既報のように経産省は、福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設について、実証実験が終わったことを理由に撤去する方針です。
⇒(1月13日)洋上風力発電 山積する課題を詰めつつ進めて欲しい
浮体式洋上風力発電の実用化は難しいという判断からです。
発電設備の撤去には50億円を要するので、この実証実験の総額は670億円になります。
福島民友が、「 ~ 実用化頓挫の検証が不可欠」とする社説を出しました。
浮体式洋上風力発電が復活する可能性がないのかを明らかにするためにも、当然この検証は必要です。
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洋上風力発電/実用化頓挫の検証が不可欠
福島民友 2021年01月13日
経済産業省資源エネルギー庁が、本県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設について、実証実験が終わったことを理由に撤去する方針を表明した。
実証実験は、洋上風力発電の安全性や経済性を調べ、実証と事業化による風力発電産業の集積を図ることを目的に行われた。2013年から浮体式洋上変電所と最大出力2~7メガワットの風力発電施設3基が順次設置され、データの収集などが行われてきた。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を象徴する取り組みとして期待された事業だけに、実用化の頓挫は残念だ。
同庁は撤去の理由について、実験のデータ収集が予定通り完了する見込みがたったことを挙げる。撤去費用を確実に確保することなどを条件に払い下げを希望する企業を募ったが、応募の事業者は条件を満たしていないと判断した。
実証実験には、発電施設などの設置費を含め既に620億円が投じられている。撤去にはさらに50億円程度かかる見通しだ。
同庁が撤去方針を示した、福島市で昨年12月開かれた会合では、漁業関係者から「事業の見通しが甘かったのではないか」などの声が上がった。同庁の担当者は事業の評価について、「実用化、商用化だけが最終的なゴールではない。実際に発電施設を設けたことで貴重なデータが多数得られた」と説明し、成果を強調する。
発電施設と変電所には「ふくしま未来」「ふくしま絆」など本県復興をイメージさせる愛称が付けられていた。政府や事業を担った関係者からも事業化を視野に入れた発言がたびたび聞かれた。施設撤去による事業の終了で、当初の目的を達成したとは言い難い。
事業を主導した国は、事業が実用化に結び付かなかった要因を検証することが不可欠だ。
国は、再生可能エネルギーを主力電源化する切り札として、洋上風力発電を位置付けている。40年の発電能力を原発45基に相当する最大4万5000メガワットとすることを目標としている。東北では5900~9000メガワットを目指す。
県は、施設の撤去方針を受け、本県沖の洋上風力発電について再検討を迫られる。同庁は実証実験で得られたデータから、本県沖を吹く風は発電に最適でも、適していないともいえないとしている。再エネ先駆けの地を標榜(ひょうぼう)する本県が、今後拡大を見込める産業にどう向き合うのかが注目される。
県が洋上風力発電に取り組むことを決断した場合、国にはしっかりとした後押しを求めたい。