福島原発事故から9年経った今春、新潟県魚沼地域で採取された山菜のコシアブラから、基準値(1kg当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが相次いで検出されました。
セシウムが付着した落ち葉が長い年月をかけて腐葉土になり、コシアブラが土中のセシウムを吸収したためとみられます。
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コシアブラ、セシウム基準値超続出 魚沼地域 汚染腐葉土から吸収か
新潟日報 2020/05/25
コシアブラの放射性セシウムの検出状況
12年
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13年
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14年
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15年
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16年
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17年
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18年
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19年
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20年
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津南町
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171
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140
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120
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110
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96
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94
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魚沼市
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10
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34
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25
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43
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4・6
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150
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140
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120
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110
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南魚沼市
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150
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170
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170
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120
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湯沢町
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140
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170
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240
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※ 数字はその年の最大値。単位はベクレル/kg
2011年の東京電力福島第1原発事故から9年がたった今春、魚沼地域で採取された山菜のコシアブラから、基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが相次いで検出された。セシウムが付着した落ち葉が長い年月をかけて腐葉土になり、そこに根を張ったコシアブラが土中のセシウムを吸収したためとみられる。山菜シーズンが続いているため、県は注意を呼び掛けている。
県の調査では、津南町で採れたコシアブラから14年以降、セシウムが基準値を上下する高い水準で検出されている。一方、魚沼市のコシアブラは当初、低い値だったが、17年に基準値を超えて以降は高い値が続いている。近年は南魚沼市、湯沢町のものからも基準値を超える値が検出されている=表参照=。
事故から長い年月がたっていながらも高い値が検出される理由について、県は「詳細は分かっていない」とする。その上で、セシウムが付着した落ち葉が原因の一つとの見方を示す。
セシウムが付着した落ち葉は年月とともに腐り、腐葉土になる。コシアブラは斜面の下など、落ち葉がたまりやすい場所に生育する性質があるため、汚染された腐葉土に根を張り、土中のセシウムを吸収した可能性が高いという。
県林政課は「落ち葉から腐葉土ができ、そこにコシアブラが根を張るまでに時間がかかる。それで今もセシウムの検出量が高いのではないか」と話す。
国はこの4市町で採れたコシアブラの出荷制限を指示しており、スーパーなどでは販売されていない。ただ、趣味の山菜採りで採取する人もいるため、県食品・流通課は「採取しても食べたり、人に譲ったりすることは控えてほしい」と呼び掛けている。
福島・飯舘村 山菜のセシウム汚染は今(2020年春)
東京新聞 2020年05月27日
東京電力福島第一原発事故で高濃度に汚染された福島県飯舘村。本紙は、住民の伊藤延由(のぶよし)さん(76)と山菜の放射性セシウム濃度調査を実施した。同じ地点での定点調査は3回目となる。
「山菜の女王」とも呼ばれるシドキやタラの芽は、生育土が汚染されているにもかかわらず、食品基準(100ベクレル/キログラム)を安定的に下回った。重曹や灰であく抜きをすればセシウム濃度を半分くらいにできるが、ワラビやゼンマイはそれでも基準を上回りそう。塩漬けにするとさらにセシウムを低減できるといい、伊藤さんは実験を続けている。
天ぷらやおひたしで食べることが多いコシアブラについては、食用は絶望的な状況。コメなどの農作物では、農地にカリウムを適切にまいてセシウムの移行を防いでいる。試しにコシアブラの根元にカリウム入りの肥料をまき、昨年と今年の値を比較してみたが、計1キログラムの施肥では足りなかったのか、はっきりとした効果は確認できなかった。
新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、マスクを着用した上で、互いの距離を十分取り、移動に使った軽トラックの車内を消毒した。(山川剛史)