関電の美浜、大飯、高浜の3原発で想定される火山の降灰量が過小評価されていた問題で、原子力規制委は29日、従来の約2倍となった降灰量の再評価をもとに追加の対策について審査する必要があるとして、年内に想定を変更した申請を出すよう関電に命じる方針を決めました。
関電は3月、従来降灰量を10cmと想定したものを高浜で約22cm、大飯で約19cm、美浜で約14cmなどと評価し直したうえで、問題ないとして、この規模の巨大噴火が原発の運用期間中に起きる可能性は十分低く、想定する必要はないと主張しましたが、規制委は29日、これまでの火山灰の想定は明らかに不適当で、基準に適合していないとして、想定を見直して設計の変更を命じる方針を決めました。
関電は14~22cmの降灰量があっても問題ないとしましたが、セントヘレンズ火山での実績を見ると僅か0.6~1.3cm程度の降灰量で車がエンジン故障を起こすなど深刻な被害を出しているので、それは無根拠でいい加減な見解表明としか言えません。
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福井の3原発 火山灰の想定見直し設計変更を 原子力規制委
NHK NEWS WEB 2019年5月29日 16時21分
福井県にある関西電力の3つの原子力発電所について、原子力規制委員会は、敷地内に積もる火山灰の想定を見直し、設計の変更を命じる方針を決めました。東京電力福島第一原発事故のあと、審査に合格した原発でも、新たな知見があれば対策を取ることを義務づけたいわゆるバックフィットの命令が出されれば初めてです。
福井県にある高浜、大飯、美浜の3つの原発について、関西電力はことし3月、鳥取県の大山が噴火した場合に敷地内に積もる火山灰の厚さを、それまでの最大およそ10センチから多い所で21センチ余りに増える可能性があることを、原子力規制委員会に報告しました。
関西電力は、こうした噴火が発生する可能性は低いなどとして、対策を見直す必要はないとしていましたが、規制委員会は29日、想定される自然現象の設定として、これまでの火山灰の想定は明らかに不適当で、基準に適合していないとして、関西電力に対し想定を見直して設計の変更を命じる方針を決めました。
関西電力は2週間以内に弁明書を出すことができますが、原発事故のあと、審査に合格した原発でも、新たな知見があれば対策を取ることを義務づけた、いわゆるバックフィットの命令が出されれば初めてです。
一方、規制委員会は、大山が活火山ではないことなどから、直ちに原発の運転を停止する必要はないとしています。