2021年1月30日土曜日

柏崎原発7号機の安全対策未完了 刈羽村での説明会で批判続出

 東電は今月12日に完了したと発表していた柏崎刈羽原発7号機について、火災が発生した際空調ダクトを遮断する装置の設置が未着手だったと、27日明らかにしました。

 同日夜 刈羽村で開かれた住民説明会では、原発の所員が不正な方法で原発の中央制御室に入室していた問題も含め、批判が続出しました。
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柏崎原発7号機の安全対策未完了 6号機との共用設備で見落とし
                            新潟日報 2021/01/28
 東京電力は27日、今月12日に完了したと発表していた柏崎刈羽原発7号機の再稼働に向けた安全対策工事の一部が、まだ完了していなかったと発表した。6、7号機の共用設備で必要な安全装置が設置されていなかった。6号機の安全対策工事として管理していたことが見落としの原因。東電は同様の工事管理の問題が他にもないか調査する。
 東電は7号機の安全対策工事が完了したとして、その内容に関する住民説明会を25日から始めたばかり。同原発の所員が不正な方法で原発の中央制御室に入室していた問題も発覚するなど、度重なる不手際に地元は不信感を募らせている
 東電によると、未完了だったのは、6、7号機共用の中央制御室があるコントロール建屋内の工事。機器類がある区域で火災が発生した際、空調ダクトを遮断する装置の設置が未着手だった。6号機の安全対策工事を確認する過程で判明した。装置の設置にかかる期間は現時点で未定だが、今後の検査スケジュールに大きな影響はないとみられる。
 東電新潟本社の橘田昌哉代表は27日、刈羽村議会で開かれた安全対策に関する説明会の冒頭、未完了を報告した。終了後、報道陣に「工事管理の上で行き違いがあった。7号機の工事完了を踏まえて住民説明会を開催したが、結果として終わっていない部分があり、おわびする」と述べた。
 柏崎市の桜井雅浩市長は「誠に残念で、施工監理が不十分であったと言わざるを得ない。詳細を速やかに報告してもらいたい」とのコメントを出した。県も東電に対し「工事全体の信頼にも影響するもので極めて遺憾」と伝え、原因究明などを求めたという。
 東電は12日に安全対策工事が完了し、原子炉の起動前に必要な検査が4月に終わる予定としていた。その後、追加の安全対策に関する工事が4~6月に入り、少なくとも6月までは起動できない見通し。

■企業体質に募る不信感 刈羽で説明会
 東京電力は27日夜、柏崎刈羽原発7号機の安全対策工事に関する住民説明会を刈羽村で開いた。同原発所員の中央制御室不正入室問題に加え、開催直前に7号機の工事の一部が未完了だったことが発覚。出席者から厳しい意見が相次いだ。
 東電幹部との質疑では、失態を繰り返す東電の企業体質に対し「安全第一、社員教育を徹底すると、これまで何回も繰り返してきた。対策の中身のなさが明白になった」などと指摘が出た。
 終了後、同村の女性(75)は工事の未完了について「東電よりも原子力規制委員会に対し、きちんと審査ができていないのではという不信感を持った。住民説明会も東電が強引に進めている印象だ」と語った。
 村内の70代男性は「形を変えて不手際が繰り返されている。柏崎市や刈羽村は再稼働に関する考え方を軌道修正しなければならないのではないか」と突き放した。

■再稼働問題で署名活動へ
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題を巡り、脱原発を訴える県民ら有志による団体が27日、県庁で記者会見し、花角英世知事が再稼働の是非を判断する前に、県民の意見を十分聞く機会を設けるよう訴えた。3月以降、訴えに賛同する県民から署名を集め、夏ごろに花角氏への提出を目指す
 団体は「原発の再稼働と未来のにいがたを考える県民の会」。旧巻町が、原発建設を巡り全国初の住民投票を実施した際に町長だった笹口孝明氏や、東電福島第1原発事故による福島県から本県への避難者らが呼び掛け人となっている。
 会見には笹口氏ら呼び掛け人7人が出席。花角氏が再稼働問題を巡る自らの判断について「県民の信を問う」と公約していることを踏まえ、再稼働の是非を判断する前に必ず県民の意見を聞く機会を設けるよう訴える署名を募るという。
 県民の意見を聞く具体的な機会としては、来年の知事選を念頭に置きつつ、状況に応じて県民投票の実施を求めることも今後、検討する考えを示した。
 笹口氏は「県民が、自分たちの将来を自分たちで決めることに意義がある」と強調した。