福島原発で、1リットルあたり2億4000万ベクレルもの超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれた放射性汚染水100トン余りが流出した問題で、原子力規制委員から、これまでタンクからの漏水問題を起さないように水位計や警報機などを付けて、仮に誤って水が移送されても水漏れを防ぐ対策を取っていたはずなのに、それらが結果的に機能しなかったことが改めて指摘されました。
今回漏れた水は本来は別のタンクに送られるはずだったので、いつになっても受け側のタンクの水位が上がってこないことに疑問を持てば漏れは最小限に抑えられました。しかしそういう判断が行われませんでした。
オーバーフローしたタンクは既にほぼ満水状態なので、本来入口弁を閉めておかなければならなかったのに、直列についていた3つの弁(一部は自動弁?)がすべて開いていました。漏水が発覚するまで弁開閉の確認がされていませんでした。
また、水漏れが発見される約九時間半前には、問題のタンクから水位異常を知らせる警報が鳴っていました。それを東電はなぜか計器の故障と安易に判断していました。折角設けた警報装置からの異常の発信を、全く現場の調査もしないで「計器の故障=誤報」と判断するのでは、警報装置をつけた意味はありません。警報を独断で誤報と判断して無視するという「文化」は何なのでしょう。
戦後日本が工業技術力等で世界の最先端に位置できたのは、日本人の優秀さは勿論ですが、真面目さと几帳面さが大きな要因になっていると言われています。
東電福島の現場にはなぜかそうした要素が欠落しています。
(関係記事)
2014年2月21日 「東電に安全文化や事業対応能力があるのかが議論に」
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汚染水流出で規制委「対策機能せず」
NHK NEWS WEB 2014年2月24日
東京電力福島第一原子力発電所で、山側のタンクから高濃度の汚染水100トン余りが流出した問題で、原子力規制委員会の委員からは「汚染水漏れを防ぐための対策が機能していない」などと管理の徹底を求める指摘が出されました。
福島第一原発では先週、4号機の山側にあるタンクに水が入りすぎ、汚染水100トン余りが敷地内の地面に流出しました。
東京電力は、汚染水が漏れたタンクにつながる配管で、本来、閉じているはずの弁を誰かが開けたためにタンクに水が入りすぎたとみて、調査しています。
24日、開かれた原子力規制委員会の専門家会合で、東京電力は、弁が操作されたとみられる19日に、汚染水を移送する予定だったタンクの水位を十分、監視していなかったと報告しました。
これについて更田豊志委員は、「水位計や警報機など仮に誤って水が移送されても水漏れを防ぐ対策を取っていたはずなのに機能しなかった」と指摘し、これまでに幾重にも取ってきた対策が十分に生かされるよう管理の徹底を求めました。
また別の委員は、弁が操作されたとみられる時間帯に、弁の識別番号を記したプレートを取り付ける作業が行われていたことから、弁を誤って操作するなどのミスがなかったか、十分な検証が必要だと述べました。
会合で、東京電力は、24日午前までに行った作業員98人への聞き取り調査の結果も報告しましたが、問題の弁が操作された理由など詳しい経緯は明らかになっていないとしています。
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「体質改善が必要な問題」
汚染水を巡る問題が後を絶たないことについて、会合のあと、東京電力の姉川尚史常務は、「こうしたことが続き、大変、申し訳ない。直ちに改善したい」と述べ、改めて陳謝しました。
そのうえで、「設備を作ったら終わりというものではなく、体質の改善が必要な問題だと考えている。歯がゆいと感じるかもしれないが、原因はかなり分かっているつもりなので、十分な管理をしていきたい」と述べました。
汚染水100トン漏れ、作業効率優先しバルブ開けたまま運用
TBSニュース 2014年2月24日
福島第一原発で汚染水が保管用のタンクから漏れ出した問題で、東京電力は本来閉じておくべきバルブを、作業効率を優先し開いたままにして運用していたことを明らかにしました。
この問題は先週、福島第一原発の汚染水を保管するタンクから、高濃度の汚染水およそ100トンがせきの外に漏れだしたものです。
汚染水は本来使用されるはずのタンクではなく、ほぼ満水の別のタンクに送られて溢れ出しましたが、これまでにタンクへの水の流れを管理するバルブ2つが開いていたことが分かっています。このバルブは本来、閉じておくべきでしたが、東京電力は作業効率を優先するとして去年4月以降、バルブを開いたままにしておくよう運用していたことを明らかにしました。
また、これとは別のバルブ2つが2回にわたって無断で操作されていて、東京電力は社員や作業員らおよそ100人に聞き取り調査を行うなどバルブが操作された経緯について調べています。