福島原発事故を検証する「三つの検証」の技術委員会の一部の委員に対し、新潟県が高齢を理由に再任しないと通知していました(委員の任期は2年)。
再任しないとの通知を受けたのは、立石雅昭・新潟大名誉教授(75)=地質学=と、鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構安全研究センター研究主幹(71)=金属材料学、核燃料工学=の二人で、両氏とも3月末の任期満了を前に県から伝えられたということです(朝日新聞 19日)。
20日のNHK報道によると不再任の委員は4人ということです。
検証が大詰めに来ている段階での委員の不再任は、報告書のとりまとめ上当然支障が生じます。
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議論中だが……原発検証の県技術委2氏、県が不再任に
朝日新聞 2021年1月19日
東京電力福島第一原発事故を検証する「三つの検証」の技術委員会の一部の委員に対し、新潟県が高齢を理由に再任しないと通知していたことがわかった。福島第一原発事故の検証を終え、柏崎刈羽原発の議論が本格化する中、通知を受けた委員は「再稼働にかかわる安全性確認も同じ委員が担当するべきだ」と再任を求めている。
再任しないとの通知を受けたのは、立石雅昭・新潟大名誉教授(75)=地質学=と、鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構安全研究センター研究主幹(71)=金属材料学、核燃料工学=。委員の任期は2年で、両氏とも3月末の任期満了を前に、県から伝えられたという。
県設置の委員会や協議会の運営について定めた内規「運営基準要綱」では、「時代に対応した活発な審議をするため」就任時に70歳以上となる委員の任命は極力避けるとしている。ただ、審議事項や個人差により「一律の年齢制限は適当ではない」ともし、立石氏は70歳以上になってから2度再任されている。
県原子力安全対策課の原直人課長は、再任しない委員数や委員名は「人事に関わるため、まだ公表できない」とした上で、「高齢であり、新しい知見を採り入れるため」に一部の委員を再任しない方針を認めた。前回の更新時に70歳以上だった委員を再任した理由について、福島第一原発事故の検証が続いていたためと説明する。
立石氏は「不当な打診だ。柏崎刈羽原発が建つ地盤の問題には長く関わってきたので継続して審議していきたい」。鈴木氏も「個々の委員が分析や調査して疑問点を東電と議論している。それが新しい委員に引き継がれるのか」と反発している。
知事 運営要綱の年齢考慮し判断
NHK新潟 NEWS WEB 2021年1月20日
柏崎刈羽原子力発電所の安全性を議論している県の技術委員会の一部の委員を、高齢を理由に再任しないことをめぐり、花角知事は、福島第一原子力発電所の事故の検証が終わったことを踏まえ、委員会の運営要綱で定められた年齢の目安を考慮して判断したと強調しました。
県の技術委員会をめぐり、県は「おおむね70歳以上の委員については任命を極力避ける」という運営要綱に基づき、70歳を超える4人の委員を再任しないことになりました。
なかには原発について厳しい指摘をする委員も含まれていて、一部の委員からは柏崎刈羽原発の安全性について議論が本格化するなか、議論の継続性が損なわれると反発の声も出ています。
花角知事は20日の記者会見で、「福島第一原発の事故の検証を行うため、委員を固定して対応してきたが、むしろ異例で、以前と同じように戻すだけだ。新しい人に変わらなければどんな委員会も高齢化してしまう」と述べ、福島第一原発の事故の検証が終わったことを踏まえ、運営要綱で定められた年齢の目安を考慮して判断したと強調しました。
そのうえで、花角知事は「技術は進歩しており、常に新しい知見を入れて原発の安全性や妥当性を議論し、整理してもらいたい」と述べ、新しい委員を加えた技術委員会によって、柏崎刈羽原発の安全性を検証するよう求めていく考えを示しました。