2014年2月23日日曜日

再稼働判断 防災計画の有無等は審査に「含まず」

 政府は21日、原発の再稼働に向けて原子力規制委安全審査と、地方自治体が原発事故に備えて定める地域防災計画は無関係、とする答弁書を決定しまし
 その一方で、安倍首相は「安全審査を通った原発は再稼動させる」と述べているので、このことは自治体が30キロ圏内の住民の避難計画を立案していなくても稼動させるということを意味します。
 
 自民党が信奉しているアメリカでは、実効性のある避難計画がなければ原発を動かすことはできません。住民を被曝させないということが「原子力」を扱う上での鉄則です。
 
 ところが原子力規制委が作成した新「規制基準」では、住民の避難計画を原発運転の必要条件にしていません。
 武田邦彦氏は当初から、住民の被曝(その許容量)という観点のない新基準は、基本的な構造を間違えた基準だと批判していました。その規制基準の不備が勿論決定的なのですが、政府サイドにもそれをカバーする施策は一切ないということが、これで明らかにされました。
 
 政府は、避難計画の作成は自治体に委ね、国はそれを支援する立場だと言っていますが、それは口先だけのことで、自治体の避難計画の作成率はまだ低いし、作成された計画の「実効性のチェック」も行われていません。そもそも「実効性をチェックする」という観点自体がないので、それをチェックをする機関もありません。
 
 基準の不備を含めて、政府や電力会社に住民の被曝を防止するという視点が欠落していることは、泉田新潟県知事が絶えず指摘しているところです。
 民主党議員の質問趣意書によって明らかにされたこの政府の態度は極めて問題です。
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再稼働判断 自治体を軽視 防災計画、審査に「含まず」
東京新聞 2014年2月22日
 政府は二十一日、原発の再稼働に向けて原子力規制委員会が進めている安全審査と、原発から三十キロ圏内の地方自治体が原発事故に備えて定める地域防災計画は無関係とする答弁書を決定した。安倍晋三首相は規制委が安全と判断した原発から順次再稼働する方針で、地元の自治体を軽視する姿勢が浮き彫りになった。
 
 民主党の菅直人元首相の質問主意書に対する答弁書。衆院事務局によると、首相経験者が質問主意書を提出するのは初めて。答弁書は安全審査と地域防災計画の関係に関し「(安全審査のための)新規制基準には防災計画にかかる事項は含まれていない」と説明している。
 安倍首相は「世界最高水準の規制基準で安全性が確認された原発は再稼働する」と方針を示している。答弁書によれば、「安全性」に自治体の防災計画は含まれないことになる。
 
 地元自治体が防災計画をつくろうとした結果、住民の安全な避難や近い将来の帰還が困難と判断した場合でも、規制委の安全審査を通れば再稼働できるかどうかとの菅氏の質問に対しては、答弁書は「防災計画は都道府県および市町村において作成等がなされる」「政府は同計画の作成の支援等を行っている」と、事実上「ゼロ回答」だった。
 菅氏は取材に「首相の言葉は『安全性』に住民の安全も含まれていると国民をミスリード(誤った方向へ誘導)している。それが答弁書で明確になった」と話した。