電力は10日、福島第1原発の海側にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が過去最高値の1リットル当たり150万ベクレルの高濃度で検出されたと発表した。水は9日に採取。同じ井戸で5日に採取した140万ベクレルを更新し、濃度上昇が続いている。
  海側の敷地では、汚染水が海に流出しないよう地下水をポンプで吸い上げており、東電は原因について「吸い上げの影響で汚染水が井戸付近に吸い上げられている可能性がある」としている。井戸は2号機の東側にあり、海までの距離は約40メートル。