2024年7月27日土曜日

敦賀原発2号機 新規制基準「不適合」審査会合初判断

 原子力規制委の審査会合は敦賀原発2号機について、新規制基準に「不適合」としました。審査会合としては初めての判断になります。

 26日の審査会合では、原子炉建屋近くを走るK断層と2号機の真下を走る断層とのつながりが否定できないとの認識が示され、新規制基準に「不適合」との審査結果が取りまとめられました。来月にも正式に敦賀2号機が新規制基準に「不適合」との結論を出す公算が大きくなり、2号機が「廃炉」になる可能性が出てきました。
 なお日本原電の村松衛社長は26日、記者団の取材に応じ「追加調査を行う。廃炉は考えていない」と話しました。
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敦賀原発2号機 新規制基準「不適合」審査会合初判断
                       ANNテレビ朝日系 2024/7/26
原子力規制委員会の審査会合は福井県にある敦賀原発2号機について、新規制基準に「不適合」としました。審査会合としては初めての判断になります
 日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機を巡っては、5月の審査会合で原子炉建屋近くを走るK断層の「活動性を否定できない」とされていました。
 26日の審査会合では、このK断層と2号機の真下を走る断層とのつながりが否定できないとの認識が示され、新規制基準に「不適合」との審査結果が取りまとめられました
 新規制基準では、原子炉建屋などの重要施設は「変位が生ずる恐れがない地盤に設けなければならない」とされています。
 審査会合で「不適合」と判断されたのは初めてです
 この結論は規制委員会に報告され、来月にも正式に敦賀2号機が新規制基準に「不適合」との結論を出す公算が大きくなり、2号機が「廃炉」になる可能性も出てきました。


「活断層」攻防、10年超 報告書案漏えいなど混乱も 敦賀原発
                            時事通信 2024/7/27
 日本原子力発電敦賀原発の敷地内活断層を巡り、原子力規制委員会は2013年と15年の2度にわたり、専門家調査団による「活断層である」とする報告書を了承。
 原電はそのたびに「適正手続きに反し、当然無効だ」などと激しく反発した。攻防は10年以上に及び、その過程では報告書案の事前漏えい問題など、審査の公平性を揺るがすような混乱も起きた。
 発端は規制委発足前の12年4月。経済産業省原子力安全・保安院(当時)が行った現地調査で、敷地内に活断層がある可能性を専門家が指摘した。
 同年9月に発足し、調査を引き継いだ規制委は13年5月、2号機直下を通る断層が活断層だとする専門家調査団の報告書を了承。原電は14年、新たな試掘溝で得られたデータを基に再調査を要求し、再び議論されたが、結論は覆らなかった
 ただ、規制委は専門家調査団の判断を「重要な知見の一つ」とする見解を示したことから、最終的な判断は、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査へと移った。
 調査や審査の過程では、公平性を揺るがす問題が多数生じた。12年には、事務局の原子力規制庁審議官が、あいさつに訪れた原電幹部に公表前の調査団報告書案を手渡していたことが発覚、更迭に追い込まれた。
 13年に調査団報告書を了承した際には、原電が規制委に加えて、調査団メンバーの専門家個人にも抗議文を出し、規制委側が不快感を示す場面も。その後も、地質データの無断書き換えが多数判明するなど2度にわたって審査が中断、異例の経過をたどった


原電、経営の不透明感強まる 再稼働絶望、収入激減の恐れ 敦賀原発
                            時事通信 2024/7/27
 敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働が絶望的になったことで、同原発を保有する日本原子力発電(原電)の経営の先行きに不透明感が強まっている。
 同社の原発は、敦賀2号機と東海第2原発(茨城県東海村)の2基のみ。再稼働できず廃炉に追い込まれれば収入は激減し、屋台骨が大きく揺らぐ恐れがある。
 原電は2011年の東京電力福島第1原発事故後、保有する原発を停止し、今は発電や電力供給を行っていない。だが、その経営は電力会社から受け取る基本料金に支えられ、決算は黒字が続いている。24年3月期は東京電力エナジーパートナーや中部電力など電力5社から得た基本料金が計944億円に上り、前期比37.8%増の24億円の純利益を確保した。
 廃炉になればこの収入の多くが途絶えるため、原電は総力を挙げて敦賀2号機の存続を探る方針。原電には原発を手掛ける電力大手などが出資している関係もあり、同社を支えるため電力業界も対応を迫られる可能性がある
 電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は今月19日の記者会見で、敦賀2号機について「非常に大事なサイト(発電所)だ」と指摘。「追加調査をして、説明をして、理解を得られるように頑張ってほしい」と語った。 


敦賀2号機の再稼働困難、会社の存続問われる事態に 追加調査に望み、日本原電
                            産経新聞 2024/7/26
日本原子力発電が会社の存続を問われる事態に追い込まれた。敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査で26日に原子炉直下に活断層がある可能性は否定できないと判断され、再稼働が困難になったからだ。廃炉になれば、経営が立ち行かなくなるだけに追加調査に望みをつなぐが、株主で原発の維持費用などを負担している大手電力の理解を得られるかも含め、不透明感が漂う

原発専業会社である日本原電は昭和32年に大手電力9社や電源開発の出資で設立された。41年には日本初の商業用原発である東海原発の営業運転を始めており「原発のパイオニア」と呼ばれる。現在、敦賀2号機と東海第2原発の合わせて2基の原発があるが、いずれも再稼働できていない。
一方、令和6年3月期に純利益が前期比38%増の24億円となるなど黒字経営が続く。電気を送る契約を結ぶ大手電力5社(東北、東京、中部、北陸、関西)から再稼働を前提に原発の維持管理費用を「基本料金」として受け取っているからだ。
6年3月期は売上高950億円のうち944億円を基本料金で賄った。それだけに、敦賀2号機が廃炉になれば、経営への影響は計り知れない。日本原電は廃炉を回避するため、何とか審査継続にこぎつけたい考えだ。
ただ、審査を続けても今回の結果を覆せるかは見通せない。今後の焦点はこうした状況に大手電力がどこまで耐えられるかだ。各社の株主総会では「電力供給を受けていないのに費用を負担するはおかしい」などと株主から批判の声も出る。規制委の判断を踏まえ、大手電力がどんな姿勢を示すかは日本原電の今後の経営を大きく左右する。(万福博之)