2024年7月27日土曜日

27- 原発事故、鉱毒の地で考える 福島の高校生が足尾を訪問

 福島第1原発事故の同校の部活動「社会起業部」の生徒らと教諭の計7人。同部は震災や原発事故に関する学習を主な活動としていて、県外の津波被災地の他、公害の観点で学びを深めようと水俣病が発生した熊本県水俣市などを訪問してきました。
 一行は25日午後、足尾地域に入り、明治期に隆盛を極めた銅山の製錬所跡や国重要文化財の古河橋がある本山地区を巡り、足尾環境学習センターも訪れました。
 ある生徒は、足尾市では長い年月の中で公害問題を風化させないことをテーマにしていると感じたと述べました。
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原発事故、鉱毒の地で考える 福島の高校生が足尾を訪問 本紙「アカガネのこえ」契機に
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 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の被災地・福島県広野町のふたば未来学園高の生徒ら25日、日光市足尾地域を研修で訪れ、公害の原点とされる鉱毒事件を引き起こした足尾銅山関連の史跡などを巡った。昨年の下野新聞社の長期連載「アカガネのこえ」を契機に、原発事故を多角的な視点で学ぶため企画された。国策による原発建設と銅山開発は震災以降、延長線上で語られることが少なくない。生徒からは「長い年月がたっても足尾の問題に終わりはない。自分たちも福島のことを考え続けないといけない」との声が聞かれた。

 研修に訪れたのは同校の部活動「社会起業部」の生徒らと教諭の計7人。同部は震災や原発事故に関する学習を主な活動とする。県外の津波被災地の他、公害の観点で学びを深めようと水俣病が発生した熊本県水俣市などを訪問してきた。
 顧問の小磯匡大(こいそまさひろ)教諭(41)は新たな研修先を検討する中で、「アカガネのこえ」の記事をインターネットで目にした。半永久的な坑廃水処理、企業城下町、急激な人口減少-。福島と足尾は共通する多くの課題を抱えていることを知り、「『足尾から福島を見つめる』という視点を持ってほしい」と訪問を決めた。
 一行は25日午後、足尾地域に入り、明治期に隆盛を極めた銅山の製錬所跡や国重要文化財の古河橋がある本山地区を巡った。足尾環境学習センターも訪ね、スタッフから鉱毒事件の経緯や、煙害で荒廃した周辺の山々で現在も続く植樹活動の歴史などについて説明を受けた。
 生徒はスタッフの話を熱心にメモし、「植樹に国が関わっているということは国が(煙害や公害の)責任を認めているということか」「銅山関連施設は(遺構として)あえて残しているのか」などと、次々と質問をぶつけた。
 研修後、同校2年鈴木里桜(すずきりお)さん(16)は銅山の煙害で明治期に廃村となった足尾地域北部の松木村が心に残ったとし、「地域に加害と被害の両面がある点が福島と共通している」。2年長谷川翔哉(はせがわしょうや)さん(16)は「福島は原発事故を未来にどう伝えるか模索する途中。足尾は植樹活動や公害を語り継ぐ活動が今も続き、長い年月の中で問題を風化させないことをテーマにしていると感じた」と話し、継承の重要性について認識を深めた。