東電は20日、福島原発4号機海側の深い地層の地下水からも放射性物質が検出されたと発表しました。これまでは下段の深い地層の地下水は汚染していないと説明されてきたのですが、これで新たな海洋流出経路の可能性が出てきました( 「地層の概念図」に示されているように、上段の透水層の下に難透水層があり、さらにその下に今回検出された下段の透水層があります)。
東電は相変わらず、この水を採取した井戸から海岸までは130~150mあるので、放射性物質の海洋流出はないという不合理な説明をしていますが、地層概念図からもすぐにわかるように、透水層は基本的に全(水平方向)に広がっている筈なので、海岸線の手前に部分的に遮水壁を作ってみても、その深さには関係なく日量1000トンといわれる地下水の海洋流出は阻止できません(全量が遮水壁の両端を迂回して海洋に流出)。
したがって距離の如何にかかわらず、汚染水が井戸の付近に留まり続けるなどということはあり得ません。
これから新設する地中遮水壁は、当然原子炉建屋の周囲を完全に囲い、深さも十分なものにする必要があります。世界が注目するなかでこれから数年をかけて作るのですから、日本の威信をかけても一度で完全な対策となるように願いたいものです。
以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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深い地層にも汚染水 福島第1原発 新たな流出経路か
しんぶん赤旗 2013年12月22日
東京電力は20日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の4号機海側の深い地層の地下水から放射性物質が検出されたと発表しました。これまで東電は深い地層の地下水は汚染の可能性は低いとしてきましたが、汚染水の海への新たな流出経路となる可能性が心配されます。
放射性物質が見つかったのは、新たに掘削した深さ25メートルの井戸です。3日採取分からはセシウム137を1リットル当たり0・7ベクレル、トリチウム(3重水素)を同780ベクレル検出。10日採取分からセシウム134を同2・7ベクレル、セシウム137を同6・7ベクレル、全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)を同89ベクレル検出しました。
福島第1原発の地下には、浅いところにある水を通しやすい地層(透水層)、その下に水を通しにくい層(難透水層)があり、さらにその下に今回検出された透水層があります。
これまで東電は、原発事故による放射能汚染の影響を受けているのは上部の透水層の地下水だけで、下部の透水層は汚染されていないと説明していました。政府の汚染水対策も深い地層の汚染の可能性は低いという前提になっています。
東電は20日の会見で、「この井戸から海へは130~150メートルの距離がある」として、放射性物質の海への流出については否定的な見方を示しました。一方、下部の透水層が汚染されている場合も考慮して、二つの透水層の水の分析や水位の調査を進め、汚染の原因を特定するとしています。