福島県立博物館は、震災関連資料を展示する企画展「震災遺産を考える」が16日に開幕するのを前に、同館が集めた関連資料の図録を作成しました。
資料とともに、関係する人々の物語も収録し、地震や津波、原発事故の影響を伝えています。
A4判約150ページ、価格は800円です。
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「震災遺産」詳細な図録に!県立博物館作成 人の物語にも焦点
福島民友 2021年01月15日
(福島)県立博物館(会津若松市)は、震災関連資料を展示する企画展「震災遺産を考える」が16日に開幕するのを前に、同館が集めた関連資料の図録を作成した。資料とともに、関係する人々の物語も収録し、地震や津波、原発事故の影響を伝えている。同館が震災関連資料についての詳細な図録を作成したのは初めて。
A4判約150ページの冊子には、震災発生の午後2時46分すぎで止まった美容室の看板時計、中学校に残されていた「探し人」の貼り紙などが収録されている。図録の作成では、収集した場所や日付などを記載するだけでなく、資料に関係する人たちの「人物紹介」にも力を入れた。内山大介主任学芸員(44)は「震災遺産は見ただけでは分からない。関わる人たちのストーリーと共に収集しなければ、ただのガラクタになってしまう。背景も含めて集めなければならないことが、ほかの文化財と違う特徴」と説明する。
冊子には、点火しなくてもにおいを放つ「火を使わない線香」など、一見して震災遺産だと分からない品物も掲載。線香は2015(平成27)年3月15日に、火の使用が禁止された避難指示区域で収集された。ありふれた線香が、先祖供養の形さえ変えさせた原発事故の根深さを物語っている。
内山学芸員は「ものとそれにまつわるストーリーを知れば、『うちでも同じ被害があった』『自分ならどうしただろう』と考えるはず。自分なりに震災10年を振り返るきっかけにしてほしい」と話している。
価格は800円。16日から県立博物館で販売する。問い合わせは同館(0242・28・6000)へ。