福島原発の事故の影響で工場の操業が止まるなどして、町の水道事業の利益が減ったことについて損害賠償を求めた福島県桑折町に対して、東電は町の主張を受け入れて和解が成立しました。
自治体との和解はこれが初めてということです。
また原発事故の風評被害で損害を受けたとして、福島県や北関東から農産物などを仕入れている千葉市の「生活協同組合」が起した損害賠償訴訟に対しても、東電は請求額を上回る約3300万円を支払う内容で和解しました。
東電は、これまでは自分が調停の裁定者であるかのように振舞って、殆ど損害賠償に応じてこなかった(福島県内では去年12月の時点で56の市町村の460億円余りの賠償請求に対して支払われたのは31億円余り)のですが、その方針をいくらかでも改めたのかどうか、今後の対応が注目されます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電と自治体 紛争解決センターで和解が初成立
NHK NEWS WEB 2014年2月18日
東京電力福島第一原発の事故の影響で工場の操業が止まるなどして町の水道事業の利益が減ったとして、福島県桑折町がおよそ3000万円の損害賠償を求めて国の紛争解決センターに行った申し立てについて、東京電力は町の主張を受け入れ和解が成立しました。紛争解決センターを通じた福島県内の自治体と東京電力の和解はこれが初めてです。
福島県桑折町では、原発事故の影響で食品工場が操業を停止したり住民が避難したりしたことなどから、平成23年度に町が行った水道事業の利益は前の年度より5800万円余り少なくなりました。
このため、町は去年9月、東京電力に対しおよそ3000万円の損害賠償を求めて国の原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てました。
センターは、原発事故が起きなければ利益は減らなかったと認め、東京電力も町の主張を受け入れ3000万円を賠償することで17日、和解が成立しました。
紛争解決センターを通じて福島県内の自治体と東京電力が和解したのはこれが初めてです。
福島県内では去年12月の時点で56の市町村が東京電力に対し合わせて460億円余りの賠償を直接、請求していますが、支払われたのは31億円余りにとどまっています。
桑折町の高橋宣博町長は「センターの努力と評価に感謝したい。原発事故が起きなければ発生しなかった損失はきちんと賄ってもらわなければならない」と話しています。東京電力は「個別事案の詳細についてコメントは差し控えたい」としています。
東電が生協被害で和解 3300万円支払い、請求額超
東京新聞 2014年2月18日
東京電力福島第1原発事故の風評被害で損害を受けたとして、福島県や北関東から農産物などを仕入れている千葉市の「なのはな生活協同組合」が、東電に約2300万円の損害賠償を求めた千葉地裁(多見谷寿郎裁判長)の訴訟は18日、東電が請求額を上回る約3300万円を支払う内容で和解した。
訴状によると、原発事故が起きた2011年3月から約1年間の同生協の売上高は、前年比で約8千万円減少。東電は11年8月までの損害の一部や放射性物質の自主検査費用は補償したが、残る期間の損害などは「仕入れ先を変えれば売り上げ減少は防げた」として支払いを拒否していた。(共同)