福島第1原発事故で岩手、宮城、福島3県から避難し秋田県内で生活する世帯を対象に福島県が20年度に実施したアンケートで、「既に定住している」「このまま定住したい」と答えた世帯が6割に上りました。
アンケートを開始した12年度は2割でしたが、震災から10年近くたち、避難生活の長期化で定住を希望する声が増えたとみられます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「秋田へ定住」6割超 避難長期化、子どもの意向も重視 県の被災者アンケート
河北新報 2021年01月13日
東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で岩手、宮城、福島3県から避難し秋田県内で生活する世帯を対象に県が2020年度に実施したアンケートで、「既に定住している」「このまま定住したい」と答えた世帯が6割に上った。アンケートを開始した12年度は2割だったが、震災から10年近くたち、避難生活の長期化で定住を希望する声が増えたとみられる。
「既に定住」が39・6%でトップ。「定住したい」が23・4%で続いた。「いずれ帰還したいが時期は未定」は18・0%。「避難元市町村へ帰還する」「市町村は異なるが、避難元県内に帰還する」はともに1・8%にとどまった。
12年度のアンケートでは「いずれ帰還したいが時期は未定」(38・0%)が最も多く、「定住したい」(21・9%)は2番目。13年度もそれぞれ32・7%、21・4%の順だった。14年度からは「定住したい」が「いずれ帰還したいが時期は未定」を上回って最も多くなり、17年度以降は「既に定住している」がトップとなっている。
定住を決めた理由は「家族の中に秋田県出身者がいる」が最多の37・1%。「親類や知人がいる」(24・3%)、「教育環境や子どもの学校の関係」(14・3%)と続いた。
帰還時期を決めていない理由(複数回答)も尋ねた。「育児、子どもの教育を優先したい」が70・0%に上り、「放射能による健康への影響が不安」が35・0%、「帰還先での仕事が見つからない」が25・0%だった。
県被災者受入支援室は「10年近く避難生活を送り、子どもにとっては秋田での生活の方が長い。定住希望も帰還希望も子どもの意向が判断理由になっている」と分析した。
20年度のアンケートは昨年6月1日現在で県内に暮らす197世帯を対象に、6~8月に実施した。計111世帯(岩手1、宮城21、福島89)から回答があり、回答率は56・3%。