2013年12月2日月曜日

福島第1原発・破損燃料80体 柏崎刈羽にも38本

 福島第1原発1~4号機の使用済み核燃料プールに、原発事故前から80体の破損燃料が保管されています。
    2013年11月17日 「福島原発1号機他で破損燃料棒が多数存在
 その内訳は1号機に70体、2号機に3体、3号機に4体、4号機に3体ですが、その80本以外に5、6号機に各1体、第2原発2号機に2体あることが分かりました
 破損の内容は、燃料ペレットの鞘菅にひび割れ小さな穴が開いているもので、そこから放射性物質が漏れるので移送は難しく、これまで破損燃料が出るたびに、取り敢えず使用済み核燃料プールに保管してきました。
 当面は4号機の分をどうするかが問題になりますが、東電は「破損燃料は専用のキャスクを作って対応する」としています。しかし破損燃料の移送実績はなく成否は不透明ということです
 また破損燃料からは放射性の希ガスが大量に発生するので、10万年単位で隔離する必要があるということですが、現状のようにプールに保管されていれば、発生する希ガスはそのまま大気中に放出されます。
 
 加えてこの破損燃料棒は、歴史の古い福島第1原発に留まらず、最新型の柏崎刈羽原発にも計38体が保管されていたことが分かりました。
 京大の小出裕章氏は「70年代の初め頃は燃料棒の破損がそういうことが年がら年中あって・・・」と語っていますが、柏崎刈羽原発の破損比率は福島第2原発などに比べても格段に大きいように思います。もしも破損が中越沖地震の際に起きたものであるとしたら、それはまさに耐震強度の問題です。
 いずれにしても柏崎刈羽原発の破損した燃料棒についてはどう処置するのか、破損の原因を含めて東電は説明する必要があります。
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福島第1原発・破損燃料80体 移送困難 廃炉阻む
河北新報 2013年12月2日
 福島第1原発1~4号機の使用済み核燃料プールに、原発事故前から80体の破損燃料が保管されていたことが明らかになった。処理が難しく、4号機で始まった取り出し作業に影響する可能性がある。
 
 東京電力によると、80体は燃料集合体で1号機に70体、2号機に3体、3号機に4体、4号機に3体。ほかに5、6号機に各1体、第2原発2号機に2体ある。ひび割れがあったり、小さな穴が開いたりしている。
 1号機の使用済み燃料は計292体で、破損燃料の比率は4分の1に迫る。70体のうち67体が米ゼネラル・エレクトリック社製で、残る3体は日本ニュクリア・フュエル社(現グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン)が製造した。
 破損燃料は1号機が運転を始めた1971年以降、保管された。ひび割れや穴から放射性物質が漏れて移送が難しく、東電は破損燃料が出るたびにプールに仮置きする弥縫(びほう)策に終始し、長年、問題解決を先送りにした。
 燃料取り出しは廃炉工程の主要作業で、東電は第1弾として11月18日に4号機で始めた。2014年末までに全1533体を取り出す予定だ。3号機は15年度、1、2号機は17年度に実施する計画を立てている。
 東電は「破損燃料は専用のキャスクを作って対応する」と工程への影響を否定しているが、福島原発での破損燃料の移送実績はなく、成否は不透明だ。国も破損燃料の輸送と保管に関し、合理的な安全規制の必要性を緊急課題に挙げている。
 破損燃料は東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)にも計38体が保管されていたことが判明し、原発問題の新たな論点に浮上している。
 元原子炉設計者で芝浦工大非常勤講師の後藤政志さんは「破損燃料からはフィルターでも除去できない放射性の希ガスが大量に発生し、10万年単位で隔離する必要がある。廃炉作業に与える影響は大きい」と指摘している。