2014年2月9日日曜日

高レベル放射線 測定値公表遅れ続々 東電

 東電が福島原発地下水の高濃度放射線の公表を遅らせてきたことについて、東京新聞が続報を出しました。
 
 それによれば、東電は定期的に各所のセシウム、ストロンチウムなどの濃度を測定し、7月5日サンプル水では500万ベクレル/L、8月8日サンプル水では400万ベクレル/Lの高濃度ストロンチウムを検出していたにもかかわらず、全ベータ線のレベル(90万ベクレル/Lなど)と整合しないことから、これらを誤測定値として公表しませんでした。
 
 それに対して原子力規制委から、全ベータ線の測定値が過小な可能性が高いと指摘されたために、90万ベクレル/Lなどとした全ベータ線の測定値の誤りを認めたというものです。
 放射線測定の分野でも行われてきた東電の隠蔽工作が、規制委の指摘によってついに隠し切れなくなったというわけです。
 
 東電は東京新聞の取材に対して、ベータ線を出す物質の測定では、高濃度汚染水の場合、全てのベータ線を計測しきれず濃度が大幅に低くなる「数え落とし」が起きる可能性が高、と説明したということですが、実際の10分の1以下に数えたことを「数え落とし」で説明しようとしたことには唖然とします(8日付「福島原発 井戸水放射能誤測定 続報」のとおり、無希釈で測定したことが主要な原因の筈です)。
 重ね重ねの素人をたぶらかす説明というしかありません。
 測定・分析というあまり不確定要素の入り込まない筈の分野でも、東電の説明は何もかも破綻しています。
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高濃度計測 公表遅れ次々 福島第一地下水 見込みの10倍も
 東京新聞 2014年2月8日
 東京電力福島第一原発の護岸近くの地下水が放射性物質で汚染されている問題で、東電は高濃度の放射性ストロンチウムを検出しても「分析中」として、長らく公表してこなかった。未公表にしてきた値の一部は、東電が見込んでいた値の約十倍もあり、都合の悪い数値は明かさないのでは、という疑念を招く。
 東電は、定期的に各所で地下水をくみ上げ、セシウムやストロンチウムなどの濃度を監視している。
 特に問題なのは、2号機前の二つの地点の値。東電は七月五日にくみ上げた水で一リットル当たり五〇〇万ベクレル、八月八日の水では四〇〇万ベクレルという高濃度のストロンチウムを検出した。
 ところが、ストロンチウムも含めたベータ線を出す物質全体の濃度は、九〇万ベクレル程度だった。九〇万ベクレルという値が正しければ、ストロンチウムは半分程度の四〇万ベクレル前後になるはずで、東電は「ストロンチウムの値が高すぎる。計測が間違っている可能性が高い」と勝手に解釈して公表しなかった。
 
 原子力規制委員会の作業部会で「ベータ線を出す物質の測定は誤差が大きい。こちらを過小評価している可能性もある」と指摘され、東電は計測に問題がないかどうかを確認。その結果、基本的に計測に問題はなく、ストロンチウムの値は当初の東電の計測値で正しいと分かった。
 六、七の両日に公表された東電の資料で、検出されたストロンチウムの値から計算すると、2号機前の二地点では、ベータ線を出す物質の濃度は公表値よりずっと高い可能性がある。
 東電は取材に、ベータ線を出す物質の測定では、高濃度汚染水の場合、全てのベータ線を計測しきれず濃度が大幅に低くなる「数え落とし」が起きる可能性が高いことを説明した。 (山川剛史)