東京電力は25日、柏崎刈羽原発6、7号機を来年7月に再稼働することを盛り込んだ新しい総合特別事業計画(再建計画)を決めました。
東電に賠償資金を援助する国の原子力損害賠償支援機構は同日計画を承認したので、東電は27日に茂木敏充経済産業相に計画を提出し、経産相は年明けに内容を公表します。
東電は柏崎刈羽原発を再稼働すれば収益が改善し電気料金は値下げするが、再稼働が遅れれば値上げもあり得るとしています。安全の問題はもう二の次で、ひたすら原発再稼動の必要性を主張するばかりです。
とはいえ泉田裕彦知事は「東電の収益より県民の安全が重要」と正論を堅持しているので、稼働のめどは立っていません。
目先のことに限定すれば( ⇒ 使用済み核燃料の処理などの費用を当面度外視すれば)、核燃料の豊富な手持ちのある原発の方が利益は上がるのかも知れません。そうすると金融筋から一日も早く収益を改善するように迫られている東電としては、どうしても原発の再稼動に頼ることになります。まかり間違えば関東甲信越全体が全滅する悲劇を孕んでいたとしてもです。
この自らが企業として存続するための妄動こそが、東電を破綻させないことがもたらしたものです。そんな妄動に規制委は決して与するべきではありません。
政府がそこまで見越して東電を破綻処理しないのであれば、もはや何をかいわんやです。
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柏崎刈羽 東電「7月再稼働」
東京新聞 2013年12月26日 朝刊
東京電力は二十五日、柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機が来年七月から再稼働する見通しなどを盛り込んだ新しい総合特別事業計画(再建計画)を大筋で決めた。
東電に賠償の資金を援助する国の原子力損害賠償支援機構はこの日、計画を承認。東電は細部を詰め、二十七日に茂木敏充経済産業相に届け出る。茂木氏は年明けに認定し、内容は公表される。
東電は柏崎刈羽原発を再稼働すれば、燃料費の高い火力発電の運転を抑えて収益が改善すると主張してきた。計画には残る1~5号機も順次再稼働を目指す方針を盛り込んだとみられる。経営の改善に伴い電気料金は値下げするが、再稼働が遅れれば値上げもあり得るとした。ただ、新潟県の泉田裕彦知事は「東電の収益より県民の安全が重要」と反発しており、稼働のめどは立っていない。
計画のもう一本の柱は国による東電の救済策。これまでは被災者への賠償や除染にかかった費用は国がいったん立て替え、経営再建を果たした東電が利益をあげ国に返済する仕組みだった。これに対し、新しい計画は「除染は国、賠償は東電」という負担の大枠を決定。除染作業や汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設にかかる計約三兆六千億円に、税金や国の保有する東電株の売却益を充てる。利益が足りない場合、国が負担する可能性もある。
一方、被災者への賠償費用は引き続き東電が国に返済する。賠償費用が増大しているため、国から東電に対し行っている無利子の資金援助の上限を現在の五兆円から九兆円に引き上げる。
東電は昨年五月にいったん再建計画をまとめた。しかし十一月には除染や賠償の負担が十兆円に上るとし「民間企業では負担しきれない」と国に支援の拡大を求めていた。