高速増殖原型炉もんじゅで、7月に再開予定だった使用済み燃料の取り出し作業が3カ月遅れる見通しとなったことは24日のブログで紹介しましたが、中日新聞がより詳細に報じましたので、「詳報」として紹介します。
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計画策定に不安抱く もんじゅ、燃料取り出し延期で副知事
中日新聞 2019年5月24日
廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)で、七月に再開予定だった使用済み燃料の取り出し作業が三カ月遅れる見通しとなった。昨年八月に一カ月遅れで始まった取り出し作業は、遅れが拡大したことになる。日本原子力研究開発機構は二〇二二年末の使用済み核燃料取り出し完了の全体工程に影響はないとしているが、先行きは不透明だ。
二十三日に文部科学省で開かれた政府と県、敦賀市の連絡協議会では、文科省側が燃料取り出しの日程が遅れると報告。藤田穣副知事は「(機構は)昨年度に引き続いて、自ら定めた作業計画を守れなかった。国と機構が十分に協議をして計画を策定しているのか不安を抱かせる」と厳しく指摘し、「全体計画の信頼性にも関わる」と苦言を呈した。
昨年八月に始まった作業では、原子炉外の貯蔵設備に入っている燃料の取り出しに着手したが、主に燃料取り出し機でトラブルが多発し、作業がたびたび中断した。
もんじゅは一九九四年に本格運転を開始したが、同年のナトリウム漏れ事故などで通算運転日数が二百五十日にとどまり、本格的な燃料取り出しは経験が少ない。取り出す際にナトリウムのしずくが固まるなどの事象に対策が必要になったほか、今になって機器そのものの不良が判明し分解点検などを進めている状況だ。
見直し後の計画では、機器の改良などを優先するため、今年七~九月に原子炉から燃料百十体を取り出す計画だったのを十~十二月に延期し、取り出す本数も十本減らして百体とした。その分、二一~二二年の処理本数を増やして作業ペースを上げ、二二年末に五百三十体の取り出しを予定通り終了させる計画。文科省の担当者は「終盤になれば機器の初期不良の対策が進み、作業員の習熟度も上がる。ペースは上がるはずだ」と強調する。
一方、NPO法人原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「作業が遅れているのに完了時期は一緒というのはつじつま合わせだ。無理が生じ、大きなトラブルの恐れもある」と疑問を投げかける。
十月からは原子炉内から燃料を取り出す作業が始まるが、この作業では二〇一〇年八月、燃料交換用の装置が落下する事故が発生している。藤田副知事は協議会で「過去にトラブルがあったので、国も現場の監視をさらに強化してほしい」と要請した。(今井智文)