2021年1月18日月曜日

再エネ電力 発電と小売の事業者を仲介 福島県が

 2040年度に県内のエネルギー需要の全てを再エネで賄うとする目標を掲げている(19年度は34・7)福島事業用の再エネ発電施設(10KW以上)は約11900カ所あります
 飯舘村で太陽光発電所49基(計約2400KW)を運転している飯舘電力によると、「復興支援や企業イメージの向上を目指す顧客からの引き合いが強い」ということです。
 県は21年度から県内再エネ発電事業者と全国の小売電気事業者を結び付ける事業に着手するということで、県が新たな事業を進めることで、県内事業者が「福島発再エネ」と銘打ち、全国の小売電気事業者や企業にアピールする機会が増えることを目指しています
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再エネ電力、発電と小売の事業者を仲介 福島県 2021年度から立地、規模全国へ周知
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 再生可能エネルギー先駆けの地を目指す県は二〇二一(令和三)年度から、県内再エネ発電事業者と全国の小売電気事業者を結び付ける事業に着手する。県内発電事業者の情報を集約して全国に周知し、売買契約を仲介する。売電単価に一定金額を上乗せし、利益を地域振興に生かす仕組みを構築する。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年が経過するのを踏まえ、福島県発再エネのブランド力向上と一層の普及につなげる。
 経済産業省資源エネルギー庁によると、県単位で同様の仕組みを整備するのは全国初とみられる。同庁によると、県内にある事業用の再エネ発電施設(十キロワット以上)は約一万一千九百カ所。県は売電を希望する事業者の立地や発電種別、規模などの情報を集約し、ホームページで公開する。再エネ発電による電力を専門に供給する全国の小売電気事業者に対して展示会などで情報発信し、マッチングを支援する。
 再エネ電力は国の固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、各電力会社が買い上げている。太陽光発電の場合、二〇二〇年度の価格は出力に応じて一キロワット時当たり十二円か十三円。新たな事業の開始後、県は売電単価に数銭程度上乗せして契約してもらえるよう小売電気事業者に働き掛ける。
 事業者間の売買においては通常、単価の上昇は敬遠されるが、県が仲介することで契約が促進される効果が見込まれる。上乗せ分は発電事業者の立地地域の活性化につながる事業に役立ててもらえるよう仕組みを検討する。積み立ての手法など事業の詳細は今後詰める。

 各電力会社が買い取った再エネ電力は現在、主に化石燃料や原子力で生み出された電力と区別されずに供給されている。このため、県内の再エネ発電によるクリーンな電力を売り込みにくいのが実情だ。県が新たな事業を進めることで、県内事業者が「福島発再エネ」と銘打ち、全国の小売電気事業者や企業にアピールする機会が増える。付加価値やブランド力が向上し、販路拡大と県内への関連産業集積につながると期待される。

 近年、国際的に温室効果ガス排出削減や脱炭素の動きが強まり、環境への配慮に対する機運が高まっている。海外との取引がある企業、環境への問題意識を持つ個人などを中心に再エネ発電による電力の需要が増加傾向にある。飯舘村で太陽光発電所四十九基(計約二千四百キロワット)を運転している飯舘電力によると、「原発事故被災地である県産の再エネ電力は、復興支援や企業イメージの向上を目指す顧客からの引き合いが強い」という。

 県は二〇四〇年度に県内のエネルギー需要の全てを再エネで賄うとする目標を掲げている。二〇一九年度の導入割合は34・7%だった。県エネルギー課の担当者は「目標達成に向け、事業の内容を充実させていきたい」としている。