2024年7月31日水曜日

能登半島地震で生じた地盤隆起 最大4m 原子力規制委が現地調査へ

 志賀原発2号機の安全性を審査している原子力規制委は30日、能登半島地震で生じた地盤の隆起や津波の状況について8月19と20日の2日間現地調査を行うと発表しました。石渡 明委員や原子力規制庁の地震・津波研究部門の担当者が能登半島北部の海岸などを確認します。

 能登半島地震では、国土地理院の調査では半島の西側およそ90キロにわたり隆起がみられました。北部海底の活断層付近で最大4隆起しました。
 それに対して北陸電力「今回の4の隆起は海岸線沿いにある既知の断層が動いたもので、志賀原発の敷地内に断層はない」と述べています。
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能登半島地震で生じた地盤隆起 最大4メートル 半島西側約90キロ…原子力規制委員会が現地調査へ
チューリップテレビ 2024/7/30
能登半島地震で生じた地盤の隆起について、原子力規制委員会が8月、現地調査を行います。

北陸電力・志賀原発2号機の安全性を審査している原子力規制委員会は7月30日、能登半島地震で生じた地盤の隆起や津波の状況について現地調査を行うと発表しました。
調査は8月19と20日の2日間で、石渡 明委員や原子力規制庁の地震・津波研究部門の担当者が能登半島北部の海岸などを確認します
能登半島北部では海底の活断層付近で最大4メートルの隆起が発生。国土地理院の調査では半島の西側およそ90キロにわたり隆起がみられ、漁業などに影響が出ています。

こうした隆起が志賀原発付近で起きる可能性について、北陸電力は─。
北陸電力 吉田進土木建築部長「今回の4メートルの隆起は海岸線沿いにあるすでに知られている断層が動いたと。志賀原子力発電所の敷地内にも断層はありませんし、周辺にある断層についても長大な断層がないということで、まずそういう隆起に起因する活断層は確認できないと」

北電側は志賀原発付近での隆起は周辺の活断層の状況からみて現実的ではないとしました。
原子力規制委員会は現地調査で地震に関する知見を収集し、安全研究に役立てるとしています。

敦賀原発2号機審査、原電社長と面会後に最終判断 規制委

 原子力規制委26日審査会合で、敦賀原発2号機について原子炉直下に活断層があることを否定できないと結論しましたが、近く原電の村松衛社長と面会した上で最終判断することを31日の定例会で決めました。
 原電が追加調査をして審査継続を要望しているためです。
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敦賀原発2号機審査、原電社長と面会後に最終判断 規制委
                            毎日新聞 2024/7/31
 原子力規制委員会は31日の定例会で、新規制基準に適合しないと審査会合で結論付けた日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)について、原電の村松衛社長と近く面会した上で最終判断することを決めた
 原電が追加調査をして審査継続を要望しているためだが、規制委は結論自体は追認する見通し。再稼働を認めない「不許可」となれば、規制委発足後、初の判断となる。
 新規制基準は、活断層の直上に原子炉などの重要施設を造ることを禁じている。規制委の審査会合は26日、原子炉直下に活断層があることを否定できず、新規制基準に適合しないとしていた。

 2号機を巡っては、規制委の有識者調査団が2013年、原子炉直下に活断層があるとする報告書をまとめた。原電は15年、2号機の再稼働を目指して審査を申請したが、その後、原電による審査資料の約80カ所に及ぶ無断書き換えや約1300カ所の誤記が見つかり、審査を2度中断した。23年4月に村松社長と面会し、原電が出し直す申請書で最終判断すると「最後通告」していた。【木許はるみ】 

福島第一2号機 燃料デブリ「取り出しロボ」31日に使用前検査を開始

 福島第一原発2号機の燃料デブリの試験的な取り出しに向け、原子力規制委員会が取り出し機器の使用前検査を31日に始めます。検査では機器に破損がないかなをど確認し、1か月ほどで結果が出るのでその後取り出しを始めます。取り出し量は3g以下です。
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<福島第一原発>燃料デブリ「取り出しロボ」使用前検査は7月31日実施 合格すれば使用可能に
                           福島テレビ 2024/7/30
福島第一原子力発電所では、燃料デブリの試験的取り出しに向け、7月31日に「ロボットの使用可否を判断する検査」が行われる
第一原発2号機では、早ければ8月にも燃料デブリの試験的取り出しに着手される計画。
この作業に向けて、2号機の格納容器につながる配管には、取り出しに使用する「釣り竿型のロボット」が接続されているが、東京電力は7月31日に、原子力規制庁による「使用前検査」を受けると公表した。
この検査は、ロボットが安全に使用できるかどうかなどを確認するための検査で、検査の合格をもってロボットが使用できるようになる。
合格の判断までには1か月ほどかかる見通し。
「試験的取り出し」では、3グラム以下のデブリを取り出す計画。
福島第一原発の1号機から3号機までには、約880トンのデブリがあると推定されている。

31- 福島第1原発事故の復興費 13年間で8・2兆円

 復興庁は31日、2011~23年度の13年間に支出済みの福島第1原発事故に伴う「原子力災害からの復興・再生」費は、8兆1979億円と発表しました。
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復興費、13年で40.8兆円 東日本大震災、住宅再建が最多
                            共同通信 2024/7/31
 復興庁は31日、東日本大震災から復興するため2011~23年度の13年間に支出済みの関連費が40兆8822億円だったと発表した。分野別では「住宅再建・復興まちづくり」が13兆5331億円と最多で、東京電力福島第1原発事故に伴う「原子力災害からの復興・再生」の8兆1979億円が続いた。
 23年度の復興関連予算8616億円のうち、18%に当たる1574億円を年度内に執行できなかった。
 13年間の支出はほかに、自治体を財政支援する「震災復興特別交付税」が6兆1657億円、被災者への支援金や仮設住宅の整備費を含めた「被災者支援」は2兆3224億円だった。

2024年7月29日月曜日

看板は消えても…「廃棄物処分地候補には断固反対」 塩谷町

 福島第1原発事故で発生した指定廃棄物問題で、環境省が塩谷町上寺島の国有林を処分場の候補地に選定した2014年7月には、町を挙げての反対運動が展開され、街じゅうに「断固反対」「白紙撤回」と記された看板やのぼり旗が並びました。10年が経過したいまは看板やのぼり旗はありませんが、町や町民たちが白紙撤回を求める姿勢は揺らいでいないということです看板などの有無で判断できるものではないということです。
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【指定廃棄物の行方】看板は消えても…「断固反対」思い揺るがず 候補地選定10年の塩谷町
                        下野新聞 2024/7/28 11:30
 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物問題で、環境省が塩谷町上寺島の国有林を処分場(長期管理施設)の詳細調査候補地に選定した2014年7月。当時は町を挙げての反対運動が展開され、街じゅうに「断固反対」「白紙撤回」と記された看板やのぼり旗が立ち並んだ。選定から30日で10年がたつ。現在、町内にそうした景色はなく、過熱した反対運動は落ち着きを見せている。ただ、町や町民たちが白紙撤回を求める姿勢は揺らいでいない。

指定廃棄物の行方】「忘れられているのか」 塩谷選定10年 農家の負担いまだ重く
 同町玉生の町役場新庁舎から北へ約15キロ。山道や未舗装の林道を進んだ先に、杉林が広がる。約3ヘクタールの処分場詳細調査の候補地だ。一部は平たんに近い土地で雑木林そのもの。候補地だと示す説明や囲いなどはない。

風力発電所の事業用地、避難解除申請へ 葛尾村野行地区

 葛尾村は、福島原発事故で帰還困難区域となっている野行地区の特定復興再生拠点区域から外れた場所にある風力発電所の事業用地を、「土地活用スキーム」を活用して避難指示解除に向けた手続きに入ります。
 避難指示の解除を目指すのは、葛尾風力発電所の事業用地約4・5ヘクタールと、阿武隈風力第3、第4発電所の事業用地約13ヘクタールの計約17・5ヘクタールです。
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風力発電所の事業用地、避難解除申請へ 葛尾・野行、住民も了承
                           福島民友 2024/07/29
 葛尾村は、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となっている野行(のゆき)地区を巡り、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた場所にある風力発電所の事業用地の避難指示解除に向けた手続きに入る。住民が日常的な生活を営むことを想定しない拠点外の土地について、自治体の判断で避難指示の解除を可能にする「土地活用スキーム」を活用する。28日に村内で開いた地区住民を対象にした説明会で大筋の了承を得た。

 避難指示の解除を目指すのは、葛尾風力発電所の事業用地約45ヘクタールと、阿武隈風力第3、第4発電所の事業用地約13ヘクタールの計約175ヘクタールで、発電所施設や管理用道路などが含まれる。主に国有林地にあり、現在は事業目的の立ち入り許可で整備が行われている。
 村は避難指示の解除を通じて円滑な工事の進展を後押しし、村への経済波及効果を実現する考え。解除の時期については来年の春ごろを想定しており、村は風力発電事業者の環境整備の状況を確認しながら、政府への申請時期を判断する。
 復興拠点外の帰還困難区域について、土地活用スキームを使って避難指示を解除する取り組みは飯舘村に続き2例目となる。篠木弘葛尾村長は「住民からはご理解をいただいたと考えている。土地活用スキームを使う方針については、帰還困難区域を持つ他の自治体にも説明している」と語った。

 野行地区は葛尾村の北東部にあり、原発事故により帰還困難区域となった。集落や主要道路などの地区の一部は2022年6月、復興拠点として避難指示が解除されている。 

「不合格」敦賀原発と同じ福井県にある関電の3原発、「活断層なし」と判断の過去

 敦賀原発2号機は、規制委が直下に活断層があることを否定できないと判断して、再稼働が困難になりました。

 活断層を巡る安全性の問題は、同じ福井県にある関西電力の3原発でも長らく議論されてきましたが、いずれも「活断層ではない」と判断されました。
 産経新聞が報じました。
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「不合格」敦賀原発と同じ福井県にある関電の3原発、「活断層なし」と判断の過去
                            産経新聞 2024/7/26
原子力規制委員会が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)直下の活断層の可能性を否定できないと判断した。活断層を巡る安全性の問題は、同じ福井県にある関西電力の3原発でも長らく議論されてきた。敷地内の断層はいずれも規制委が「活断層ではない」との結論を出したが、その道のりは険しかった

最も敦賀原発に近い美浜原発(同県美浜町)は、3号機の真下を通る断層が敷地から約1キロ東にある活断層と連動して地盤をずらす可能性があるかが焦点となった。関電はボーリング調査などで採取した粘土鉱物を分析し、十数万年前以降に断層が動いた形跡はないと確認。規制委から活断層の存在は推定されないとの結論が出された。
大飯原発(同県おおい町)では、敷地内を横切る「F-6断層」が緊急時に原子炉の冷却に必要な「非常用取水路」の真下を通るため、活断層と認定されれば大規模な改修が必要だった。
平成24年11月の規制委による初の現地調査で見つかった地層のずれが、断層か地すべりかで専門家の意見が分かれた。関電は新たに長さ70メートル、幅50メートル、深さ40メートルの試掘溝を掘り、断層の上にあった約23万年前の火山灰の層に地震による変位や変形がみられないことを確認。専門家も「活断層でない」との見解で一致し、1年3カ月後に規制委が評価書を了承した。(桑島浩任)

29- 敦賀2号機「不合格」、原発城下町 財政面依存から脱却できるか

 かつて敦賀市では敦賀原発1~2号機新型転換炉「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」の4つが稼働していました。そのうちの3基はすでに廃炉が決まり、唯一残っていた敦賀原発2号機も再稼働が難しい状況となりました。

 ただ廃炉と決まっても国からの交付金などがあり、地元経済への影響は小さいとされます。一方で、同市はふるさと納税の活用や物流の推進などを図り、財政面で原発依存からの脱却を目指しています。読売新が報じました。
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城下町から原発消える?…敦賀2号機「不合格」、財政面依存脱却模索
                            読売新聞 2024/7/27
 日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機(福井県敦賀市)の再稼働が厳しい状況に追い込まれた。地元経済への影響は限定的とみられるが、半世紀以上、日本の原発推進を担ってきた「原発城下町・敦賀」から原発がなくなる可能性が出てきた。(敦賀支局 高山智仁、科学医療部 中田智香子)

 福井県内には原子炉が15基(廃炉作業中を含む)あり、敦賀市ではかつて4基が稼働していた
 1970年に運転が始まった敦賀1号機は西日本初の商用炉で同年の大阪万博会場に送電され、「原子の灯」と紹介された。その後2号機や日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」が建設され、商用から研究用まで様々な施設が集まる地域として栄えた
 1号機の建設工事に携わった原発向け工具販売会社「キコー綜合(そうごう)」(敦賀市)の小森英宗会長(76)は「敦賀で作られた『未来のエネルギー』。誇らしく感無量だった」と振り返る。しかし、2011年の東京電力福島第一原発事故を機に国内の全原発が停止。その後、安全対策費がかさむなどで1号機ともんじゅは廃炉が決まり3、4号機の建設計画も凍結された。ふげんは事故前に運転が終了し、唯一運転可能だった2号機も、先行きが不透明になった

 原電は再稼働を目指す方針だが、廃炉になった場合でも国からの交付金などがあり、地元経済への影響は小さいとされる。一方で、同市はふるさと納税の活用や物流の推進などを図り、財政面で原発依存からの脱却を目指す。
 米沢光治市長は「原子力だけではなく、地の利を生かした産業の活性化にも力を入れていく」と話す。
 原子力政策に詳しい長崎大の鈴木達治郎教授は「稼働できるか不透明な敦賀2号機にこだわるよりも、敷地周辺で再生可能エネルギーに取り組む方が将来的に良い」と指摘する。

「関西への影響はない」 支援の関電
 関西電力が出資する日本原電は、敦賀2号機が運転を始めた1987年以降、発電量の33%を関電に供給する契約を結んでいる。2号機は福島第一原発事故後13年間、運転が止まっており、今後停止が続いても、原発7基を再稼働させた関電の関係者は「関西への影響はないだろう」と話す
 2号機停止中も維持費用として「基本料金」を原電に支払っている関電は26日、2号機は貴重な原子力電源。今後も必要な支援を行う」とした。
 国際大の橘川武郎学長(エネルギー産業論)は「電力需要は増加傾向で、原電の役割がなくなることはない。送電インフラが整っており別の発電方法での活用も考えられる」と話す。
 龍谷大の大島堅一教授(エネルギー政策論)は「地域経済へのダメージが限定的だとしても、国は影響を緩和する対策として、地元から生まれる産業を育成していくべきだ」と指摘する。(村上和史)

2024年7月27日土曜日

敦賀原発2号機 新規制基準「不適合」審査会合初判断

 原子力規制委の審査会合は敦賀原発2号機について、新規制基準に「不適合」としました。審査会合としては初めての判断になります。

 26日の審査会合では、原子炉建屋近くを走るK断層と2号機の真下を走る断層とのつながりが否定できないとの認識が示され、新規制基準に「不適合」との審査結果が取りまとめられました。来月にも正式に敦賀2号機が新規制基準に「不適合」との結論を出す公算が大きくなり、2号機が「廃炉」になる可能性が出てきました。
 なお日本原電の村松衛社長は26日、記者団の取材に応じ「追加調査を行う。廃炉は考えていない」と話しました。
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敦賀原発2号機 新規制基準「不適合」審査会合初判断
                       ANNテレビ朝日系 2024/7/26
原子力規制委員会の審査会合は福井県にある敦賀原発2号機について、新規制基準に「不適合」としました。審査会合としては初めての判断になります
 日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機を巡っては、5月の審査会合で原子炉建屋近くを走るK断層の「活動性を否定できない」とされていました。
 26日の審査会合では、このK断層と2号機の真下を走る断層とのつながりが否定できないとの認識が示され、新規制基準に「不適合」との審査結果が取りまとめられました
 新規制基準では、原子炉建屋などの重要施設は「変位が生ずる恐れがない地盤に設けなければならない」とされています。
 審査会合で「不適合」と判断されたのは初めてです
 この結論は規制委員会に報告され、来月にも正式に敦賀2号機が新規制基準に「不適合」との結論を出す公算が大きくなり、2号機が「廃炉」になる可能性も出てきました。


「活断層」攻防、10年超 報告書案漏えいなど混乱も 敦賀原発
                            時事通信 2024/7/27
 日本原子力発電敦賀原発の敷地内活断層を巡り、原子力規制委員会は2013年と15年の2度にわたり、専門家調査団による「活断層である」とする報告書を了承。
 原電はそのたびに「適正手続きに反し、当然無効だ」などと激しく反発した。攻防は10年以上に及び、その過程では報告書案の事前漏えい問題など、審査の公平性を揺るがすような混乱も起きた。
 発端は規制委発足前の12年4月。経済産業省原子力安全・保安院(当時)が行った現地調査で、敷地内に活断層がある可能性を専門家が指摘した。
 同年9月に発足し、調査を引き継いだ規制委は13年5月、2号機直下を通る断層が活断層だとする専門家調査団の報告書を了承。原電は14年、新たな試掘溝で得られたデータを基に再調査を要求し、再び議論されたが、結論は覆らなかった
 ただ、規制委は専門家調査団の判断を「重要な知見の一つ」とする見解を示したことから、最終的な判断は、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査へと移った。
 調査や審査の過程では、公平性を揺るがす問題が多数生じた。12年には、事務局の原子力規制庁審議官が、あいさつに訪れた原電幹部に公表前の調査団報告書案を手渡していたことが発覚、更迭に追い込まれた。
 13年に調査団報告書を了承した際には、原電が規制委に加えて、調査団メンバーの専門家個人にも抗議文を出し、規制委側が不快感を示す場面も。その後も、地質データの無断書き換えが多数判明するなど2度にわたって審査が中断、異例の経過をたどった


原電、経営の不透明感強まる 再稼働絶望、収入激減の恐れ 敦賀原発
                            時事通信 2024/7/27
 敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働が絶望的になったことで、同原発を保有する日本原子力発電(原電)の経営の先行きに不透明感が強まっている。
 同社の原発は、敦賀2号機と東海第2原発(茨城県東海村)の2基のみ。再稼働できず廃炉に追い込まれれば収入は激減し、屋台骨が大きく揺らぐ恐れがある。
 原電は2011年の東京電力福島第1原発事故後、保有する原発を停止し、今は発電や電力供給を行っていない。だが、その経営は電力会社から受け取る基本料金に支えられ、決算は黒字が続いている。24年3月期は東京電力エナジーパートナーや中部電力など電力5社から得た基本料金が計944億円に上り、前期比37.8%増の24億円の純利益を確保した。
 廃炉になればこの収入の多くが途絶えるため、原電は総力を挙げて敦賀2号機の存続を探る方針。原電には原発を手掛ける電力大手などが出資している関係もあり、同社を支えるため電力業界も対応を迫られる可能性がある
 電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は今月19日の記者会見で、敦賀2号機について「非常に大事なサイト(発電所)だ」と指摘。「追加調査をして、説明をして、理解を得られるように頑張ってほしい」と語った。 


敦賀2号機の再稼働困難、会社の存続問われる事態に 追加調査に望み、日本原電
                            産経新聞 2024/7/26
日本原子力発電が会社の存続を問われる事態に追い込まれた。敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査で26日に原子炉直下に活断層がある可能性は否定できないと判断され、再稼働が困難になったからだ。廃炉になれば、経営が立ち行かなくなるだけに追加調査に望みをつなぐが、株主で原発の維持費用などを負担している大手電力の理解を得られるかも含め、不透明感が漂う

原発専業会社である日本原電は昭和32年に大手電力9社や電源開発の出資で設立された。41年には日本初の商業用原発である東海原発の営業運転を始めており「原発のパイオニア」と呼ばれる。現在、敦賀2号機と東海第2原発の合わせて2基の原発があるが、いずれも再稼働できていない。
一方、令和6年3月期に純利益が前期比38%増の24億円となるなど黒字経営が続く。電気を送る契約を結ぶ大手電力5社(東北、東京、中部、北陸、関西)から再稼働を前提に原発の維持管理費用を「基本料金」として受け取っているからだ。
6年3月期は売上高950億円のうち944億円を基本料金で賄った。それだけに、敦賀2号機が廃炉になれば、経営への影響は計り知れない。日本原電は廃炉を回避するため、何とか審査継続にこぎつけたい考えだ。
ただ、審査を続けても今回の結果を覆せるかは見通せない。今後の焦点はこうした状況に大手電力がどこまで耐えられるかだ。各社の株主総会では「電力供給を受けていないのに費用を負担するはおかしい」などと株主から批判の声も出る。規制委の判断を踏まえ、大手電力がどんな姿勢を示すかは日本原電の今後の経営を大きく左右する。(万福博之)

東海第2原発 防潮堤施工不良 9月工事完了目標を変えない原電を知事が批判

 敦賀原発の廃炉決定で大揺れの日本原電は、残る唯一の原発が東海第2原発です。
 同原発の事故対策工事9月完了を目標としていますが、先に防潮堤の施工不良(底部へのコンクリート充填不良及び鉄筋の変形)が見つかり規制庁から部分的に施工し直しすることを要求されています。津波の襲来時には防潮壁の底部に最大の荷重がかかるので当然のことです。
 そうなれば工事完了は9月より後になる筈ですが、未だに申告がないことに大井川和彦・茨城県知事は「この状況でいまだに工期を変えないのは、地元に対して不誠実じゃないかと思う」と批判しました。
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東海第2 防潮堤施工不良問題 9月工事完了目標を変えない原電 大井川知事が批判「地元に対し不誠実」
                         茨城新聞 2024年7月27日
 日本原子力発電が9月完了を目標としている東海第2原発(茨城県東海村)の事故対策工事を巡り、大井川和彦知事は26日の定例会見で、防潮堤の施工不良問題を念頭に「この状況でいまだに(工期を)変えないのは、地元に対して不誠実じゃないかと思う」と批判した。(長崎高大)

 9月完了が危ぶまれている東海第2の事故対策工事の工期について、知事が原電の姿勢を公の場で批判するのは初めて。これまでに東海村の山田修村長など周辺市町村の首長からも、同様の批判が相次いでいる
 昨年6月の施工不良発覚後、一部工事は中断が続いているうえ、原子力規制庁は原電に対し、防潮堤の一部建て直しを検討するよう指摘した。会見で知事は「指摘を踏まえれば、9月の工事完了はあり得ないということは明らかだ」と述べた。

 防潮堤の施工不良は、取水口付近の鋼製防護壁の南側を支える基礎部分の柱に、コンクリートの充塡(じゅうてん)不足や鉄筋の変形が判明。その後の調査で、北側の基礎部分でも同様の施工不良が確認された。
 原電は補修による対策を検討し、事故対策工事の見通しについてはこれまで「非常に厳しい状況」としながらも、完了時期は変更していない。
 ただ、6月の原子力規制庁での審査会合では、規制庁側が「造り直すことが大前提」などと対策の抜本的な見直しを要求。原電は7月中旬までに新たな方針を説明するとしたが、その後、規制庁に「7月中の回答は困難」と伝えた。

経産省「原発の建設費を電気料金に上乗せ」もう止めてくれ!

 経産省が原発の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入を検討していることがわかりました。
 福島第一原発事故で安全対策費が膨らむうえ、電力自由化で建設費を確実に回収する手段もなくなったためですが、原発を新設するための費用を電気料金に上乗せするとは前代未聞の話です。
 従来 原発建設のコストは100万KWクラスで1基当たり5000万円程度でしたが、海外の例では新規の原発はその3倍程度になりました。日本の原発はコア(デブリ)キャッチャーがなかったり、格納容器緊急排気用のフィルターの容量が極めて小さいなどの要素があるので2倍程度で収まる可能性もあります。いずれにしても原発の発電コストが低いという言い分は「馬脚を顕わした」といえます。
 まるこ姫とくろねこの短語氏が怒りのブログを出しました。
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経産省「原発の建設費を電気料金に上乗せ」もう止めてくれ!
                     まるこ姫の独り言 2024.07.24
福島の未曽有の大事故を見てから、私としては原発はいらない、その代替は再生可能エネルギーだと思っている。

しかしこの国の方向性は旧態依然として原発推進だし、廃炉にする技術も持たない国が原発再稼働、新設と自分たちさえ得すればいいような流れにもっていこうとしている。

今度は、原発の建設費を電気代に上乗せと言いだす経産省。

原発の建設費を電気料金に上乗せ、経産省が新制度検討 自由化に逆行
                   7/24(水) 6:30配信 朝日新聞デジタル
>経済産業省が原発の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入を検討していることがわかった。東京電力福島第一原発事故で安全対策費が膨らむうえ、電力自由化で建設費を確実に回収する手段もなくなり、電力各社が投資に及び腰になっているからだ。国は「脱炭素電源」を増やして将来の需要増に備えるとするが、広く国民負担の増加につながる可能性がある。

本当に国はあさっての考えが好きなのか、電力自由化と言いながら、一方では経産省が首を突っ込み「建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入」の検討ってなんなのか?

ある時は民間に任せると言い、ある時は国が介入する。
電気料金自由化の時代に、原発の建設費を電気料金に上乗せするというのは意味が分からない。
相反する事じゃないか。

それでなくても、インフラ料金を情け容赦もなく上げ続けていて、電気代なんてしょっちゅう上がっている。

インフラは人にとって最後の砦で、生活困窮者が安心して使えるように、支払えるように、できるだけ抑えておくべきじゃないのか。

その上がり続ける電気代にまた「原発の建設費」まで上乗せ検討。
なんでそこまで国民を追い詰めるのか。
国民が憎いからここまで苦しめるのか・・・・

それでなくても、福島への「復興特別税」は本来なら2023年で終わる予定だったのに、24年度から「森林環境税」としてそのまま据え置きだ。

住民税に上乗せされて取り続けられる。
結局、永遠にとり続けられるという事だ。

所得税にはプラス「復興特別所得税」、住民税にはプラス「復興特別税」

ようやく終わると思っていた復興特別税が、看板を変えて今度は永遠にとり続けられるのに、また勝手に原発を新設するための予算まで消費者に転嫁しようとしている。

こんな、名を変えては税金を取り続けていれば(しかも賃金だけ上がっていない)実質賃金は減っていて、円安の悪影響も相まって、内需が良くなるわけがない。

原発は国策として「安心・安全・安価」が売りだったし、私も信じていたようなところもあったが、一度事故が起きたら、安心でも安全でも安価でもなく、恐ろしい現実が国民にバレてしまった。

それでも、自民党と既得権益者たちは原発を新設する方向へ。

「今だけ、金だけ、自分だけ」よければ、国民の生活や苦しみなど屁とも思っていないのだろう。

この国は上から下まで腐りきっている。


原発建設費を電気代に上乗せを経産省が検討・・・言ってみれば、原発建設税ってことか! イカレてる!!
                       くろねこの短語 2024年7月25日
 福島第一原発では核燃料デブリの取り出しの見込みが立たず、放射能汚染水の処理だってままならないってのに、この国はいまだに原発の縛りから抜け出せないんだね。なんと、原発建設費を電気代に上乗せする制度が検討されているそうだ。

原発の建設費を電気料金に上乗せ、経産省が新制度検討 自由化に逆行

 そもそも、世界の趨勢は再生エネルギーへと向かっているのに、日本のエネルギー政策ってのはイカレてる。
 これって、言ってみれば原発建設税みたいなものだろう。ヘタレ総理が「増税クソメガネ」と揶揄されるのもわかろうというものだ。
 能登半島地震の際には、志賀原発で数々の障害が起きたのをもう忘れたのか。政治家はよく「将来に禍根を残さないため」ってよく口にするけど、原発なんかその最たるものだろう。
 しかも、そのために電気代に上乗せして国民から建設費をむしり取ろうなんて、およそ「国民の生命と財産を守る」ことを旨とする政治家のすることではありませんよ、ったく。

以下はXの紹介

平野啓一郎@hiranok 8:27 AM Jul 24, 2024
何故こんなことが出来るのか。ふざけているとしか言いようがない。市場原理に反するし、安全対策に巨額の費用が掛かるということは、それだけ日本で原発を運用することが危険だということ。震災がなかったことになっている。反対。
 asahi.com 原発の建設費を電気料金に上乗せ、経産省が新制度検討 自由化に逆行朝日新聞デジタル

 

圏塵噸@77bluemonday 1:54 PM · Jul 24, 2024
今でも総括原価方式で積み増し無限の好き勝手状態なのに、改めて上乗せ?はあ?そんなに原発と一緒に心中したいのか? 原発建設費を電気代に上乗せ 検討
 news.yahoo.co.jp 原発建設費を電気代に上乗せ 検討 - Yahoo!ニュース

 

保坂展人@hosakanobuto 12:40 PM…JUl24,2024
この政権は、「国民負担」て原発増設を企んでいる。 →原発の建設費を電気料金に上乗せ、経産省が新制度検討 自由化に逆行:朝日新聞デジタル
asahi.com/articles/ASS7R3PZVS7RULFA01NM.html…  経済産業省が原発の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入を検討していることがわかった。

 

27- 原発事故、鉱毒の地で考える 福島の高校生が足尾を訪問

 福島第1原発事故の同校の部活動「社会起業部」の生徒らと教諭の計7人。同部は震災や原発事故に関する学習を主な活動としていて、県外の津波被災地の他、公害の観点で学びを深めようと水俣病が発生した熊本県水俣市などを訪問してきました。
 一行は25日午後、足尾地域に入り、明治期に隆盛を極めた銅山の製錬所跡や国重要文化財の古河橋がある本山地区を巡り、足尾環境学習センターも訪れました。
 ある生徒は、足尾市では長い年月の中で公害問題を風化させないことをテーマにしていると感じたと述べました。
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原発事故、鉱毒の地で考える 福島の高校生が足尾を訪問 本紙「アカガネのこえ」契機に
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 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の被災地・福島県広野町のふたば未来学園高の生徒ら25日、日光市足尾地域を研修で訪れ、公害の原点とされる鉱毒事件を引き起こした足尾銅山関連の史跡などを巡った。昨年の下野新聞社の長期連載「アカガネのこえ」を契機に、原発事故を多角的な視点で学ぶため企画された。国策による原発建設と銅山開発は震災以降、延長線上で語られることが少なくない。生徒からは「長い年月がたっても足尾の問題に終わりはない。自分たちも福島のことを考え続けないといけない」との声が聞かれた。

 研修に訪れたのは同校の部活動「社会起業部」の生徒らと教諭の計7人。同部は震災や原発事故に関する学習を主な活動とする。県外の津波被災地の他、公害の観点で学びを深めようと水俣病が発生した熊本県水俣市などを訪問してきた。
 顧問の小磯匡大(こいそまさひろ)教諭(41)は新たな研修先を検討する中で、「アカガネのこえ」の記事をインターネットで目にした。半永久的な坑廃水処理、企業城下町、急激な人口減少-。福島と足尾は共通する多くの課題を抱えていることを知り、「『足尾から福島を見つめる』という視点を持ってほしい」と訪問を決めた。
 一行は25日午後、足尾地域に入り、明治期に隆盛を極めた銅山の製錬所跡や国重要文化財の古河橋がある本山地区を巡った。足尾環境学習センターも訪ね、スタッフから鉱毒事件の経緯や、煙害で荒廃した周辺の山々で現在も続く植樹活動の歴史などについて説明を受けた。
 生徒はスタッフの話を熱心にメモし、「植樹に国が関わっているということは国が(煙害や公害の)責任を認めているということか」「銅山関連施設は(遺構として)あえて残しているのか」などと、次々と質問をぶつけた。
 研修後、同校2年鈴木里桜(すずきりお)さん(16)は銅山の煙害で明治期に廃村となった足尾地域北部の松木村が心に残ったとし、「地域に加害と被害の両面がある点が福島と共通している」。2年長谷川翔哉(はせがわしょうや)さん(16)は「福島は原発事故を未来にどう伝えるか模索する途中。足尾は植樹活動や公害を語り継ぐ活動が今も続き、長い年月の中で問題を風化させないことをテーマにしていると感じた」と話し、継承の重要性について認識を深めた。