2014年2月5日水曜日

北電 泊原発 冷却用配管増設へ

 原子力規制委員会は4日、北海道電力泊原子力発電所3号機の再稼働に向けた安全審査で、緊急時に原子炉を冷却する「格納容器スプレー」という機器の配管が足りないと指摘し、北電は、配管を1本から2本に増やすことを明らかにしまし
 この配管の増設は大がかりな工事になり、「数か月では終わらない」(北電)ということで、同原発再稼働申請の段階に達するのは大幅に遅れることになりました。
 
 スプレーは、原子炉の緊急冷却が必要な時、格納容器内の天井部から放水する機器で、新規制基準では、安全上、特に重要度が高いこうした機器について、1系統が故障しても深刻な事態に発展しないよう、複数系統の設置を求めています。しかし、北電は、配管の強度や耐震性の面から1系統でも十分と判断して、そのまま審査を申請していました。
 大幅な改造工事になるのでそれを嫌ったものですが、明確な基準違反が認められれる筈はなく、北電の考え方の甘さが露呈しました。
 
 なお、北電川合克彦社長は1月31日の記者会見で、原発の再稼働が実現しないまま収支改善策を実施しなければ、15年3月までに債務超過に陥るとの見通しを示していたので、今回の遅延により電気料金の再値上げの公算が大きくなったとしています(読売新聞)。
 
 原発の発電コストはすべての要素を正確にカウントすれば最も高いのですが、不利な要素を意図的に除外することで偽装の原価を設定して(あたかも安いかのような発表をして)、原発が稼動しなければ電力料金が上がるという宣伝がされるのは困ったものです。
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北海道電力・泊原発の再稼働、夏以降に 規制委、追加工事を指示
北海道新聞 2014年2月4日
 北海道電力は4日、泊原発3号機(後志管内泊村)に関する新規制基準の適合性審査会合で、事故時に原子炉格納容器内を冷却する「格納容器スプレー」の配管を現状の1本から2本に増設する考えを示した。北電は「工期は数カ月では終わらない」としており、審査が長期化することが確実になった。仮に審査を終えて再稼働するとしても夏以降となりそうだ。 
 
 この日の審査で原子力規制委員会から、配管が1本では新基準を満たさないと指摘を受け、北電は設計見直しを決めた。工事が完了しなければ再稼働の条件が整わない。 
 北電は当初、スプレーまで水を通す配管の機能が完全に失われる故障が発生する可能性は極めて低いと主張していた。 
 しかし、規制委は厳格化した新基準に照らし「故障の確率が低いという論理的な説明がない」として認めなかった。 
 
 格納容器スプレーは格納容器の天井に設置し、原子炉の冷却機能が止まった時に容器内にシャワー状に水をまく設備。格納容器が壊れないように圧力や温度を下げるのが目的だ。泊3号機には、水をくみ上げるポンプは複数あるが、スプレーまで水を送る配管は1本しかない。
 
 
北電、再値上げの公算大...泊再稼働遅れで
読売新聞 2014年2月5日
 北海道電力が4日、泊原子力発電所3号機(北海道泊村)の原子炉格納容器の配管増設工事を実施する方針を明らかにしたことで、同原発の早期再稼働は困難な状況となった。これに伴い、電気料金の再値上げの公算が大きくなっている。
 
 同社の川合克彦社長は1月31日の記者会見で、2014年3月期の業績予想で1160億円の経常損失を予想し、原発の再稼働が実現しないまま収支改善策を実施しなければ、15年3月までに債務超過に陥るとの見通しを示した。
 北海道電によると、同社の原発3基すべてが停止した状態だと、石炭や石油などの原材料費などで1日当たりの発電コストは6億円増える。同社が13年9月に電気料金を値上げした際は、泊原発が同年12月から順次再稼働し、最終的に3基すべてが稼働する想定で収支を計算していた。
 既に実施した収支改善策は、海外産の石炭を使って110億円の発電コスト減、社員の賞与半減などによる50億円の人件費カットなどだが、最も大きいのは13年9月に実施した電気料金の値上げによる190億円の増収だ。
 川合社長は値上げの有無を3月末までに決める意向を示していた。今後は値上げ幅も含めて焦点となりそうだ。