東電は22日、福島原発の廃炉作業で、新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者の受け入れを、安全を確保できる管理体制の検討が終わるまでは当面凍結すると発表しました。厚労省が21日に東電に慎重な検討を要請する通達を出した結果で、ようやく正しい路線に戻りました。
この動きを促した共産党の仁比聡平参院議員の活躍を報じたしんぶん赤旗の記事も併せて紹介します。
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東電、廃炉の外国人受け入れ凍結 福島第1原発、厚労省要請受け
福井新聞 2019年5月22日午後7時17分
東京電力は22日、福島第1原発の廃炉作業で、新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者の受け入れを、安全を確保できる管理体制の検討が終わるまでは当面凍結すると発表した。厚生労働省が21日、東電に慎重な検討を要請する通達を出していた。
放射線の知識が必要な特殊な状況下での作業があることから、東電は言葉の問題を含め、同じ業務に従事する日本人と同等以上の安全衛生水準が保てるかどうかを慎重に検討する。ただ、厚労省の通達は、事実上の受け入れ断念につながるとの見方も出ている。
廃炉作業に外国人“待った” 仁比氏、かねて要求
厚労省 東電に「慎重な検討」要請
しんぶん赤旗 2019年5月22日
根本匠厚生労働相は21日、閣議後の記者会見で、東京電力が福島第1原発の廃炉作業に「特定技能」の外国人労働者を受け入れようとしていることについて、「極めて慎重な検討を行う必要がある」と述べました。東電や経済産業省が強引にすすめてきた廃炉作業への外国人受け入れに、“待った”をかけた形です。この問題では、日本共産党の仁比聡平参院議員が、東電に受け入れ撤回するよう政府に迫っていました。
厚労省は同日、東電に検討結果の報告を求める通達を出しました。通達は「慎重に検討の上、厚生労働省に検討結果を報告する」よう指示。東電、元請け事業者、特定技能外国人を受け入れる事業者が、労働災害防止のため、安全衛生管理教育や健康管理体制を確立するよう求めています。
厚労省は3月下旬に都道府県労働局長に通達で、外国人労働者の母国語を用いた教材での教育や、母国語で注意喚起を表示することなどを要請。4月下旬には、同原発の所長にこの内容を伝えました。
特定技能は、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて、4月に導入された新しい在留資格。外国人労働者が従事できる職は介護や建設など14業種です。
東電は、主に「建設」が廃炉の関連作業に該当すると説明。廃炉現場は、高い放射線量下での危険な作業が多く、日本語能力の不足などで意思疎通ができなければ、事故に直結する恐れがあります。
仁比氏は、4月23日の参院法務委員会で、放射能汚染物質の除去や原発構内の建物解体の作業には、特定技能外国人が従事できないことを指摘。「東電が誤った認識で受け入れ可能かのように周知していることは重大だ。国は東電に謝罪・撤回と、協力会社への受け入れができない旨の周知徹底をさせるべきだ」と求めていました。