これまで製造の途中経過を何度か紹介して来ましたが、ロシアの世界初の船舶型原発「アカデミク・ロモノソフ」が完成し、北極海で商業運転が始まりました。発電容量は3万5000Kw原子炉2基です。
北極圏では、厳しい寒さと資材搬入の難しさから新たな発電所の建設には膨大な費用がかかるので、ロシアは船舶型原発を沿岸でのエネルギー供給の切り札にしたい考えです。
環境団体からは「海のチェルノブイリ」とされ、事故の危険性が指摘されています。
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ロシアで世界初の洋上原発が商業運転始める
東京新聞 2020年5月27日
【モスクワ=小柳悠志】ロシア国営原子力大手ロスアトムは、極東チュコト自治管区ペベク沖の北極海で、世界初の船舶型原発「アカデミク・ロモノソフ」の商業運転を始めた。洋上から沿岸の街に電力と熱を供給する仕組みだが、環境団体から事故の危険性も指摘されている。
アンドレイ・ペトロフ主任ディレクターは商業運転に際し「今回の稼働によって世界最北の原発が誕生した」とのコメントを発表した。商用原発としてはロシアで11番目。
船の長さは144メートルで出力3万5000キロワットの原子炉2基を搭載し、熱供給も可能。昨年8月に西部ムルマンスクを出港、ペベクの港に停泊し、12月から試験稼働を進めていた。北極圏では、鉱物資源開発が進められている一方、厳しい寒さと資材搬入の難しさから新たな発電所の建設は膨大な費用がかかる。近年、北極海の軍事的な重要度も増しており、ロシアは船舶型原発を沿岸でのエネルギー供給の切り札にしたい考えだ。
一方、環境保護団体グリーンピースは「海のチェルノブイリ」と批判している。ロスアトムはアカデミク・ロモノソフが疫病への備えや環境保護、火災対策で国の基準を満たしていることを強調。ロシア通信は「原子力分野で歴史的な出来事」と報じている。